
インディラガンジー空港に着陸し、飛行機を降りた際に期待した熱風は、ほとんどなかった。
空港はエアコンで温度管理が適度にされ、整然としていた。
あれから20年、インドは大きく変わったのだろう。
20年ぶりに友人に再会した。
「俺深 インド編 ニューデリー」に登場するボブネッシュ。彼のクルマに乗り、わたしは彼の自宅へと向かった。
空港の近くはビルが林立し、ニューデリーにはメトロが走る。インド人も洗練され、多くの者がスマートフォンを持っている。
インドは変わっていた。
だが、ニューデリーを過ぎ、ヤムナー河を渡ると、急に懐かしい風景に変わる。
インド特有のすえた匂いがしはじめ、古い商店がカオスのように密集する。
クルマの列も秩序なんてものはなく、ルール不要に動いている。
インドでは、何が起きても不思議ではない。
わたしはずっとそう思って旅をしてきた。
だが、20年ぶりに見たインドもやはりおなじだった。
ボブネッシュの家は建て替えられていた。
だが、家の近所には、野良犬が相変わらず道をふさぎ、道端はゴミで埋め尽くされている。クルマやバイクはクラクションを鳴らし、ボブネッシュの家の前の公園には、野生のリスが元気に遊びまわっている。
インドは変わっていなかった。
ラクシュミナガルの駅前で、サトウキビジュース、いわゆるネガラをしぼってもらった。しぼったタライにハエがたかり、ジュースを入れるグラスはただ水をくぐらせただけで、洗い流す。
それにネガラはなみなみ入れられ、店の兄ちゃんはわたしに差し出す。
ちょっとわたしは躊躇する。
今まで、平気だと思っていたインドの衛生状態に、わたしはいくらかの不安を覚えた。
一口飲んでみる。
懐かしい味だった。
おいしい。
インドを放浪した20年前、わたしは日に何度も、ネガラを飲み、チャイを飲み、コーラのバッタもんのサムズアップを飲んだ。
なんのためらいもなく。
だが、どうしたことだろう。神経質になったわたしは。
変わったのはインドではなく、わたしの方だったのかもしれない。
気をつけろよ、師よ。当時師が、俺に言ったように、印度の水や氷には。
なお、師が変わったんじゃないよ。師の、旅のスタンスが大きく変わったから、印度の衛生状態に慣れていない体で立ち向かうことになってリスクが増えてしまってるだけだ。
だから、師が気をつけるのも、至極当たり前のことだと思う。
印度、楽しんでくれ、師よ。
早速、ありがとう。
いや、昔はなんとも思ってなかったものが、やけに気にかかるものがあるよ。
衛生状態だけじゃなく、色んなことが。
それは多分、20年前よりも確実に知識が増えたんだなって、そう思う。
ボブネッシュの家に居候してるよ。
ツーリストを見かけない街で、インド人の3世代家族と濃厚な日々を過ごしてる。
今日の気温は47℃だった。
チャンドニーチョウクをちょっと歩いたけど、もうふらふら。
じじいや子どもにインドは無理だよ。
ただ師よ、昼に印度を歩いちゃいけないよ。
印度で俺が自転車で真っ昼間に爆走してた時、じいさんに呼び止められて、「昼間に動いちゃいかんぞジャパニ。宿で昼寝しとけっ!!」って真顔で叱られた、そんな行為と同じだから。(笑)
それにしても昔の印度の友とのネットを発端としての再会。凄い時代になったねえ。っていうか、それを凄いうと思う俺らが、オッサンになったんだねえ。
くれぐれも気を付けてまた入院などしないよう!
土産話、楽しみにしてるぜ~。
ボブネッシュも同じこと言ってるよ。
「昼間は休んでよう」って。
昼間に動くと本当に具合悪くなるかも。
20年前は平気だったんだけどね。
怪鳥、カレーの匂いのゴルフボールどころか、ゴルフボール自体、売ってないよ。
焼鳥食べて~。