母親の子宮頸部にあったがん細胞が子どもに移る現象を、国立がん研究センターなどのチームが確認し、1月7日付の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表。
産道を通って生まれる際にがん細胞を含む羊水を吸い込んだとみられ、子どもはその後、肺にがんを発症したという。
チームは、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種による子宮頸がん予防の重要性を訴えている。
子宮頸がんの移行が認められたのは母子2組で、男児2人は1歳11カ月と6歳の時に肺にがんがあると診断された。
臨床研究として男児のがんの遺伝子を分析すると、子宮頸がんだった母親のものと配列が一致。
性染色体も女性のものだった。
さらに、子宮頸がんのタイプも同じ種類だった。
がん細胞が移行先の男児の肺に定着した理由について、間野・同センター研究所長は「一般に他人のがん細胞が体内で増殖することはないが、新生児は免疫システムが未発達だからではないか」と説明する。
治験の一環で、がん免疫治療薬「オプジーボ(一般名ニボルマブ)」を男児1人に投与すると、がんが消失した。
オプジーボには、免疫細胞によるがんへの攻撃を強める働きがあるため、母親由来のがんが異物と認識され、攻撃したとみられる。
もう1人の男児は手術でがんを切除した。
2人とも転移や再発は確認されていないという。
同センター中央病院の小川千・小児腫瘍科長は「HPVワクチンを接種して子宮頸がんを予防できれば、がん細胞の移行に伴う発症を防ぐことができる可能性がある」と話す。
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