息子と話しをしていて、ひょんなことから近所にある「インデアン」の話題になった。大田区蓮沼の人気店、「インディアン」の流れを汲む、こちらも人気店である。息子の話しによると「インデアン」は彼の同級生のおうちということが分かった。その同級生の苗字を教えてもらったが、蓮沼の本店の流派と同じだから間違いない。
そんな話しになったものだから、それから一週間後に息子と「インデアン」に出かけることになった。
5年ぶりの「インデアン」だが、その間、自分は何度かチャレンジしていた。独立した2021年の秋、急激に「インデアン」の「カレー」が食べたくなり、行ってみたら、コロナでしばらく休むとの貼り紙があった。その半年後、そろそろいいだろうと思って赴くと、「本日休業」。その数ヶ月後に三度行ったら、またしてもお休み。調べると、「金曜定休」ということが分かった。何故か自分はわざわざその休業日に出向いていたようだ。近所といっても、我が家からそんなに近い訳でない。片道徒歩20分強。往復すると45分もかかるのである。
初めて来店した5年前も一筋縄ではいかなかった。混雑を避けるため午後の遅い時間に行くとカレーは売り切れになっていた。その時も2回空振りしているのだ。つまり、5回行って1回しか、食事にありつけていない。今回、息子と出かけ、果たしてどうかとやや心配だったが、すんなりと入店することができた。
カウンター席に座り、前回からの宿題だった「支那そば半カレーセット」(1,300円)をオーダー。今回、はじめて知ったのだが、「支那そば」は三代目と表記されている。蓮沼本店の創業者の弟さんが、この「インデアン」の創業者だときいていて、その創業者の息子さんが今お店を回している。本店から数えて三代目なのか、それとも弟さんの前にまだいるのか。ただ、もし息子の同級生が家業を継ぐのなら、四代目になるのだろう。息子が同級生に訊いたら、「それはない」と言ったらしい。
とにかく三代受け継ぐ、その二代目の爺さんは、今回不在だった。
もしや引退したか? それとも? とちょっと心配。
やがて、「支那そば半カレーセット」が出てくるのである。白い透明のスープの「支那そば」と漆黒のカレーソースに白飯という見事なコントラスト。これはもう圧巻。これまで蓮沼本店を含めて、「インデアン」はカレー屋さんだとばかり思っていた。店構えもラーメン屋のそれではない。だが、メニュー表の最上部に、「三代伝承支那そば」が記載され、カレーは次の行。ということは、メインはラーメン屋なのか。息子の同級生が、まだ「インデアン」の御曹司と判明する前、「うち、ラーメン屋やってる」と言ったらしい。カレー屋だから、「インデアン」だと思っていた。
今回、「カレーさすらい」にするか、「中華」にするか、悩んだ。でも、カレーが食べたかったから、このタイトルに落とし込んだ。
ただ、その「三代伝承支那そば」もカレーに負けず、本当にうまい。優しい味がベースだが、カレーとよく似たユニゾンを奏でる。もしかするとカレーと合わせて三重奏となる。カレーは店名とは違い、スパイスではないし、ましてや欧風でもない。独特の深みを感じるカレー。果物を含めたいろいろな素材が、この重低音を奏でる。もしかするとカレーがベースで、ラーメンは主旋律を弾くギターなのかもしれない。
うまい。
箸とスプーン、蓮華を入れ替える手が止まらない。
あっという間に全てがきれいになくなった。白い皿に、若干残るカレーソースすら愛おしい。
我が街にありながら、遠い「インデアン」。
でも、それが誇りだ。
20年ほど前に一度行ったことがありますが、まだご健在でしたか。
熊猫さんの記事を見てまた行きたくなりました。
http://denkigama.tblog.jp/?eid=121392
こんにちは。
「ラーメン放浪記」の1を初めて拝見しました。
蓮沼本店は自分も25年ほど前、何度か行きました。で、このお店は蓮沼本店ではありません。本店の流れを汲むお店で「インデアン」です。
電気がまさんの「ラーメン放浪記」を読んで、謎が解決するとともにまた謎が深まりました。
>この店の歴史は古く、先代は武田金蔵さんという方で、この味を完成した。85年に、引退されたが、味に惚れ込んだ今のご主人、長岡氏が後を引き継いだとか。
武田金蔵さんが初代。北区の「インデアン」のお父さんは金蔵さんの弟さんにしては歳が違いすぎるような。「インデアン」の大大将は金蔵さんのお子さん? それだったら3代伝承の計算が合います。
電気がまさん、是非北区の「インデアン」にもお越しください。
ただ、駅から遠いのが難儀ですが。