厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」の適用基準額(賃金と年金の合計)を現在の月50万円から62万円へ引き上げる方向で調整に入った。
満額支給となる対象を拡大する。「働き損」を解消して高齢者の就労を促し、人手不足対策につなげるのが狙い。
関係者が11月25日、明らかにした。
同日開いた社会保障審議会の部会には62万円への引き上げを含む三つの見直し案を示した。
全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする案も提示。
厚生年金の積立金を活用し、2036年度以降の給付水準を現在の見通しより3割ほど改善させる。
与党との協議を経て、年金制度改革の関連法案として来年の通常国会に提出を目指す。
在職老齢年金は、賃金と厚生年金(基礎年金部分除く)の合計が基準額を上回った分の半額を減らす仕組み。
部会では基準額を、(1)62万円に引き上げ(満額受給の高齢者20万人増)、(2)71万円に引き上げ(同27万人増)、(3)制度廃止(同50万人増)の3案を提示した。
厚労省は、このうち62万円への引き上げで満額受給の人数増加に伴う年金財政の悪化を最小限にしたい考えとみられる。
部会では、財政が悪化しないよう、高所得の会社員が払う厚生年金保険料の上限を引き上げる案も複数示した。
厚労省は、保険料算定の基となる標準報酬月額の上限を現在の65万円から75万円とし、保険料収入を増やす案を軸に検討を進める。
納める保険料が増えれば、本人が老後に受け取る年金額も増える。
働きながら年金を受給する65歳以上は2022年度末時点で約308万人。
当時の基準額は47万円で、約50万人が減額対象となり、総額は年4500億円だった。
就労意欲を阻害しているとの指摘があった。
こんな制度は廃止するべきとの声が多いのでは。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます