雲の上には宇宙(そら)

 雪国越後にて、30年ぶりに天体写真に再チャレンジ!

期待以上だったステラショット3アップデータ3.0fの検証結果 (ZWO社CMOSカメラのカラーバランスを改善)

2024年04月28日 | 画像処理のはなし
一昨日(4/26)夕刻、アストロアーツ社からZWO社CMOSカメラのカラーバランス改善を含む
アップデータを公開した旨のメールが届いた事は前回記事の編集後記でお知らせしました。
このステラショットのZWO社CMOSカメラに対する不具合(撮影画像が青くなる)については
当ブログで何回にもわたり取り上げ、アストロアーツ社にも改善要望を上げてきた経緯があります。

他のステラショットユーザーからのアップデータの要望も届く中で、
アストロアーツは頑張って5月の新月期前にアップデータ3.0fを公開してくれました。
そこでこちらも頑張ってアップデータ3.0fの改善項目のうち、
ZWO社CMOSカメラのカラーバランス問題に絞って検証を行いましたので以下報告いたします。

まずはアップデータインストール後 驚かされたのが、この設定画面。↓
ホワイトバランスで[デフォルトに戻す]でこれまでの青みがかった画像になります

わたしはてっきり設定項目はそのままで、ホワイトバランスが改善された撮影画像が保存されるだけと思っていたのですが、
なんと、”ホワイトバランスはユーザーが自由に設定してください” という、
そこまでやってくれるか、やれるのか という驚き。(ただ実際の使用ではR(50)・B(50)しか使わないと思いますが・・)

今回の検証でも比較のため、カメラメーカーのZWO社が無償で提供しているASISTUDIOも使っているのですが、
こちらはホワイトバランス設定はおろか、オフセット設定すらできません。

お待ちかねの検証結果の報告に入りますが、
こちらは上の設定画面のホワイトバランスをR(50)、B(50)( Gは基準で50だと思います )で検証を行いました。

まずは アップデータ前後の比較 をいくつか
なお検証はバイアス(ダーク)フレームを撮影して行いました。
バイアス(ダーク)フレーム って何? という方は → こちら

まずは私の使用カメラASI533MC ProのユニティーGain100での比較です。
左側アップデータ以前にはカメラメーカーのデフォルト設定値を適用していたため
青(B)のみが異常に高いレベルとなり、ベイヤー(モノクロ)画像では格子状となり、
ヒストグラムでは青(B)のピクセルが右側にもう一つのピークを作っていました。
それが今回公開されたアップデータをインストールしてホワイトバランスを均等(R50・B50)に設定することにより
格子状から通常のランダムノイズ画像となり、ヒストグラムも一つのピークになりました。

これでやっとバイアス(ダーク)フレーム を撮った本来の目的である、適正なオフセット値を求めることができます。
上の例でいえばオフセット値は”6”で十分な事がわかります。(実際の撮影では”光害”の天然オフセットが加わることも考慮して)
わたしはユニテーゲインではなく、撮影の効率性も考慮して少し高めのGain150を設定していますので、
ついでにGain150のオフセット値も調べてみました。↓
Gain設定を真似たい方は拡大してご覧ください
上のヒストグラムから私のカメラでGain150ならオフセットは”8”もあれば十分なようです。

ほかにも検証データは撮っているのですが(たとえばASI533MCのオフセットデフォルト値”1”とか)
上の検証結果だけでも指摘されていた問題点が解消されていることは明らかでしょう。
そこで最後に記事の前の方でにふれた、カメラメーカーZWO社の無償ソフトASISTUDIOとの比較になります。
こちらは厳密な比較となるよう、冷却温度0℃で撮りなおしています。
ASIStudioはオフセットの設定はできないのですが、デフォルトでOffset70になることがわかったので
その設定に合わせてステラショット3(3.0f)でも撮って比較しました。
似たようなノイズ画像および瓜二つのヒストグラムとなったことから、
ASIStudioでも同じようなホワイトバランス補正が行われていることが推察できました。

以上の検証結果から、これで安心してダーク・フラット画像の作り直しに取り掛かることとします。

なおこれから迎える5月の新月期での実撮影で報告するべき事象が見つかれば、ブログにて報告いたします。
まずは めでたし、めでたし。


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今回の問題につきましてはアストロアーツさんにはかなり厳しいことも
書かせてもらいましたが、
その結果が期待を上回るアップデータの公開につながったということで
許していただきたいと思います。
記事内にも書きましたが、CMOSカメラでの撮影においてオフセット設定だけでなく、
ホワイトバランス調整までユーザが操作できるというのは、
海外のソフトに引けをとらないのではないでしょうか。
まして、機材設営からオートガイドまでこなす多機能さは
現在は日本語対応だけという弱点はありながらも
今後は海外展開という展望も持っていいのでは?


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コメント (7)
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