栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

「郵政民営化を堅持し推進する集い」で出てきた昔の名前

2008-12-10 02:11:54 | 視点
 郵政民営化見直しの動きが自民党内に出ていることを懸念して、「郵政民営化を堅持し推進する集い」というのが開かれた。
呼び掛け人は小泉純一郎、安倍晋三氏ららしい。
久々にTVに映った顔を見たが、まるで懐メロよろしく「昔の名前で出ています」という感じだ。
 いまさら「落ちた偶像」の小泉でもないだろうと思うが、そこはそれ根強いファンがまだいるのか、それともこの歌は彼の持ち歌だからなのか、「郵政民営化見直しの動き」と聞いて、居ても立ってもいられずに出てきたようだ。

 ひ弱なお坊ちゃんの安倍はどうせ脇役なのだから出てこなくてもいいのに、久し振りにスポットライトを浴びられるかもと思ったのか、出てきていた。
てっきり政界引退だと思っていたのに、嵐が過ぎたと思ったのか、最近ちょこっと顔を見る。
派手な動きをしているとまた週刊誌に金銭問題を突かれるぞと心配してやりたくなるが、もはや週刊誌にとってはその価値すらないかも。

 そもそも郵政民営化とは何だったのか。
ただ単に地方の不便さ、過疎化を進めただけではないのか。
そうした小泉改革の負の遺産に国民、なかでも弱者は苦しめられているというのに、「痛み」を押し付けた当の本人は未だ反省の弁がないばかりか、自分は今期で議員を辞め、息子に地盤を引き継ぐというのだから、この人の感覚はどうなっているのだろうと思ってしまう。

 まあ、「構造改革」といっても彼の頭の中には郵政民営化しかなく、それさえやれば充分だったのが、竹中某が出てきて「構造改革」という言葉を教えたものだから、以後、黄門様の印籠よろしく「この紋所が目に入らぬか」とかざしたところ、これが意外にも効果があったどころか、見物客にも受けたというわけだ。

 見物客が期待したのは徳川幕府のぶち壊しだったのだが、気が付いたら印籠は逆に徳川幕府を守るために使われていた。
それでも観客は、「この印籠に反対する者は悪代官(抵抗勢力)だ」という台詞と時代がかったやり方が面白いものだから何も知らずに拍手を送っていた。

 そう、裏でアメリカと手を組み、アメリカの言いなりに動いていたのだが、多くの観客はそんなことは露ほども知らなかった。
 アメリカはそれ以前から、日本の金融市場に参入したくて、浦賀に現れたペルーよろしく、日本政府に開国を迫り続けていた。
その際の最大の障壁が郵貯だったのだ。

 郵貯組織は巨大な金融機関であり、政府が財政投融資に自由に使える資金元、いわば「国有銀行」と同じような存在だったのだ。
 これを解体しなければ、仮に米金融機関が日本市場に参入しても旨みがない。
そのため郵貯解体圧力をかけ続けていたのだが、郵政民営化に執念を燃やす小泉がタイミングよく現れた。

 アメリカにとっては願ってもないことが起きただけではなく、小泉・竹中の両人はアメリカの意向以上のことまでやってしまったから、アメリカは驚くやら大喜びするやら。
竹中の金融改革である。
まあ、やり過ぎの感はあったが、今回の世界金融不況が日本に飛び火しなかったのは、その時早めに大手術をしたのがよかったともいえる。
 ただ、あの時、本当にそこまでの大手術が必要だったのか。
内視鏡手術やほかの方法でもよかったのではないかという議論は残る。
というのも小泉・竹中が助けたのは金融機関と大企業だけだったからだ。

 もう「自民党をぶっ壊す」という掛け声に欺されないようにしたいものだ。
今度は我々自身の手で本当に「ぶっ壊し」、新しい体制を作りたい。
この国の国民も夢から覚めるときだろう。





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