栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

旨い酒造りにこだわる6代目の挑戦(1)

2008-12-27 01:36:01 | 視点
蔵の復活に向けて

 よく、こんな状態でやってこれたもんだ。会社の体を成していないではないか。
蒲池輝行は会社の現状を知れば知るほど呆れていた。
それでも一人ひとりがいい腕を持った職人だったのがせめてもの救いだ。
そう感じていた。
一体何から手を付ければいいのか。
やらねばならないことが多すぎて、どこから、どのように手を付ければいいのか思案に暮れていた。
まるで下手に駒を動かすと全部が崩れてしまう将棋崩しのように思えた。

 社業を継いでいた兄が突然倒れ、帰らぬ人となったのが4年前。まだ50歳。逝くには早すぎた年齢だ。
「兄が販売を、私が技術の方をやり、兄弟力を合わせて父の仕事を手伝いたい」
小学校の作文にそう書いたことを昨日のことのように思い出していた。
「兄弟仲良く酒屋をやっていくんだよ」
当時、祖母からはいつもそんな言葉を聞かされていた。
それがこんな形で継ぐことになろうとは予想もしなかった。

 慌ただしく数日が過ぎた頃、会長でもある父、勵(つとむ)に呼ばれた。
「お前にはお前の人生がある


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