懇親会が終わって外に出ると、近くにいたM平社長から声がかかった。
「『鯛めし』食いに行きましょう」と。
実は、この日のランチも「鯛めし」だった。「味倉」という道後温泉商店街の入口付近にある店で、南予のそれをいただいた。南予というのは、いわゆる宇和島である。松山市は愛媛県でも中予に分類される。その中予の「鯛めし」は鯛をご飯と炊き込むらしい。そして、明日の昼飯も「鯛めし」が予定されている。今はまだ「鯛めし」っていう気分じゃないが、酒はまだ飲み足りない。
「行きましょう!」
力強く答え、M平社長と専務、N刊自のO槻さん、PトリオスのH口さんで商店街に繰り出した。
するとホテルから程近いところに「鯛めし」と染められた暖簾の店があった。その白い暖簾が清々しい。その上にある黒いプレートに達筆な文字で、「丸水」とある。外観はシャレオツな感じで、女性にはウケが良さそうなお店だ。
そういえば思い出した。昼間、この店の前まで来てメニュー表を繰ったら、「鯛めし」が2,100円もしてやめた。結局、千円台前半の「味倉」でランチにしたのだった。
「丸水」は外観も素晴らしかったが、内装もウッド調で調えられていた。我々は2階に案内され、窓際のカウンターに座った。
ますば「ビール」から。ナショナルブランドもいいが、ここはやはりクラフトビールでしょ。
「道後ビール」のボトルをチョイス。やや軽いピルスナーだがうまい。
つまみは、「じゃこ天」(下画像中央)。そして、「ふくめん」(下画像右)。紅白にきれいにあつらえれた郷土料理である。
「丸水」のホームページにはこう書かれている。
「細切りにしたこんにゃくを甘辛く煮て、その上に、紅白の鯛そぼろ、ネギとミカンの皮を彩りよく4等分に敷き詰めた料理。名前の由来は、下が見えないように覆い隠すことから覆面や『含め煮』がなまって、ふくめんになったとも言われています」。
紅白のそぼろに箸をつけると下のこんにゃくが見えてきた。見た目もきれいでうまい。
気がつくとビールがなくなり、酒を注文していた。
残念ながら、銘柄は分からない。既に酔いが脳ミソの海馬を麻痺させている。ただ、抜群にうまいことは確か。すいすいと口に入っていく。
H口さんは酒よりも「鯛めし」が目当てのようだ。しかし2,100円はちょっとつらい。
後で分かったのだが、この「丸水」、「鯛めし」ではかなり名が通った店のようである。その歴史は100年以上も受け継ぎ、秘伝のタレは今に至る。
「味倉」の「鯛めし」のタレには玉子が入っていなかった。それに対し、「丸水」の秘伝のタレには玉子が落とされている。「味倉」の場合、多分タレではなく、たまり醤油のような気がする。「丸水」は確実にタレだ。しかも「丸水」の鯛は一本釣りの天然と養殖の「鯛一郎クン」の二種類。天然ものは限定とのこと。卵は熊野養鶏で生産する「美豊卵」を使用し、米も地元のものをオリジナルでブレンドしているらしい。選りすぐりの地産地消を実践している。どおりで高いはずだ。
結局、M平社長が全額支払ってくれた。あぁ、それなら「鯛めし」いただいておけば良かった。
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