老朽化した8000系・8500系の置き換えと共に東武鉄道との直通運転に向けて、2002年5月より田園都市線で運用開始した東急5000系は細かく仕様変更を行い増備を重ね、現在では東急の標準車両としての地位を確立しました。本来であれば現在在籍している編成の他に250両余りが導入され、2010年代初頭に8500系を撤退させる予定でしたが、副都心線直通に伴う東横線向け車両の投入を急いだ事と共に大株主であったJALの経営破綻などの影響から田園都市線向け5000系の増備が止まってしまい、更に車両不足を補うため一部編成は東横線に移動し、現在も8両化され運用されるなど、かつて頻繁に東横線と田園都市線の間で転属を繰り返していた8000系グループの歴史をなぞる様な展開を見せています。今回はその5000系の内、2002~2006年の比較的初期に製造された編成を撮影して来ました。
2001年より5000系の先陣を切って登場したトップナンバー編成。量産先行車的な要素が強く、車体幅が若干狭い2770mm、ドア間隔3500mmで設計している他、側面の種別表示の四隅が丸味を帯びているなど量産編成とは様々な相違点が見られます。登場直後は正面に設置されている非常用貫通扉の窓の寸法が小さく、ワイパーの形状も異なりましたが、直ぐに他編成同様に窓の大きさを揃えたものに交換されました。2004年から6扉車両が登場(2017年全廃)し組み換えが頻繁に行われましたが、この編成は登場当時からの組成を維持する数少ない存在となっています。
5次車に分類される5108F。貫通路の扉を自動で閉まる傾斜式に変更し、一部吊り手や消火器の配置場所の見直しを実施しています。当初9両で落成し、直後に組み替え用の6扉車を連結した10両編成を組成しています。現在は6扉車を廃車にし、新造4扉車を連結しているため、同一編成内でサービスレベルに相違が出ました。現在は全編成が種別・行先共にフルカラーLED化されています。
車内の配色は化粧板・座席・床を青系で統一し、安らぎと癒しをコンセプトにしています。標準ガイドラインに基づいている為、袖仕切りや側面窓はE231系と同一の仕様。写真では判り難いですが、座席は厚みのある物に交換されているようです。
登場から長らく15インチだった液晶画面は、5050系10両編成で採用された17インチワイド液晶画面に順次更新されています。半蔵門線の8000系でも採用されている三菱電機セサミクロで、各種案内を動画で表示可能になりました。
登場時は標準ガイドライン準拠の車両ということで、変化に乏しくなるかと思われた5000系グループですが、現在は度重なる編成組み換えや製造時期による違いで、かつての8000系グループに迫るバリエーションが見られるようになり、趣味的には結構面白い存在になっていることを実感できますね。