さすら碑 043 - 貫通にこぎつけた人間臭さの軌跡 - 「埼大道路貫通記念碑」（さいたま市浦和区北浦和）

北浦和駅西口開設記念碑のすぐ隣に、もう一基の記念碑が建っている。

「埼大道路貫通記念碑」。

記念碑に刻まれた埼は、実際には土編に立で構成された埼である。

PCの変換では出てこないでの、通常の埼で表記するしかない。

山崎さんとかで、山﨑さんと書く人がいるが、漢字的にはどちらも同じ字らしい。どっちを使ってもいいようで、人名の場合は戸籍に準じているとのこと。

ならば、恐らく埼玉の埼も同様だろう。

埼大とは埼玉大学のこと。埼大道路は北浦和駅から西に3.6kmほど伸び、埼玉大学に続いている。

その道がその先の道路とつながり、貫通した記念碑がそれである。

その記念碑の経緯は碑文を読めば一目瞭然だ。

以下、碑文の一部である。（google ha kaさんの口コミ抜粋）

「現在開通しているこの埼大道路は当初北浦和駅と大久保土合地区を結ぶ最短距離幹線道路として沿線地区住民の強い要望と猛運動が功を奏して苦節10年余今まで陳情等では極めて難色だった埼玉大学及び文部省当局と埼玉県を動かし」たという。県側が示した3つの案のうち、「当時東部地区一部商店の強い反対ありその前途はすこぶる多難であったが本会の顧問相談役及会長以下93名が東奔西走せる努力の甲斐あって当会が強力に推進した第三案が県当局とその関係機関の了承を得るところと成り決定、時これ昭和40年2月誠に劇的期日」に相成った。

「然し当時埼玉県の土地買収価額と建物買収費及び移転費用などは極めて低価額でありたとえば駅に近い大戸地区の一等地が坪当たり僅か3万円4万円台であったが沿線地主の深い理解とこうした尊い犠牲の上に今日の驚異的地区発展が実現されたのであります。然し乍らその道路完成に生涯をかけた幾多の先輩が今日の道路完成と現在の繁栄を見ず他界した故人の栄誉と功績を永く後世に伝えるための碑を建つ」とある。

埼大道路貫通期成同盟建立。

この同盟という言葉をみると、どうも成田闘争の反対同盟が頭に浮かぶ。

この埼大道路貫通事業で成田空港反対闘争ほどの凄惨な闘いがあったとは思えないが、そこには厳然とした分断があったことは容易に想像がつく。

その隣に建つ西口開設記念碑には感じない、達成までの凄みとその軌跡を感じる記念碑である。