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子どもの近視「深刻に」(その2) 対策は?

2022年06月27日 | 健康・病気

子どもの視力低下の実態の調査をまとめた東京医科歯科大学の大野教授は、「小学校高学年の時点で大人の平均に達していて、早い年齢で近視が進行していると見受けられる。 眼軸の長さは体の成長にあわせてさらに延びる危険性もあると考えられる。 コロナ禍でスマートフォンやタブレット端末を見る機会が増えていることがどう影響しているか、今後、さらに分析したい」と話している。

「小児眼科外来」がある東京 千代田区の眼科の診療所、「お茶の水・井上眼科クリニック」には、多い日では1日に100人の子どもたちが診療に訪れる。

受診する子どもは年々増え、昨年度は4割近くが近視やその疑いを理由に受診していたということだ。

近視は、30センチ以内の近いところを見る時間が長くなると進行するため、視能訓練士が子どもや保護者に対し、スマートフォンやタブレット端末などを見るときは、姿勢を正して、30センチ以上離すこと、30分に1回は20秒以上、遠くを見て、目を休めてほしいと伝えていた。

受診に訪れた小学3年生の女の子の母親は「学校の授業でタブレット端末が使われ、家でもスマートフォンで動画ばかり見ている。 小さいときからスマホが身近にあり、目を使いすぎていると感じる。」と話していた。

この診療所の永野医師は「いまの親の世代よりも低い年齢で近視になるケースが増えていて、中には近視になる幼稚園児もいる。 近視が進行すると網膜剥離や緑内障など別の病気を引き起こすリスクもあるので、画面から目を離し、目を休めることを習慣にしてほしい」と話していた。

近視はアジアを中心に世界で急増していて、オーストラリアなどの研究グループが2016年に出した試算では、2050年には世界の人口のおよそ半数にあたるおよそ48億人が近視になると予想されている。

WHOも深刻な公衆衛生上の懸念があるとしていて、世界各地で様々な対策が取られている。

眼軸の長さが延びることで起きる近視は、30センチ以内の近いところを見る時間が長くなると進行するとされ、アメリカ眼科学会は、20分間継続して近くを見たあとは、20フィート、およそ6メートル以上離れたものを20秒間眺めるという「20―20―20」ルールを推奨している。

さらに近年では、1日およそ2時間、屋外で活動し、十分な光を浴びることで近視の進行を抑えられることが分かってきていて、台湾ではおよそ10年前から小学校で1日に2時間以上、屋外で光を浴びるようにした結果、視力0.8未満の小学生の割合が5%以上減ったということだ。

東京医科歯科大学の大野京子教授は、「近視がより進行すると、緑内障や眼底出血などの目の病気が引き起こされるリスクが高まり、失明につながる恐れもある。 近年、スマートフォンや携帯ゲームが普及し、コロナ禍で外出の機会が減ったことで、世界中で子どもの近視が進んでいると指摘されている。 学校でもタブレット端末を使う機会が増えているが、20分ぐらい使ったら窓の外を見て休憩すること、昼休みや体育の時間に外に出て太陽光を浴びることが大事だ。 また、自宅で宿題をするときにも目と本の間の距離には気をつけ、特に夜に寝転がってスマホを見るのをやめるといった対策を子ども自身に意識して取り組んでもらうことが重要だ」と話している。


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