町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

初採用のアルミ車体で通勤車の新たなスタイルを確立・西武6000系50番台

2021年06月29日 | 西武鉄道

西武鉄道初にして唯一のステンレス車である6000系は、1996年度の増備車より更なる車体の軽量化・省エネルギー化を図るべくアルミ車体で製造されることになりました。ステンレス車では10両編成全体の重量が339.2tありましたが、アルミ車体に設計変更された5次車では325.1t、戸袋窓省略・台車変更が為された6次車では310.1tとなり、実にステンレス車とは29.1tの重量差が生じています。

東横線に乗り入れた6153F。ステンレス車とイメージを揃えてる為にグレー塗装が施されています。在来車の流れを汲み戸袋窓を備えていましたが、車内側に広告枠を設置する為、現在は閉鎖されました。完全には埋め込まれず、車内側は窓があった位置を化粧板で塞ぎ外側のガラス部は塗装を施す簡易的な工法で、9000系にも同様に施工されています。

新製時より戸袋窓を廃止し、モノリンク式ボルスタレス台車に設計変更した最終増備グループの7次車。6156F6158F3編成が該当し、以後の西武通勤車はアルミ車体で製造される事になりました。写真はメットライフドームでのコンサート開催時の臨時列車で西武球場前に姿を見せた場面です。

戸袋窓が省略された7次車車内。6次車も戸袋部閉塞工事で大差が無くなりましたが化粧板で塞いだ形跡がある為、容易に判別可能です。戸袋以外にもステンレス車では単層ガラスだったドア窓が複層ガラスに変更されドア本体との段差を無くし結露や手の引き込み防止を図っています。

ステンレス車と同様にLED表示器から交換された15インチ液晶画面。同時にドアチャイムが鳴動するタイミングも変更されました。現在は40000系同様の左右一体型17インチ画面に換装される編成が出ています。

現在は機器更新工事も完了し、有楽町線や副都心線、東急東横線直通運用に用いられ幅広い活躍が見られる6000系ですが、40000系のロングシート仕様車が増備を控えており、将来的には自社の地上線への本格的な転用などがあるかどうかも含めて動向が注目されます。

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西武新宿線系統の主力、新2000系初期車

2021年06月15日 | 西武鉄道

1988年より車体設計を変更して旧来の2000系とは区別される6次車グループは、新宿線を中心に配置され、同系に存在しなかった4両編成から増備が開始されました。製造時期により相違点が存在する事は前回の中期車・後期車の記事でも触れましたが、今回は最初期車と後期車でも特異な仕様の編成について取り上げます。

4両編成×2本を連結した8両編成で各停運用に充当される初期車。前回同じ場所で撮影した中期車と比較すると正面に設置している非常用貫通扉の窓寸法が小さいのが特徴で、登場時は西武新宿方制御電動車のクモハ2401にも2基のパンタグラフを搭載する勇壮なスタイルでしたが後年に撤去され、中間のモハ2101から受電する方式に改造されました。池袋線系統への配置は1990年からの事で、この初期車は新宿線系統でしか見られない仕様です。

国分寺線で運用中の2045編成6連。この編成は1989年に2055編成として落成しましたが、8両編成の増備に伴い車番枯渇対策としてマイナス10され2045編成となり、新2055編成は最終増備車になりました。前期形に分類されますが側面はそのまま中期車同様に貫通扉窓の天地寸法が拡大されています。2008年には行先表示をフルカラーLED化した最初の編成となり更に通風機撤去やパンタグラフのシングルアーム化も受けた為、後期車と区別が付きにくくなりましたが旧来の床置式戸閉装置を搭載(後期車は鴨居取付型)する為、ドアの開閉動作で判別できます。

在来2000系との併結シーン。両車共に区別無く運用される為、新宿線では4両+4両、628両や468210両など増減に柔軟に対応しながら運用されています。併結時には乗務員の通り抜けの際に柵代わりになる貫通扉横の手摺りや正面窓の違いが良く分かりますね。

改良工事未施工の初期車車内。ドアチャイムやスタンションポールも未設置で登場以来ほとんど変化しておらず原型に近いスタイルを維持しています。

登場してから一部の後期型編成に大規模更新工事が施工された事を除けば車体自体は余り変化せず活躍している新2000系グループですが、今頃になり改良工事を受ける編成が現れた事を考えると、もうしばらく主力車として活躍するものと考えて良さそうですね。

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武蔵野を駆ける伝統の黄色い電車・西武新2000系(中期・後期車)

2021年05月14日 | 西武鉄道

西武鉄道の通勤車両は長らく非貫通正面・3扉を基本とし、1977年から製造された2000系からは初の4扉車に移行する事になりました。この時点では新宿線のみの配置でしたが、1988年の6次車に分類される車両からは大量製造され池袋線系統にも進出し一気に4扉化を推し進めました。これらの形式は新2000系と呼ばれ既存の2000系とは区別されており、後に101系の廃車発生品を流用して製造された9000系もほぼ同一デザインの車体を採用した為、従来車に代わり一時期の西武通勤車の象徴的存在となりました。現在は9000系が池袋線から撤退し多摩湖線に活躍の場を移した為、本線系統で活躍する最後の黄色い電車となっています。

新車攻勢に晒されながらも、新宿線系統では大活躍を見せる新2000系。製造時期により細かいバリエーションが存在し、最初期車は正面非常用貫通扉の寸法が若干小さいのが特徴でした。写真の編成は中期車(2531F2545F2059F2545Fが該当)に区分される車両で、貫通扉窓寸法が大きくなり左右の窓と揃えられた他、側面ドア窓も拡大され四隅が角張った形状で、京王電鉄の車両を思わせるスタイル(化粧板や座席も京王60007000系と類似していた為、車内はよりその印象が顕著)になっています。 

池袋線所属の後期型編成。ドア窓形状は四隅のRが大きく寸法が小振りな初期車と同じ仕様に戻りましたが、戸閉装置を旧来の床置式から鴨居部分に設置する直動式に改めた為、開閉動作が異なっています。このグループに対しては2007年〜2011年に車体修繕と大規模更新改造が実施されましたが一部に留まり、全編成には及びませんでした。

小川駅で並ぶ国分寺線で運用中の新旧2000系。同線は全列車が2000系列の6両編成で運転されています。2本が並ぶと電装品は共通ながら印象は大分異なりますね。上の写真の編成と隣の旧2000系が行先表示をフルカラーLED化している一方で、新2000系は後期車ながら方向幕で存置されているのも注目点です。

中期車車内。設備の改良は段階的に実施され、座席を3人+4人で仕切るスタンションポールの新設やドア付近の黄色い警戒色化、また床置式戸閉装置の初期車・中期車に対しては注意喚起のドアチャイム設置を行っていますが、これらも全編成には及んでいない為、格差が生じています。

現在は緩やかなペースながら2000系の廃車が進行しており、VVVF試験車を組み込んだ2097F(2016年廃車、現在は前頭部のみ豊島区の丸善池袋店にて展示)以外健在で、2・4・6・8の多彩な編成で柔軟な運用をこなしていますが一番新しい編成でも登場から29年目に入りVVVFインバータ制御車が主流になる中で旧来の界磁チョッパ制御車という事もあり、遠くない将来の置き換えと本線系統撤退が予想されます。今や昭和期の西武を象徴する黄色い車体にステンレスドアの車両なだけに、一日でも長く活躍して欲しいですね。

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新生西武グループの旗手・スマイルトレイン30000系

2021年05月12日 | 西武鉄道

新宿線・池袋線の101系初期車置き換えは20000系により進められましたが、高運転台で正面形状を変更した通称新101系と301系は引き続き多数が残存し運用を継続していました。これらを完全に置き換えるべく2005年には30000系の開発計画が動き出しますが、当時の西武鉄道は堤家による同族経営時代だった2004年に発生した総会屋利益供与事件・証券取引法違反事件による株式上場廃止を受け、グループ再編と経営再建の最中であった為に生まれ変わった西武のシンボルと位置付けられ「Smile Train〜人にやさしく、みんなの笑顔をつくり出す車両〜」として今まで保守的で合理性重視だった西武通勤車のイメージから一転、極めて斬新な意匠の車両になりました。

新宿線で運用中の38110F。「生みたてのたまご」をモチーフに曲線を多用したデザインで、地下鉄直通を想定しない地上専用車として設計されている為、正面は非貫通の異形ガラスによる1枚窓構成で西武鉄道では初めて2930ミリの幅広で裾を絞った車体になりました。スマイルトレインの愛称通り、丸型の前照灯や連結器周りの切り欠きと相俟って笑顔のような独特のスタイルが印象的です。全車両が日立製作所製で、標準車両A-trainの一員でもあります。

池袋線急行で運用される38114F。同線の急行は10両編成での運転の為、飯能寄りに2両編成を増結しています。16次車までは8両編成と池袋線のみに配置される増結用2両編成で増備されましたが、一部機器の見直しを行なった7次車からは10両固定編成も加わり、3種類の編成が存在します。

横幅が広がり従来車よりも余裕のある空間になった車内。30000系の車内デザインは鉄道車両では珍しく女性社員のみで担当しており、東京メトロ10000系や東葉高速鉄道2000系、JR東日本E233系を参考にしている事が公式で明かされており、強化ガラス製妻面貫通扉や天井周り、スタンションポールに各形式の要素が見受けられます。吊り手も卵をモチーフにした専用品で、本形式の為に新規開発されました。

ドア上に配置される車内案内表示は、これまた西武初の液晶画面で15インチサイズを2台配置しました。現在は1〜6次車を対象に写真の左右一体型ワイド液晶画面への換装が進行しています。

今までは西武鉄道=黄色い電車のイメージでしたが、6000系・20000系で無彩色に青帯を経て30000系で「都市と自然あふれる街並みを結ぶ車両」を表現した青と緑のグラデーションになり現在も増備中の地下鉄対応40000系にも踏襲されました。今後開発される新形式もこの流れを汲むと思いますが、今後も西武の新しいイメージを作り上げた画期的車両として長く親しまれて行くでしょう。

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民鉄初の日立製標準車両A-train、西武鉄道20000系

2021年05月10日 | 西武鉄道

1996年より地下鉄直通用の6000系の車体が更なる軽量化を目指してステンレスからアルミに設計変更され、それらの実績から西武鉄道の新形式はアルミ車体を採用する方向性が定まりました。そして当時多数が残存していた101系初期車置き換えと池袋線中村橋〜練馬高野台間の複々線化完成に伴う列車増発で自社線専用の通勤車両を計画する事になり、1999年より20000系が登場しました。

設計に当たり「シンプル&クリーン」のコンセプトを掲げた本形式は日立製作所が開発した次世代アルミ合金車両システム・A-trainに基づいて製造された車両で、これは199910月に登場したJR九州815系に次いで2例目、民鉄では初の採用でした。特徴的な前頭部は普通鋼製で構体とは別に製造し後にボルトで結合する構造ですが、この工法は2004年登場の東武50000系グループにも同様の手法が用いられています。

10両編成では通常の密着式連結器を装着していますが、8両編成では20152F以降奥に引っ込んだタイプ(20151Fは通常仕様にカバーを被せている)になりました。これは先頭車全長が若干長くなっている為、ホーム有効長がギリギリの駅に停車した際尖った部分が踏切にはみ出さないようにする為の措置で、先頭車の外観から編成両数を見分けるポイントでもあります。2019年より前照灯のLED化が開始され印象が変わりましたが、現在は全編成に波及しました。

白い化粧板に青い座席の組み合わせで清潔感のある車内。片持ち式座席は初採用になりました。写真は1次車の車内ですが、4次車から7人掛け部分を3-4で仕切るスタンションポールを設置、5次車からは更に内装が見直され、ポールを2本に増設の上で袖仕切りを大型化するなど、バリアフリー面の充実が年度毎に図られています。

車内案内表示装置はオーソドックスなLED1段表示で、全ドア上に設置されチャイムも併設されています。

近年は銀河鉄道999列車や埼玉西武ライオンズラッピング車L-trainに起用されるなど、華やかな役回りが多く注目された20000系ですが、登場に至るまでの背景はなかなか画期的で、日本のみならず海外にも勢力を拡大する日立製標準車両の嚆矢的存在でもありました。今後も長く活躍すると思いますが、経年20年を超えつつある今は最新形式に準じたリニューアルにも期待したいですね。

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