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土曜日、上野の寺巡りをした帰り、寛永寺から鶯谷まで歩いた。蕎麦を食べて帰ろうと思い、「川しま」に行ってみたが、どうも敷居が高い。
まだ、昼過ぎだが酒を飲んで帰ろうと思い、駅まで戻ってきて、見覚えのある店の前に来た。確か、「孤独のグルメ」で見た店じゃなかったか。
「鳥椿」。
本当は立ち飲みに行きたかったが、とりあえず入ってみることにした。
13時を過ぎたばかりだが、客は何人もいる。カウンターはボクが入って満員になった。
店の造りがおもしろかった。カウンターの後ろは幅の狭い小上がりになっており、くつろげるようになっている。なかなかおもしろい。
カウンターに座って、「ホッピー」と告げると、目の前に立つ厨房のマスターはすぐさまこう返した。
「大中小、どれにします?」
思いもよらぬ回答でボクは思わず、「え?」と言ってしまった。事情を飲み込めぬまま、少しかたまっていると、マスターはもう少し説明を加えてくれた。
「ジョッキのサイズがあるんですよ。大中小と」。
実は、それでもボクはまだ分からず、考えた結果、「もしや、飲みきりのホッピーか」との結論に達し、がっくりした。
まぁいい。ここは中ジョッキ(490円)にしとくか。
そうすると、ホッピーの外がしっかり出てきた。おや、飲みきりではないのかと思っていると、店長さんがカウンターに置かれた「キンミヤ」の一升瓶を指差して、「ナカ」は「好きなだけ入れてください」と言った。
マジか。
近頃、「やきとりセンター」のホッピー「ナカ」入れ放題が話題にあがっているが、どうやらその先鞭をつけたのが同店のようだ。ボクは一升瓶を手に、やや緊張しながら、キンミヤを注いだ。かなり、濃いめのホッピーになった。
さて、つまみをどうするかと背後の短冊メニューに目をやると「名物チューリップ唐揚げ」という文字。これが1個単位で注文できる。ひとつ90円。
ボクは8個(720円)をオーダーした。
鳥のつまみの充実ぶりはかなりすごい。一見、串焼きの店とばかり思っていたのだが、そうではなく鳥焼き各種は皿で供される。いずれも、鶏もつだ。
そうするうちに、隣の客がサイコロを振り始めた。
青と赤のあカラフルなダイス。チンチロリンらしい。
ゾロ目でハイボールが無料になり、2個のサイコロの和が偶数ならばハイボールが半額になるらしい。
これが、「チンチロリン ハイボール」か。
その隣のご仁は、偶数の目が出て、見事半額でハイボールを手にした。
ホッピーの「ナカ」も大中小で金額が違う。それぞれ400円、300円、200円だが、この価格をみると「ナカ」が、それほど安価というものでもない。もちろん、ジョッキになみなみ注げば安価だが、実際そういうわけにもいかず、たいていはそこそこのところまでしか入れないだろう。ボクの場合、8分目まで注いだが、量換算にすると、300円分相当かも。
とまれ、自分で注ぐ「ナカ」は新鮮で面白い。しかも、ホッピーと「チューリップ」の相性も抜群だ。
濃い目のホッピーは、計3杯のおかわり「ナカ」をもたらした。「ナカ」だけで、900円。これをみても、必ずしも経済的とはいえず、むしろ店側の戦略に、してやられたと言えなくもない。
それでも、うまい酒であったことは確か。鶯谷の昼酒は「信濃路」の対抗として、記憶に留めておこう。
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