厚生労働省は9月3日、2014年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費が概算で39兆9556億円となり、12年連続で過去最高を更新したと発表した。
労災分などは含まれておらず、医療費全体に当たる「国民医療費」は初めて40兆円を超えることが確実となった。
概算医療費は医療費全体の98%を占め、2014年度は前年より約7千億円増えた。
伸び率は1.8%とやや鈍化し、厚労省は「人口減や価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)の使用促進で、伸びが抑えられた」と分析している。
ただ医療費は高齢化や医療技術の進歩で年々増え続け、国の財政を圧迫している。
2016年度の診療報酬改定で医療費の効率化が焦点となる。
政府は健康づくりや病気の予防への取り組みを強化し、後発薬の使用割合も80%まで引き上げる方針。
2014年度の1人当たりの概算医療費は31万4千円(2013年度より6千円増)。
75歳未満が21万1千円だったのに対し、75歳以上は93万1千円に上った。
都道府県別の総額は、東京が4兆1990億円で最も多く、大阪(3兆590億円)、神奈川(2兆4385億円)が続いた。
最も少なかったのは鳥取の2014億円。
診療別では外来と調剤が合わせて21兆円で、全体の52.5%。
入院が16兆円(40.2%)、歯科は2兆8千億円(7.0%)だった。
調剤は薬の値段と薬剤師の技術料を合計したもので、2013年度より2.3%伸びており、診療報酬改定で抑制を図る。
概算医療費とは、医科、歯科、調剤にかかった医療費の速報値で、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険団体連合会が審査したレセプト(診療報酬明細書)を基に集計し、医療費の動向を迅速につかむことができる。
概算医療費に労災保険や全額自己負担となる医療分などを含め、国民が1年間に使った医療費全体は「国民医療費」と呼ばれ、概算医療費の約1年後に公表される。
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