この日は前日からもう決めていた。Iサカの帰りは「アーンドラキッチン」だと。
湯島界隈には好きなお店はいくつかある。立ち蕎麦だと「きぬそば」、八重山そばの「みやら製麺」、カレーなら「カレーは飲み物。」。でも、この日は絶対に「アーンドラキッチン」と決めていたのだ。
店頭の黒板に、その日のカレーが出ていて、それを確認してからその日の戦略を練る。日替わりのカレーは3種類。辛、中、甘の3種類に肉、野菜のカレーで記載される。この日は中辛に「ケララチキン」、甘口には「サブジ」で、一瞥するなり、この2種類で決まった。数日前から「ケララチキン」が食べたかったから、この日はラッキーだった。
「アーンドラキッチン」は本当に久しぶりで、ランチのメニューを見たら、自分がいつも食べていたセットが890円になっていた。140円も値上げされていて驚いた。ただ890円でも、このお店のカレーはまだ安いと思う。750円が安すぎたのだ。890円のセットはカレーが2種類にサラダとラッシーがつく。しかもご飯のおかわりは本場インドと同様、際限ない。
先述のとおり、「ケララチキン」と「サブジ」、そしてチャパティをオーダーした。何度も言うように、「アーンドラキッチン」についてはチャパティがいただける都内でも数少ない「町インド」である。
うお、久しぶりのミールス。ここはあえてターリーではなく、南インド風にミールスと言おう。もう心が躍っちゃうよ。
「ケララチキン」はもう抜群の旨さだったし、「サブジ」だって素晴らしすぎ。最近、巷に溢れているスパイスカレーって、やたらとスパイスを入れてしたり顔になっているけど、本当にうまいインドカレーってそうじゃないと思うことを「アーンドラキッチン」は証明してくれている。
チャパティはもう速攻で食べ終え、次はライス。これもすぐになくなって、ライスおかわり。「どのくらい?」とお店のご主人。「いっぱいください」と答えると、こんなにライスを持ってくれた。
基本的に南インドのミールスはとにかく際限なくご飯をおかわりすることができる。その精神を日本でも実践される「アーンドラキッチン」はすごい。
無我夢中でいただいてしまい、気がつけばお腹いっぱい。大満足である。
お会計の時に、ご主人にこう言われた。
「随分お久しぶりですね」。
はじめは多分人違いだと思った。自分はそんなに常連ではないから。でも、もし覚えていてくれたのなら素直に嬉しい。ご主人に、「仕事辞めたので、こっちに来なくなっちゃって」と言ったら、
「もう一年くらい来られてない?」
「いえ、多分一年半です」。
家に帰って、かみさんにそのことを話すと、「チャパティ頼む日本人てあなたくらいじゃないの?」。
いや、自分だけじゃないと思うけど少数派ではあると思う。でも、覚えていてくれていたら本当に嬉しい。だから、このお店は繁盛しているのだろう。
カレーだけでなく、チャパティもインディカ米もうまそうだなあ・・・。
御徒町は宝石屋さんの問屋が集まっていて、そこで商売をするインド、バングラデシュの人が多いんだ。だから、この界隈には本格的なインドカレー屋が軒を連ね、味の研鑽がされているのだと思う。よくこのお店でインド系の人がランチを食べたりしているのを見かけたけど、本場の人がお客さんにいると、本物なんだなって。
師の作るカレーだって、超本格インドじゃないか。