7月11日は「某コンビニエンスストアの日」だとか。今年の7月11日(木)には、そのコンビニチェーン本社前で、フランチャイズ店オーナーらが抗議活動をしたそうだ。
今春3月15日に、中央労働委員会が、フランチャイズ契約に基づいてコンビニエンスストアを経営する“店長”について、「労働組合法上の労働者には当たらない」との判断を示したのは、記憶に新しいところだ。
これは、コンビニオーナーで組織する労働組合が大手フランチャイザー2社に対して求めた団体交渉を会社が拒んだことが、団体交渉拒否(労働組合法第7条第2号で「不当労働行為」とされている)に該当するかどうかについて争われたものだ。初審(岡山地労委・東京地労委)はいずれも会社に対して団体交渉に応じるよう命じたが、会社がこれを不服として、中労委に再審査を申し立てていた。
中労委は、この問題を、①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性、④顕著な事業者性の4側面から検討し、「本件加盟者(コンビニオーナー)は労働組合法の保護を及ぼすことが必要かつ適切と認められる者として‥労働組合法上の労働者に当たると評価することはできない。」、「(このことからすれば)会社が組合の団体交渉申し入れに応じなかったことは‥団体交渉拒否には当たらない。」と結論づけた。
よく誤解されるが、これは、中労委の、言ってみれば“行政機関”としての判断である。少なくとも外見上は「個人事業主」であるコンビニオーナーが自らの意思で交わしたフランチャイズ契約を覆すに足る法的根拠が見当たらなかったという意味でしかない。
組合側も、これは想定内であったようで、次の段階として、訴訟に移行する準備がある旨を早速表明している。
となると、“司法”がどう判断するか気になるところだが、類似の裁判例としては、INAXメンテナンス事件・新国立劇場事件(いずれも最三判H23.4.12)が挙げられよう。
前者は住宅設備機器メーカーから修理補修業務を請け負っていたカスタマーエンジニアが、後者は劇場と上演契約していたオペラ歌手が、それぞれ労働組合法上の労働者に当たるとして会社は団体交渉に応じるべきとされたものだ。
これらの最高裁判決は、コンビニオーナー側に有利な材料となりそうだが、一方で、カスタマーエンジニアやオペラ歌手は労働者を雇っていなかったという点において、自身が労働者を雇う立場にもあるコンビニオーナーとは異なることは、裁判所も考慮するだろう。
また、これも誤解されやすいのだが、争われているのは「労働組合法上の労働者」に該当するかどうかであることも忘れてはならない。
上述の新国立劇場事件においては、当該オペラ歌手について、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認および賃金支払いの請求に関しては、いずれも棄却されている。
「コンビニオーナーは労働者か否か」の問題は、コンビニチェーンだけに限らず、すべてのフランチャイズ契約に影響を与える話でもある。この記事では触れられなかった法整備の動き(“立法機関”の動向)も含め、今後も注視していくべきテーマと言える。
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