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育児休業中の賃金一部補償で育児休業給付の減額も

2011-07-03 16:54:51 | 労務情報

 育児休業中の従業員に対して賃金を一部補償することを検討している会社が増えてきている。
 「仕事と子育ての両立支援」という社会的ニーズを反映した企業イメージの向上やリクルーティング上の好材料となること、また、ベテラン従業員の出産退職による戦力低下を防ぐという直接的な効果を含めて、従業員の定着率アップとロイヤリティ醸成も図れること等を考えれば、業態や従業員構成によっては会社が負担するコスト以上のメリットが期待できそうだからだ。

 ところが、補償される賃金の額によっては、雇用保険制度から支給される「育児休業給付金」(かつては「育児休業基本給付金」と呼ばれていたもの)の額に影響が出てしまうので、注意を要する。
 育児休業中に賃金が支払われた場合、育児休業給付金は、賃金との合計額が「休業開始時賃金月額の80%以上」になると、その超えた分は受給できなくなる。
 現行制度における育児休業給付金の額は「休業開始時賃金月額の50%」であるから、支給対象月に支払われる賃金額が30%を超えた場合には、その上回った分が育児休業給付金から減額されるため、育児休業者本人の収入総額は変わらないことになる。それどころか、会社から支払われた賃金が「休業開始時賃金月額の80%以上」であった場合は、育児休業給付金は全額支給停止となるのだ。

 計算上は、会社が賃金を補償することで労働者の不利には決してなりえないのだが、感情的には、「育児休業給付金が減額される」ということに対する不満を持つ者が出るかも知れない。
 会社としては従業員に良かれと思って賃金補償制度を導入したのに、それが徒となってしまうのでは意味が無い。新たな施策を採用するにあたっては、こういった心理も考慮に入れて検討する必要があるだろう。


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