厚生労働省が来年度にも導入を予定している新たな胃がん検診の方法を巡り、学会などから異論が出ている。
従来のエックス線検査に加えて内視鏡検査も選べるようになるが、検査の間隔は「毎年」から「1年おき」に延びるため、「内視鏡検査ができなければエックス線検査の機会が減るだけ」との懸念があるためだ。
日本人間ドック学会などが厚労省に問題点を伝え、他団体にも再検討を求める動きが広がりつつある。
日本人では胃がんは大腸がんと並んで多い。
厚労省の有識者検討会は7月、国立がん研究センターの指針改定に沿った形で内視鏡検査を選択肢に加え、対象を50歳以上、間隔は2年に1回とする提言を大筋でまとめた。
バリウムを飲むエックス線検査は、「対象や検診間隔がバラバラだと現場が混乱する」との意見が委員から出され、内視鏡に合わせることで合意。
40代は対象から外れ、間隔も長くなる方向になった。
しかし、医療関係者からは「がんの見逃しが増えるのではないか」との声が上がる。
内視鏡検査は有効だが、検査できる医師の確保が特に地方で難しい。
過疎地などで使われる「検診バス」では対応できない場合もあるという。
東京都内の診療所の医師は「消化器の内視鏡の専門医が100人程度しかいない県もあり、数万人を診るのは無理」と話す。
日本人間ドック学会の三原理事は「内視鏡に比べ、エックス線検査は精度が下がる。 検診回数が減ると、結果的にがんが進行してから見つかるケースが増えるのではないか」と指摘。
日本消化器がん検診学会も理事長が要望書を送った。
検診の実施指針改定を予定している厚労省がん対策・健康増進課は「学会などのさまざまな意見も含め検討している」と話す。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます