東京都内の公立小が、学級運営が難しい状況になった一部の教室に、児童の言動を記録するカメラを設置していたことが3月30日、地元教育委員会への取材で分かった。
全国の学校では侵入防止など安全対策としてカメラを設ける動きが広がるが、教室内の児童を撮影対象とするのは異例で、議論を呼びそうだ。
文部科学省の担当者は「相当の事情があったとすれば、ただちに問題とは言えない」としている。
一方、教育の専門家からは、子どもたちにストレスを与えたり、プライバシーを侵害したりするといった懸念を指摘する意見が出ている。
関係者によると、カメラは今年1月から3月の3学期終了まで設置。
教室の前後2ヵ所程度にカメラ付きのタブレット端末を取り付け、着替えなどの時間を除く始業から終業までを録画。
データは、児童に問題行動などがあった際、学校や教委が確認するためと使途を限定しているが、場合によっては警察にも提供する運用ルールだった。
教委は「児童の問題行動があり、安全を確保するために実施した」と説明。
これに対し、保護者側からは強い反発もあるという。
教委によると、実際に録画した映像を確認したケースはなく、新学期の対応は検討中としている。
関係者によると、カメラ設置後、教室に入ることを嫌がり、別室で授業を受けている児童がいる。
教委は「オンラインなどで授業を受けられるようにした」とする。
東京聖栄大の有村教授は「学校側は何かあったときに法的対応がしやすいと考えたのではないか。 苦渋の決断だったのだろう」とした上で「教室は子どもを豊かに育てる場。 問題行動の背景に何があったのか、子どもの心情や抱える事情を見ずに、カメラの記録に頼るというのは、教育的な対応とは言えないのではないか」と疑問を呈している。
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