北区のソウルフード、「からし焼き」が立ち飲みでいただけちゃうもんだから、すっかり気にいっちゃって。わざわざ電車に乗って再訪した、赤羽岩淵の「ソルト」。18時過ぎの入店で、逆L字の長い編に相当するカウンターはもはや満員気味。自分は入口手前の短い編の方に通され、ぽつんと一人立たされた。
まぁいいさ。
すぐさま、「ホッピー」をオーダーして、「からし焼き」も注文。
ところが、最近、「からし焼き」の代わりに、「麻婆豆腐」を出していて、評判がいいという。そこまでおっしゃるなら。「麻婆豆腐」にするしかないでしょ。
それがこれ。
糸唐辛子がのった、本格的な麻婆豆腐。
うわ、見てるだけで体が熱くなってきそうな。
一口いただくと、確かに本格派の「麻婆」。花椒が効いていて痺れる辛さ。これは確かにうまい。ただ、この辛さは「ホッピー」とは相容れない。「からし焼き」は唐辛子のピリ辛だが、四川の痺れ系は炭酸系飲み物はきつい。この料理にはやはり紹興酒だろう。
奥のカウンターに陣取るタチノミストらはどうやら常連さんのようだ。皆さん、一人客のようだが、時々話している様子が窺える。カウンター中央にポジションする人は店のBGMに聴き入っていた。この日の音楽は日本のロック。聴いたことのないバンドだったが、確かにギターがかっこいい。店員さんと音楽の話しをしているから、共通の音楽観があるのだろう。
手前側にいるおっさんは、アメ横の立ち飲み、「三幸商店」の話題を店員さんにしている。
「昨夜『三幸商店』で4万円使っちゃって」。
「立ち飲みで4万円なんて、普通使わないでしょ」。
「みんなに奢ってたら、そんな金額になった」
どうやら、この方「三幸商店」の常連でもあるらしい。アメ横の魚屋系立ち飲みの走り、「三幸商店」は確かに見どころのある店だったが、一回行ったきり、その後食指は伸びなかった。ノリの問題だったかのかもしれない。あの立ち飲みストリートに集まる客は、独特なノリがあった。遊び人風の正体の知れない人ばかりで、自分のリズムとは違う人々が多くいた。今、カウンターで「三幸商店」の話題をしているおっさんもそんな人種に見える。
一瞬、そのおっさんに話しかけようと考えたが、カウンターの物理的な距離がそれを阻んだ。ただ、結果的に話しかけなく良かったなと思う。
「中」をおかわりして、この後の展開を考えた。
一人離れた場所のカウンターで隔離されたみたいで、なんともつまんない。「麻婆豆腐」は確かにうまいが、「ホッピー」には不向きだったし、この後もあまり面白いことが起きそうにないので、これにて締めることにした。
恐らく常連さんらは、いろいろな立ち飲みを知っている手練の人だろう。もしかすると、赤羽の中心地に飽きて、この赤羽の奥に辿り着いたか。渋谷センター街を抜けた先は近年「奥渋」と呼ばれ、賑わいを見せている。もしかすると、赤羽も奥の街がムーヴメントを起こしたりして。それなら奥の赤羽は奥羽と呼ばせてもらおう。
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