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喫茶さすらい 088 - 学生たちと紡いだ終わりのない物語 - 「ペナント」(港区三田)

2018-03-23 22:04:59 | 喫茶さすらい

20年前から、慶応通り商店街にある喫茶店が気になっていた。

「ペナント」という名前の、おんぼろの喫茶店だ。経年によって、ずいぶんとくたびれた店は、どことなく傾いているようにすら見える。多分、この小さな小路は、かつて学生らで、だいぶ賑わったのだろう。だが、今となっては、その痕跡を探す方が難しい。ボクが思うに、この「ペナント」と、その近所にある学生服の店くらいだろうか。

この「ペナント」にしても、かつては学生たちの溜まり場で、ものすごい賑わいを見せていたことは、なんとなく雰囲気で、よく分かる。

一度、店に入りたいと思っていた。この20年間、そのタイミングを見計らっていた。

思いもかけず、そのチャンスが訪れた。崩れてしましそうな扉を開けて、テーブルに座った。年配の男性が切り盛りしている。壁には、慶大のサークル関連のポスターが貼られ、やはりここが学生らの、居場所であることを窺わせた。

年配の男性に「ホットコーヒー」を頼み、ボクは近くにあったスポーツ新聞を手に取った。

お店のマスターは、店の片隅にいたサークルの一団らしき若者と話をしていた。どうやら、大会でそのサークルは敗退してしまい、マスターが励ましているように見受けられた。マスターは自分の孫ほども歳が違う学生らに、エールを送り続けた。感動したのは、マスターが、そのサークルの顧問を知っていることだった。恐らく、その顧問も若いはずだ。どう考えても、マスターとは年齢差もあるだろう。ひとつ考えられるのは、慶大の先輩が後輩に連綿とバトンを繋いで、今があるのかもしれない。それってものすごいことだ。

コーヒーはすっきりとしながらも、やや苦味のある味だった。

長く続いた慶応通り商店街の歴史ある喫茶店が閉店したことを、ボクはその直後に聞いた。20年間、入れなかった店を最後訪問することができてよかったと思う。

居場所としての喫茶店。学生らを長く見守っていた灯台のような喫茶店の灯りは消えたが、今は同じ場所で、学生時代にお世話になったという方が、店の名前を変え、受け継いでいるという。

物語は今も終わっていない。

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