遠くのものが見えにくくなる近視の進み具合を示す「目の奥行き」の長さについて、小中学生を対象に初めて調査した結果を文部科学省が発表した。
長ければ長いほど近視が進んでいるとされるが、小学6年生の平均の長さが成人の平均に達していることがわかり、専門家は近視の進行が深刻になっていると指摘している。
調査は、子どもの視力低下の実態を把握しようと、文部科学省が昨年度、各地の小中学生およそ8600人を対象に行った。
近視は、多くの場合、眼球の長さが延び、明るさや色、形などを感じ取る網膜の手前でピントが合ってしまうことで起きる。
一般的には視力検査の値が低下すると近視の疑いがあるとされますが、今回の調査では初めて、正確に調べるために必要な、目の表面の角膜から最も奥にある網膜までの眼球の奥行き、「眼軸」の長さを調べた。
眼軸の長さは成人の平均で24ミリ前後とされていますが、調査の結果、小学6年生の平均では、男子が24・22ミリ、女子が23・75ミリと大人と同じ程度に達し、中学3年生では、男子が24・61ミリ、▽女子が24・18ミリとさらに長くなっていた。
また、視力検査でも裸眼の視力が1・0未満だったのは、小学1年生でおよそ2割だったのが、中学3年生ではおよそ6割に増加し、およそ3割は0・3未満になっていた。
子どもの視力は、1979年に統計を取り始めて以降、40年余りにわたって低下傾向が続いている。
文部科学省が全国の国公私立の幼稚園や小中学校や高校を対象に毎年、行っている「学校保健統計調査」によりますと、視力検査で裸眼の視力が1・0未満だった子どもの割合は、統計を取り始めた、1979年度は小学生で17・91%、中学生で35・19%、高校生で53・02%だった。
しかし、10年後の1989年度には小学生で20・60%、中学生で40・90%、高校生で55・81%となり、20年後の1999年度には小学生で25・77%、中学生で49・69%、高校生で63・31%となるなど視力の低下が続いた。
さらに、2009年度には小学生で29・71%、中学生で52・54%、高校生で59・37%となっていて、最も新しい2020年度のデータでは小学生で37・52%、中学生で58・29%と過去最多になったほか、高校生が63・17%となっている。
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