声の仕事とスローライフ

ただ今、仕事と趣味との半スローライフ実践中。遠方の知人友人への近況報告と、忘れっぽい自分のためのWeb忘備録です。

成功談より失敗談を喜ぶわけ〜ウケる話

2022-09-05 12:17:00 | アナウンサー 話し方 企業研修 ビジネス
息子から送られてきたのは三溪園の写真。

昨日、自転車で訪れたらしい。

歴史的建造物が好きな私のために気を利かせてくれたようだ。

見ているだけで落ち着く。






一度ぜひ訪れてみたい。


古いものはいい。
つくづく私は昭和の日本人だと思う…


今日の朝ドラの中を見ながら、そう考えた。


高級料理店の現役シェフが
「私も昔、自分の店を潰して自分なりに地獄を見ました」

というセリフがあった。

主人公に雇われている料理人も

「かつてのオレは事業がうまく行かないのを人のせいにして八つ当たりした…」

と吐露するシーンがあった。

なぜか私は、
それを聞くだけで

(本当は、この人いい人なんだなぁ)
と安心する。

そして、
誰にでも苦労した時代があった事に親近感を抱く。

これは、
感情に訴えかける常套手段でもあり、

例えば事業で成功している有名人の講演でもよく使う手だ。

ウケる話は、サクセスストーリーや自慢話ではない。

私も以前から、
講演や研修時には自分の失敗談をよく話している。

…と言うより、
私には成功体験が少ない。

表向きそこそこの評価をもらっても、
自己肯定感が低いせいか、

(これは社交辞令だ、本心はそうではないだろう…)と思うことも多く、

《自己満足は敵だ》と自身を戒める。

実際、私のような仕事は時間と対価をクライアントから支払ってもらってなんぼだ。

評価が悪ければ次は無い。


自衛官から局アナ、ラジオパーソナリティそして講師業…

「うまく方向転換できたね!」

と、言われたこともあるが、

若い頃から知識不足で何度も恥をかいたし、
他者からの口撃で崖から突き落とされたような経験をした事もある。

その全てが講義のネタになっている。

それに加えて年取ってくると、
良いことは覚えていないが、

(あの時、こう言われた)

(身に覚えのない事で、疑われた)

と、悪いことは鮮明に思い出す事がある。

当時は言った相手を恨んだし、
できることなら全部消してしまいたい記憶ではあるが、

冷静になって考えてみれば、その相手にとっての私は、

《言いやすい人間》であったり
《誤解されやすい人間》であったワケだ。

これは明らかに私に原因がある。

私が信頼に値する人間になるには、どうすればよいか…と考える。


人との付き合いも同じだ。

自分の弱点を語ることは、
自分を曝け出すことでもある…

それができた時に、初めて心が通い合う。


気をつけなければならないのは、

失敗経験を語る事で感情に訴えて金銭を要求する輩もいることだ。

オレオレ詐欺は、まさしくその類である。

つくづく人間は感情の動物なんだなぁと思う…

最近のSNSなどをみると、
まさに感情に訴えかけて集客する手法が多く使われている。

『お客さんにドタキャンされて損害が出そうです、助けてください』とか

『コロナでバイトなくなりました、仕事ください』とか、

SNSがなかった時代の日本人には考えられない手法だ。

私は、
明治生まれの厳格な祖母から

《武士は食わねど高楊枝》

と言われて育った。

それは今でもどこかにインプットされているが、
これは、もう死語のような気もする。

なりふり構わず、
窮状を訴えることが今は普通なのだ。

岸田首相も、
国葬実施を押し切るのではなく

「ついあの時は感情論で国葬実施を決めましたが、やっぱり反対が多いので国民葬に変更します」とか、

「反対意見が多いのは重々承知のことですが、国益のためです。どうかやらせてください」とか、

「その代わりに所得税を減税し、消費税のインボイスを延期して所得倍増計画の実施を必ず約束します」とか

政治家の大好きな《しっかり》と《丁寧な説明》を実行すれば、
少しは皆んな納得するのではなかろうか?

でないと、
このまま支持率は下がる一方だと思う。

あくまでも原稿を読むのではなく自分の言葉で感情に訴える事ができれば…の話だが。

さてと、
どうするかな…インボイス。

完全スローライフは、
もう少し先の話だな。


























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草野球チームの休日

2022-09-05 06:20:00 | Diary
久々に晴れた昨日、

味噌を買いに行くという夫に付き合って、ドライブがてら出かけた南西部にある道の駅近くの公園で、

Halを散歩させようと駐車場に入ると

近くのグランドで練習していたらしい野球チームのメンバーたちが大声で話しながら団体でやってきた。

それぞれに
「暑い暑い」とフーフー言いながらタオルで顔を拭いている…

「風呂入りたいっス!」

「そこに川があるよ!」

「ビール飲みたいっす!」

「車おいてかえるん?」

口々に十分練習したとみえて、声が弾んでいる。

道路に面した木陰に止まった車の側から
「もう年だし、32なもんで…」
という声が聞こえてきた。

こっちは、どうやら真面目な話しのようだ。

「前から野球やりたいと思っていたんで、
入れてもらえて良かったです!」

声の主は、どうやら新メンバーのようだ。

日曜の午前中に集まって草野球の練習かぁ…何だか懐かしい。


関西にいた頃、
毎週のように草野球チームを取材する仕事をしていた。

デンスケ担いで1人で250ccのバイクに乗って練習中の草野球チームを探し回った。

たまにハガキで取材依頼を受けることもあったが、
アポ取りなしで行くほうが面白いのが録れるからと、
あちこちのグランドを巡っては、そこにいたチームに直接話しかけて声を録らせてもらった。

天気が悪かったり寒かったりすると、
1チームも見つからない事があった…

京都のチームだったか…
真冬の試合が延長戦にもつれ込んで、なかなか終わらないのを、寒さに耐えながら待ち続け、

ようやく終わったと思ってマイクを向けたら、負けたのが相当ショックだったらしく

「今何も言いたくないんで」

と取材拒否されたこともある。


番組自体は近鉄バファローズアワーの前にオンエアーされていたので、
バファローズの選手たちも聞いてくれていたらしく、

藤井寺球場で入団テストを取材した際に、たまたま居合わせた何人かのプロ選手から
「いつも聞いてるよ」と言われて嬉しかったが、

実を言うと、
当時の私はプロ野球には全くと言っていいほど興味がなく、
それを誤魔化すのに苦労したものだ…

自動車メーカー主催の草野球全国大会名がそのまま番組名についていたが、

今になって思えば、
なぜ、野球に詳しくない自分がスポーツ番組のレポーターをする事になったのか…
不思議だ。

結局のところ、
レポーターの仕事というのは、声を拾ってくるのがメインだから、

突撃取材で草野球チームの生の声が録れれば、誰でもよかったのかもしれない。


当初はすぐに終わると思っていたが、
2年目に突入した頃だったか、意外なほどレイティングが良くて、
担当ディレクターも驚いていたことがあった。

たぶん、バファローズアワーの直前という時間帯が功を奏したのだろう…

そういえば、
一昨日読んだ重松清の小説に草野球チームをテーマにした短編があった。

昔より野球に詳しくなっているせいか、
逐一共感しながら読み終えた。

草野球チームを見ると、
無意識のうちに関心が向くのは、

たぶん昔の習慣のせいかも知れない。


今朝も霧が出ている。










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