大量製造され、全国で活躍を見せたにも関わらず保存例が少ない車両は数多ありますが、通勤電車の決定版ともいうべき103系もその一つに数えられるでしょう。現在でこそ京都鉄道博物館にトップナンバーのクハ103-1が保存展示されていますが、首都圏でポピュラーだった高運転台ATC車は、ほぼ全てが引退~廃車解体の道を辿り鉄道博物館のカットボディであるクハ103-712は貴重な存在になっています。
もとはスカイブルー塗装で車掌体験に使用されていましたが、施設の拡張で新設されたキッズスペースに据え置かれているクハ103-712です。塗装が白ベースに103系の基本色をモチーフにした5色の水玉模様に改められ、正面の手すりやステップが撤去されました。
車両内部は特に変更点は無く、扇風機や座席など、懐かしい末期の雰囲気を残しています。本来なら1両丸ごと保存する計画もあったようですが、スペースの都合上カットボディ化されてしまったとのことですが、もし完全な状態であれば唯一の高運クハの保存例になっただけに、ひたすら残念です・・・。