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オレたちの「深夜特急」~インド編 ウダイプル 2 ~

2019-02-24 21:28:19 | オレたちの「深夜特急」

ウダイプルのバスターミナルに降りた乗客は、わたしを含め、僅か5人だった。彼らは、各々行く場所が決まっており、そそくさとその場を立ち去っていく。またもや、一人取り残されたように、わたしは薄暗いバスターミナルに立ち尽くしていた。リキシャーワーラーの一人でもいれば、まだ寂しくもなかったが、だだっ広い野原のようなバスターミナルに、彼らは一人もいなかった。

夜中の宿探しは、どうも得意になれない。中国でも何度か経験したし、インドに来てからは、もう4回目だった。これまでは、何度か切り抜けてきたが、果たして今夜はどうだろうか。それとも、まだ少し安全な、このターミナルで朝が来るまで、待っていようか。4月終わりの北インドの夜は、まだ十分に気温が高く、野宿も問題はなさそうだった。

「ちょっと、街を散策してみようか」。

時刻は22時を回ったばかり、まだ宵のくちである。ザックを背負って歩き出すと、少しずつ辺りは賑やかになってきた。ニューデリーの次に訪れたマトゥラーより都会である。これならば、十分簡単に宿は見つけられるだろうと踏んだ。しかし、今回は そう簡単にはいかなかった。30分くらい、街をほっつき歩いたものの、宿が見つからなかったのである。途中、リキシャーワーラーが近づいてきて、「いいゲストハウスを知ってる」と声をかけられたが、無視をした。どうせ、高い宿に連れて行く気だろう。それだけ、高いキックバックをせしめることができる。

そんなとき、露天のチャイ屋を見つけた。そこで、休みがてら、情報を聞いてみようと思った。チャイは1杯7ルピーもしたが、強欲そうな大きな体のオヤジに、「夜間料金だ」と言われてしまい、長いバス乗車に疲れていたこともあって、わたしはつい納得してしまった。温かいチャイをいただきながら、オヤジに、「このあたりに安いゲストハウスは知らないか」と尋ねると、彼は「ホテルは城壁の中に入らないとない」と言う。「その城壁は遠いのか」と訊くと、彼は「リキシャーで10分くらいかな」と言った。がたいが大きいわりには、このような素直なインド人もいるのだなと感心した。

しかし、リキシャーで10分は難儀だ。わたしは、引き返し、バスターミナルで野宿をしようと考えた。一泊分の宿代は節約できるし、ほっつき歩くリスクを避けたかった。バスターミナルは、野天だが灯りもついており、人もいるから安全だろう。すっかり野宿のつもりで、わたしはバスターミナルに戻ってきたのだった。

ターミナルのベンチに腰かけ、しばらく煙草を吸っていたが、手足に蚊が集まり始め、わたしはザックから蚊取り線香を出して焚いた。すると蚊は集まらなくなった。

わたしは、ザックを枕にして、ベンチに寝転がった。そういえば、この旅を通じて、野宿は今回が初めてだ。まさか、インドが初めての野宿になるとは思わなかった。

そんな風に考えながら、物思いに耽っていると、急に人の気配がした。起き上がってみると、そこにはボロのサリーをまとった老婆が立っていた。

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