ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

労災保険の「二次健診給付」制度について

2018-09-03 10:47:00 | 労務情報

 労働安全衛生法と労働安全衛生規則は、事業規模を問わずすべての事業主に対し、常時使用する労働者に、医師による健康診断(原則は1年に1回以上、特定業務従事者については半年に1回以上)を受けさせることを義務づけている。

 ところで、労災保険には「二次健康診断等給付」という制度があるのだが、これが意外に知られていないようなので、ここで紹介しておきたい。

 「二次健康診断等給付」は、一次健診で「血圧」・「血中脂質」・「血糖」・「腹囲またはBMI」の4項目とも「異常の所見あり」と診断された労働者を対象として、二次健康診断および特定保健指導の給付を行うというもの。現金給付ではなく現物給付であるので、実感としては「二次健診等が“無料で”受けられる」という理解で良いだろう。
 ただし、二次健康診断等給付の対象となるには、「4項目の異常所見」の他に、「脳・心臓疾患の症状を有していないこと」という条件もある。現に脳疾患・心疾患の症状が出ている場合、または、これらの治療中である場合(一次健診の結果が「要治療」であったか否かには関係ない)には、二次健診給付の対象とはならないので、要注意だ。
 なお、これは労災保険の制度であるので、労災病院や都道府県労働局長から指定された医療機関でないと実施していない。特に、専ら健康診断のみを行う「健診センター」等は、この指定を受けていない可能性もあるので、確認しておく必要があるだろう。

 それにしても、「血圧」・「血中脂質」・「血糖」・「腹囲またはBMI」のすべてについて「異常の所見あり」というのは、症状としては発現していないとしても、非常に危険な状態と言わざるを得ない。従業員の健康管理に関しては、事業主もその責任の一端を担っていると認識すべきであり、そのために国の制度が使えるなら活用を考えたいものだ。


※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
 よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
 (クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
  ↓

 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする