その店を発見したのは、半年ほど前。豊島中央通り商店街の「鈴大酒店」に行く途中のことだった。
「こんな店、あったっけ?」
比較的新しい店舗が目についた。
しかも、名前は「インデアン」。
そのフォントにも見覚えがあった。これって、もしや蓮沼にある「インディアン」じゃないか?
19年前、ボクは蒲田で働いていた。蓮沼の「インディアン」までは徒歩15分。昼飯を食べに何度か行った。あの「インディアン」が、我が家の近所に。何故?
すぐさま、ネットで調べると、間違いなく、「インデアン」は蓮沼の「インディアン」直系の店だった。創業の弟さんのお店で、昭和34年に「インデアン」が開店したという。昭和34年?もはや半世紀以上も前。もしかして今と同じ場所に?だとしたら、自分の目は節穴か?ボクは豊島に住んで、今年で12年目。月に一度は、「インデアン」の前を通って「鈴大酒店」に酒を買いに行く。何故、今まで11年も気づかなかったのだろう。
ともあれ、その「インデアン」に、昨年暮れから、何度かチャレンジを試みた。12時台は混んでるだろうから14時頃行ってみるかと、向かったところ、既に売り切れで閉店。次の機会に13時半頃行ってみたら、またしても売り切れにて閉店。どんだけ人気なんだよと、今回3度目の挑戦をした。口開け直後の11時半を狙って。お店到着は11時43分。それでも3人の客がいた。カウンター5席か6席の小さな店では、それだけで窮屈感あり。それでも、店に入れただけラッキーだ。
ボクの狙いは「特製カレーライス」(900円)のみ。ラーメンと半カレーのセットがスタンダードな中、敢えてボクは一点買い。
やがて、出てきた「特製カレーライス」は、真っ黒なカレーソースとアーモンド型に固めたご飯というモノトーンのコントラスト。ご飯はピカピカで、しかも一粒一粒が立っている。これは素晴らしい。カレーソースを一口すくって口に運んでみる。赴きいた以上の強いコク。かなり変わった味だ。たまねぎの味は分かるのだが、それ以外の多層な味が分からない。スモーキーでもあるし、ビターな味わいでもある。「デリー」の「カシミール 」も黒いが、全く別物。「カシミール」は清涼感があるが、「インデアン」のカレーにはそれがない。一体どんなスパイスを使っているのだろうか。
ただ、間違いなく言えることは、抜群にうまいということ。
これが、武田流古式カレー。もはや19年前の記憶もなく、これが、武田流カレーかと思ったりしたが、しかし、とにかくうまいのだ。ちなみに、武田流古式カレーの源は、「インディアン」の創業がかつて修行した、資生堂パーラー。なるほど、上品な欧風カレーの源流は、そこだったのかと。
あっという間に完食してしまった。
自分の住む街にある、最高のカレー。「インデアン」は、豊島の誇りである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます