アマゾンジャパンがオンラインでの処方薬販売を始める。
異業種からも大手が相次いで参入する一大市場にITの「巨人」が加わることで、処方薬のインターネット販売が一気に加速する可能性がある。
ただ、経営体力に乏しい薬局は新たな設備投資が負担となり苦境に立たされそうだ。
「使い慣れたアプリからシームレスに(切れ目なく)ご’利用いただける」。
アマソンジャパン幹部は7月23日、サービス発表の記者会見で自信を見せた。
調剤薬局への移動時間や待ち時間を省く。
提携するオンライン診療サービスを使えば、受診から薬の購入まで自宅で全てが完結する。
時間に余裕がない子育て世代らをターゲットに据える。
SMBC日興証券の松尾アナリストは、アマゾンがドラッグストア最大手のウエルシアホールディングスと手を組んだ構図に「オンラインでの処方薬販売普及への起爆剤になるかもしれない」とみる。
病院の処方譲に基づいて医薬品を販売する調剤薬局はこれまで「門前薬局」といわれる、病院の近隣で営業する業態が主流だった。
高い収益性に目を付けたドラッグストアは調剤機能を備えた店舗を強化。
新型コロナウイルス禍で感染予防のため規制が緩和されると、ネット販売が熱を帯びた。
異業種も参入する。
LINEヤフーは2023年1月に調剤薬局チェーンの日本調剤と組み、本格的にネット販売を開始すると発表。
ウーバーイーツジャパンは今年3月に配達員を活用した宅配を始めた。
セブンーイレブン・ジャパンは5月に一部店舗の宅配便ロッカーで受け取れるようにした。
従来型の調剤薬局がネット販売に乗り出すには、これらのIT企業が手がけサービスを利用し、手数料を支払うことになる。
ただ、収入源である「調剤報酬」は、医療費抑制を名目に厚生労働省が引き下げを繰り返している。
新たな負担増について、調剤薬局大手チェーン関係者は「集客に役立つかどうか、慎重に判断している。 中小はさらに厳しいのではないか」と明かす。
将来的に負担に耐えられない企業を巻き込む業界再編につながる可能性もある。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます