
大井町には妖精がいるという。妖精はサラリーマン風の出で立ちで、一人寂しく歩く人に、優しく声をかけ、一人でも安く楽しめる酒場を案内するという。
「ブルータス」2016年8月15日号。宮川サトシさんの漫画による大井町のページは痛快だった。正体不明のおじさんに、次々といい店を紹介してもらうという、筋書き。その中の一軒に、「晩杯屋」があった。いつ前を通っても、混んでいる店舗は、その界隈でも、特に繁盛店である。
宮川さんの漫画では、注文を告げる前に、その品物を出す、カリスマ店員がいる店として、紹介している。過去、ボクは2回ほど、この店舗に行ったことがある。注文を告げる前につまみが出てくるかは、さておき、店員らの無駄のない動きに感嘆したことがある。さすが、「晩杯屋」2店目のお店だ。
そんな同店に久々に行ってみたく、ボクは足を向けた。
相変わらず、店は混雑していたが、なんとか一人分のスペースを空けてもらい、ポジショニング。いつも通り、「ホッピーセット白」(370円)と「煮込み玉子」(150円)をオーダーする。この注文は、もはや「晩杯屋」での定番となりつつある。
宮川さんの漫画に描かれているカリスマ店員さんも気になるが、ボクはかねてより、注目している店員さんがいる。多分というと失礼なのだが、小柄の女性である。てきぱき度が他のスタッフより、格段に違う。その動きだけを見てても飽きることはない。この日も、やはり彼女はいた。主に店の奥側のカウンターを担当していて、ボクのいる店の手前側には来ない。だから、俯瞰して、彼女の動きを眺めることができる。僅か3回の訪問だが、いつ来ても彼女はいる。一体、彼女はいつ休んでいるのだろうか。
「煮込み玉子」、いわゆる「にこたま」を片付けて、「チーズカリカリ」(150円)に。予定通りである。
ボクは、「晩杯屋」で、宮川さんのように、「刺身」は頼まない。飲みものがホッピーだから、どうしても揚げものが中心になってしまうのだ。
ホッピーは、きっかり「ナカ」(220円)を2杯おかわり。充実の「晩杯屋」だった。
前述した「ブルータス」の大井町のページから数ページうしろに、吉田類さんが中野の街をナビゲートしている。ボクもかなりあちこちの酒場に通ってきたが、今まで、一度も類さんに遭遇したことがない。もしかすると、彼こそが妖精なのかもしれない。
■「 晩杯屋」の過去記事
居酒屋さすらい 0488 - 『いこい』のDNAを受け継ぐ店 - 「立ち飲み 晩杯屋」(品川区小山)
居酒屋さすらい 0828 - 都内最大級、「いこい」の息子たちよ - 「立呑み 晩杯屋」(板橋区大山東町)
居酒屋さすらい 1008 - 生き血を吸われるが如く店舗増殖中 - 「立呑み 晩杯屋 大井町店」(品川区東大井)
居酒屋さすらい 1221 - 第二形態、東京の立ち飲みのメッカへ - 「立呑み 晩杯屋 新橋烏森①店」(港区新橋)
居酒屋さすらい 1251 - 上野を素通りしたわけ - 「立呑み 晩杯屋 鶯谷店」(台東区根岸)
居酒屋さすらい 1262 - ザギンなら、もしかすると「ロマネ・コンティ」を… - 「立呑み 晩杯屋 銀座店」(中央区銀座)
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