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居酒屋放浪記NO.0013~暮れなずむ小倉でほろ酔い気分~「武蔵」(北九州市小倉北区)

2005-04-11 23:57:45 | 居酒屋さすらい ◆地方版
  小倉近郊の町で仕事を終わらせたのが15時半。そこから日豊線で小倉駅まで電車で行き、関門海峡を渡るバスに乗るため、バス停まで出向いてみると、バスはつい先ほど出たばかりだった。次のバスは17:04分。ちょうど1時間も待たねばならない。
  本屋で時間を潰すことも考えたが、初めての町を散策するのも楽しい。とりあえず、ぶらぶらしてみようか。

  しばらく行くと狭い小路ながら活気に満ちている繁華な通りに出た。ちょうど、夕食の買い物の時間と重なったこともあって、人でごった返している。魚屋や肉屋などが競い合うように声を枯らして販売の口上に精を出す。こういう光景はみていて実に気持ちよい。
  どこからか、いい匂いもしてきた。豚骨ラーメンの香りだ。少し臭みはあるけど、食欲をそそる匂いだ。ラーメン店を覗くとカウンター席で数人の客がラーメンをすすっている。まるで東南アジアのバザールのようだ。

  もう少し歩いていくと、一件の居酒屋に出くわした。驚いたことに、既に店は開いている。入り口の扉越しにおそるおそる中を覗いてみると、L字の広大なカウンター席が見えた。一人でも入れる店のようだ。バスの時間まではまだある。「入ってみようか」と思い、がらりと戸を開けた。店内は全てカウンター席。恐らく40席はあろうかというくらいの広大な広さである。まだ16時半になろうかという時間にもかかわらず、既に5、6人の客は思い思いに酒を飲んでいた。

  さて、席についてまず生ビールを注文。「はい!生ね」という店員のおばさんが実に気持ちがいい。この道何十年というベテランのようだ。このおばさん達、皆白いブラウスを着て紺の制服をまとっている。店員さんというより給仕さんと呼ぶ方がしっくりくる。
  ビールが運ばれてきた。飲み物のメニューには「生ビール250円」と書いていたから、どんなものがくるかと思えば、ングっングっ、まさにビールだ。発泡酒などではない。量も決して少ないわけではなく、普通の中ジョッキである。しかし、ビールがうまい。
  つまみには「鰯のじんだ煮」を頼んだ。メニューには「小倉名物」と書き添えられていたからだ。糠味噌をまぶした鰯の煮付けはまさに田舎の素朴な味。初めて食べたけど、これが実にうまい!ものの本によれば江戸時代の小倉城城主小笠原忠真公が「陣を立てる」に通じることから縁起物として今日まで伝わっているとのこと。いやはや、歴史の長い郷土料理なのだ。さて、ビールをおかわりして、もの思いに耽っていると、続々とお客が入ってくる。たいてい皆一人の客だ。

  大田和彦「居酒屋味酒覧」(新潮社)によれば、この店は八幡製鉄の3交代勤務にあわせ、以前は13時から開店していたという。そんな面影は店のあちこちに垣間見える。例えばメニュー。鳥皮200円、このしろ250円というように料理が安い。店員のおばちゃんの接し方は九州男児の荒くれから一人で来店したご隠居までを手なずけるような包容力がある。実にすこぶる居心地がいい。
  ビールが空になった。芋焼酎のお湯割りを注文。つまみはおばいけにした。おばいけとは鯨の背びれ、脂肪質の肉のことで尾羽雪と書く。まさに雪と表現するに相応しくその姿は白い。主に酢の物で食べ、実にさっぱりした食感だ。
  芋焼酎はなんやら不思議な徳利で出てきた。そこからグラスに移し変えるらしい。何の銘柄か分からないがうまい。やはり、九州に来たら、やっぱり焼酎でしょ。

  すっかり、カウンター席でまったりしていたら、時間が経つのは実に早い。瞬く間に17時近くになり、お勘定してバス停に急いだ。陽はまだ高いところにある。なのに、既に気持ちよく酩酊してしまった。バスに乗り、山口に向かう途中、関門海峡の海が見事だった。いい酒を飲むと、その日1日が実に気持ちのいいものになる。
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