両眼に眼内レンズが入って初めて見る風景は清々しかった。
どうやら、これも白内障術後の特徴らしいが、
本来の水晶体では少し黄色みを帯びて見えていた自然の風景が、眼内レンズだと少し青っぽく見えるものらしい。
白熱灯を蛍光灯に変えるのと近い感覚かな?
私の場合は、なんと言っても永年悩まされてきた《ど近眼》から、裸眼でも生活ができるレベルになったことが何より嬉しい。
術後の生活指導の席で一緒になった他の患者たちから、
「あなたみたいな若い人が白内障だなんて…」
と不思議がられるが、
実は若くないとも、白内障はさほど酷くないとも言えず、
「親の顔が見えないほど強度の近視だったので」と答えると、
別のテーブルの患者までが体を乗り出してきた。
中学生の頃だったか、
道を歩いていて、どこかで見たような人だなと思い「こんにちは」と挨拶した相手が自分の父親だったとか、
目の前に停まっている電車の距離感が掴めず、別のホームに停まっているものと思い込んで、乗り遅れたり…とか、
高校時代、体育の授業中に、プールの縁を歩いていて境目が見えずに水に落ちたり…とか…
ど近眼が原因のエピソードは数限りない。
午前中の診察では院長から、
「(眼内レンズの位置が)キレイにはまっていますね、乱視もこれで改善されますよ」
と言われ、嬉しかった。
白内障の手術は、
術前術後の通院の手間や決められた目薬の点眼の回数の煩雑さもあって、
決して傍目から見るほどラクではないが、
私の場合は早めに済ませたぶん、
きっと、これから後が楽だと思う。
物の色目が多少、違っていたって
それが生活にどれだけ影響するというのか…
あるとすれば、
料理を食べる時ぐらいだろうか?
蛍光灯より白熱灯の方が美味しそうに見えるというけれど、
今後は全てが蛍光灯の明るさで見るようなものだから、
食欲が抑えられるかも…などと帰りのバスの中で考えた。
今日のような天気の良い日は、日差しのギラつきも心配だが、
新しく作ったメガネには、太陽光のブルーライトカットのレンズ表面のブルーのギラギラ感を解消する加工を施して貰ったので全く気にならない。
フレームも軽くて壊れにくく、かけ心地のよいタイプにして正解だった。
これで眼への負担は、かなり軽減されるはずだ。
あとは…目を労わる事だな…。
もう寝よう。
(^^;;