保釈された刑事被告人らの逃亡防止策を検討する法制審議会の部会は10月8日、衛星利用測位システム(GPS)の装着を、裁判所が命令できる制度を創設する要綱案を取りまとめた。
対象は海外逃亡防止の必要がある場合に限定。
不正に取り外せば懲役刑になる。
公判への不出頭や、制限住居を離れた場合の罰則も新設。
近く開く法制審総会で承認後に法相へ答申、法務省は刑法や刑事訴訟法改正の準備を進める。
保釈中の逃亡は2019年、日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡したほか、神奈川県や大阪府でも相次ぎ、対策を2020年2月に諮問した。
GPSはプライバシー侵害も懸念される一方、保釈が拡大すれば過剰な拘束を免れる利点もあり、対象が焦点となっていた。
「海外逃亡防止」の対象は海外に拠点がある企業の幹部や、不法出国を手助けする人物と関係を持つ入らを想定。
空港や港など立ち入りに許可が必要な「所在禁止区域」も定める。
無許可で入ったりGPS端末を外したりすれば拘束され、1年以下の懲役が科される。
要綱案は公判への出頭確保のため罰則も新設。
(1)裁判所から召喚を受けたのに公判期日に来ない「不出頭罪」、(2)許可なく所定の期間を超えて制限住居を離れる「制限住塵離脱罪」などで、2年以下の懲役とする。
裁判所が必要と判断すれば保釈時に「監督者」を選任できる制度も設ける。
被告と一緒に出頭したり、生活状況に変更があれば報告したりする義務を負う。
監督者が監督保証金を納めないと被告が保釈されない。
一審に出廷義務がなく、実刑判決でも身柄確保が難しいケースもあるため、要綱案では一定の罪で起訴された被告の二審判決出廷を義務化する。
さらに、現行の逃走罪が拘置所や刑務所から逃げた場合に限定されているため対象を拡大し、身柄拘束後、収登剛に逃げたなどの場合も加える。
法定刑も1年以下の懲役を3年以下に。
刑が確定した被告の行方が分からない場合、強制捜査で調べる規定も盛り込んだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます