東日本大震災の被災者が震災前から抱え、住宅金融支援機構が5年間を上限に返済を猶予している住宅ローンのうち、1184件、総額153億円分の猶予が3月以降終わり、返済が再開することが3月14日、分かった。
1件当たり平均は約1300万円。
借り手は震災で大きな損失を受けた人が多く、生活再建はさらに厳しくなりそうだ。
機構によると、地震や津波で家屋を失ってもローンは残るが、震災前後の収入の落ち込みなどを踏まえて1~5年の猶予期間を設けた。
今回返済を再開するのは、自宅が流され仕事も失うなど深刻な被害に遭い、最も長い5年の猶予期間が設定された人が多く、専門家からは経済的な窮乏や自己破産の増加を懸念する声が上がる。
2015年末時点の機構のまとめでは、震災で返済猶予した住宅ローンは累計で14都道県の4385件、総額402億円。
248億円分は既に猶予期間が終了している。
今後、主に猶予期間5年のローン返済が始まる。
猶予期間は被災者の申請時点から始まるため、2016年3~12月に終了するのは816件、106億円、2017年以降は368件、46億円になる予定。
機構は「東日本大震災では通常より手厚い支援策を実施している」として、5
年を超えての期間延長はせず、返済方法の変更で負担を軽くし、再開を促したい考えだ。
民間金融機関では猶予期間が短く、大半のケースでは既に返済が再開されているとみられる。
被災地の金融問題に詳しい立命館大の久保教授(民事法)は「震災前のローンが重く、家を新たに建てられない人がいる。 猶予期間が終わっても返済できず、破産に追い込まれる可能性もある。 機構は期間延長も含めて柔軟に対応すべきだ」と指摘している。
機構はフラット35などの固定金利型住宅ローンを提供し、多くの利用者を待つ。
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