町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

近郊各停の主力を務めるもう一つのワイドドア、小田急2000形

2020年08月26日 | 小田急電鉄

大規模リニューアルや突然の編成単位での廃車などで話題性が尽きない1000形の影に隠れがちですが、近郊各停の主力として登場から今日に至るまで立ち位置を変えずに活躍しているワイドドアの形式が存在します。それが今回記事にする2000形で、1000形のワイドドア編成の使用実績を踏まえて着席定員を確保しつつドア幅の拡大で乗降時間の短縮を図るべく1.6メートル幅のドアを採用して1994年末に登場し、翌年の1995年3月から運転を開始しました。設計コンセプトには「環境にやさしい車両」「お客さまにやさしい車両」「乗務員・駅員にやさしい車両」「保守にやさしい車両」と、優しさをテーマに掲げていることが特徴です。

1000形と同じ正面マスクで側面デザインも共通性がありますが、IGBTによるVVVFインバータ制御装置やモノリンク式ボルスタレス台車など数々の新機軸を盛り込み、運転を開始した1995年には通産省(現在の経済産業省)よりグッドデザイン賞を受賞しました。当初の2051F・2052F・2053Fは輸送力増強の為の導入でしたが、2000年から増備の編成より2600形の置き換えを実施することになりました。2000年に入って最初の増備車2054Fは2600形のVVVF化改造車2666Fの制御装置・主電動機を再利用しており、近年では数少ない機器流用車となっています。

現在の主力3000形と並んだシーン。1000形のデザインをほぼそのまま踏襲する形で設計された2000形と、その後フラット外板で標準ガイドラインの流れを汲むようになった3000形との設計思想の違いが非常によく分かります。2051・2052Fが登場した1995年当時は急行・準急で通過標識灯を点灯させていた為、この2編成のみ1000形と同様の場所に設置しており1998年の廃止後も撤去跡が残存しています。登場時は新時代を予感させた2000形ですが、現在は残り少なくなったツーハンドル車で長年小田急車両で主流だった住友金属製台車を使用する最後の形式になるなど、旧来の伝統も受け継いでいる点が興味深いですね。

淡いピンクを基調にした化粧板が明るく穏やかな印象を与える車内。人数区分がされたバケットタイプのロングシートや、写真右側の車椅子用スペース設置は2000形が初採用で、これらは後に他編成にも波及しました。2054F以降は7人掛け座席にスタンションポールを標準装備していますが、後に座席袖仕切りを交換した際に2051・2052・2053Fも曲線のタイプを新設しました。車内放送は1081Fで採用の自動放送装置を本格採用し、現在は全編成が二か国語で駅ナンバリング対応に改修されています。

LEDスクロール式の車内案内表示は千鳥配置で、ドアチャイムは小田急オリジナルの1回のみ鳴動するタイプです。扉本体と窓の段差を無くす複層ガラスも2000形から始まりました。 

当初は千代田線への直通運転も想定し、基本設計は10両で計画されていましたが遂に中間車が増備されることは無く8両編成9本72両の陣容で今日まで活躍を続けています。その間に帯のインペリアルブルーへの貼り替え(2020年現在2059Fを除く)、行先表示器フルカラーLED化、VVVF制御装置ソフト変更など地味な改良が加えられており、しばらくは変わらず活躍すると思われますが各駅停車の10両化が進行している現状では、何らかの改造なども予想され注目すべき車両かも知れません。

 

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