ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

正社員とパートとの役割分担を明確に区分してありますか

2015-11-13 17:38:40 | 労務情報

 パートタイマーを雇用している会社において、通常の労働者(以下、本稿では「正社員」と呼ぶことにする)との役割を明確に区分していないため、法令違反を指摘されたり、労使トラブルに発展したりするケースも見受けられる。
 パートタイム労働法第9条は、正社員と同視すべきパートタイマーについては、「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない」と定めている。
 この「正社員と同視すべきパートタイマー」とは、次の要件を満たすものだ。(ちなみに、以前は「雇用期間の定めが無い」という3つ目の要件が有ったが、法改正により、平成27年4月1日から以下の2要件になっている)
  (1)業務の内容や責任の程度が正社員と同一
  (2)配置変更その他の人材活用の仕組みが正社員と同一

 ここで注意を要するのは、勤務時間が短いことや有期雇用であることは、差別的取扱いを正当化する理由にはならない点だ。すなわち、「パートタイマーだから」という理由だけで、同じ業務に就いている正社員より低廉な賃金で働かせるのは違法ということになる。
 無論、勤務時間が短い(もしくは有期雇用である)がゆえに、あるいは他の理由があって、業務の内容や責任の程度が正社員とは異なる場合は、その「業務の内容や責任の程度」に見合った賃金額を設定するのは問題ない。しかし、そういう場合は、正社員とパートタイマーとの「業務の内容や責任の程度」を明確に区分しておく必要がある。それには、「要素比較法」や「要素別点数法」といった「職務評価(役割評価)」の手法が役立ちそうだ。
 ※「職務評価(役割評価)」に関する詳説は、別の機会に譲り、本稿では割愛させていただきます。

 そもそも、「正社員に任せるべき業務」と「パートタイマーに任せるべき業務」とは異なるはずなのであって、もしも「低廉な賃金で働かせられるから」という理由だけでパートタイマーを雇用しているのなら、その考えは改めるべきだろう。
 そして、正社員であれ、パートタイマーであれ、会社への貢献度を正しく評価して、賃金その他の待遇に反映させる仕組みを作ることが、ロイヤリティの醸成やモラールの向上に寄与するのではなかろうか。


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