相変わらず労働基準監督署から賃金不払い残業(いわゆる「サービス残業」)についての是正勧告を受ける会社が多いのは、褒められた話ではない。昨今は、所定終業時刻後の就労(文字通りの「残業」)については問題が無くても、所定始業時刻前の就労(以下、本稿では「早出勤務」と呼ぶ)について、会社が労働時間を正しく把握していないことを指摘されるケースが目立ってきている。
早出勤務も、残業と同様に、労働時間を分単位で把握して時間外賃金を支払わなければならない。「始業時刻ギリギリに出社するのは社会人としていかがなものか」と心構え的に諭す程度ならともかく、「始業5分前の着席」を会社(上司)が命じていたとしたら、その5分間も会社に拘束されているわけだから労働時間なのだ。まして、始業前に職場の清掃や朝礼への出席等を義務づけていた場合は、それらは明らかに労働であるから、当然、時間外賃金の対象となる。
また、見落とされがちなのが、制服がある職場での「着替え時間」だ。これも、会社が制服着用を義務づけているなら、労働時間に含めなければならない。
ちなみに、制服に着替えてからすぐに仕事に執りかからずおしゃべりに興じているなら、その「おしゃべり時間」まで労働時間に含める必要は無いのだが、だからと言って、「制服に着替えてからタイムカード打刻」を命じるのは、短慮の誹りを免れまい。それは、結果としてタイムカードの信頼性を損ねることになり、訴訟においては却って会社に不利な材料となりえてしまうからだ。
残業であろうと早出勤務であろうと、会社が拘束している時間は、基本的にはすべて労働時間なのだ。ただし、就労していない時間については賃金を支払わないことが可能だが、その不就労時間は会社が把握しておかなければならない、と認識しておくべきだろう。
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