昨年の7月にモハ1形のうち、吊り掛け駆動のまま残存して人気を博していた103+107号車が引退して遂に残存する旧型車は駆動装置の高性能化改造を受けたモハ1形104+106とモハ2形108・109号車の4両のみとなってしまいました。本来ならこれらの車両は、新型車両3000形により置き換えられていたはずですが、台風19号による路線の被災で長期の復旧作業が続いたことに加え、新型コロナウイルスによる輸送量の減少も手伝い大幅な計画の変更を強いられている為、未だ残存し活躍を続けています。
現在は106が鋼体化直後の塗装に復元され2両が異なった塗装で運用中のモハ1形104+106。昨年引退の103+107(サンナナ)は1世紀余りの活躍に終止符を打ったことで注目を浴びましたが、この編成も前身は1919年のチキ1形の3号と6号で、1950年に複電圧対応化と鋼製車体への更新工事を受けて元番号に100を加え、1952年に形式をチキからモハへ改めています。現在の鋼製車体も既に新造から70年余りが経過しており、首都圏の鉄道車両としては最早骨董品の部類です。
2019年7月。長引く梅雨空の下、緑塗装の109号車を連結して運用されていた頃。全車が異なる塗装の3両編成は引退を控えたサンナナに劣らず注目の的でした。
小涌谷駅で行き違いの為に登場時のHiSE塗装に復元された2000形サン・モリッツ号との並び。箱根登山鉄道の旅客車は小田急ロマンスカーをモチーフにした塗装が長く続きましたが、現在は新たな塗装パターンが増えて見る機会も少なくなっており、少しだけ懐かしい場面が蘇りました。
車内設備。サンナナの時は寄木細工をモチーフにしたモケットでしたが、104+106では小田急1000形の未更新車でも見られる赤系のモケットになっており印象が異なります。甲高い吊り掛け音は高性能化で聴けなくなりましたが、旧型車らしい重厚な雰囲気は変わらないですね。