丸ノ内線では長らく赤い電車として親しまれた300・400・500形の置き換え用に1988年〜1996年に掛けて02系を導入し、6両編成53本と方南町支線向けの3両編成6本の陣容が続いていました。2009年からは高周波分巻チョッパ制御で新製された初期車を対象にB修と呼ばれる大規模更新が実施され、永久磁石同期電動機を採用したVVVFインバーター制御化や室内更新により更なる長期間の活躍が見込まれましたが、丸ノ内線に導入予定のCBCT(無線式列車制御システム)に02系が対応出来ない事を受け、2020東京オリンピックの決定もあり東京メトロの魅力を発信するべく新形式の2000系を登場させました。
銀座線向けに導入された1000系の技術を更に発展させ、フルラッピング車両として開通時に運転されていた初代車両300形の車体色であるグローイング・スカーレットを再現し、サインウェーブはホームドア設置が完了している為上部に配置し車端部を円型の窓とした特徴的な外観で新形式ながらレトロ感覚も併せ持つ車両に仕上がりました。本形式は従来の02系VVVF車と比較しても大幅な消費電力の低減を図った為、「令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」(対策技術先進導入部門)並びに「2019年度省エネ大賞経済産業大臣賞」(製品・ビジネスモデル部門・輸送分野)を受賞しています。
地上の四ツ谷駅で02系(B修車)と並んだ2000系。初めて2000系が登場したのは2019年の事で、赤い貴公子の愛称でも名を馳せた300・500形の引退から実に23年の歳月が経過していました。現代の技術で蘇った赤い電車を見て、斬新と受け取るか懐かしさを感じるかで世代が分かれそうですね。
車内設備は路線カラーでもある赤・黒のコントラストを付けたシックな空間をコンセプトに掲げました。化粧板・床面はピンク系で吊り手は300形の登場時に設置していたリコ式吊り手を模した特徴的な形状で、旧型車のモチーフが其処彼処に感じられます。車椅子・フリースペースは池袋側に設置され、通勤型電車では初の電源用コンセントも用意されるなど、サービスが大幅に向上しました。
車内案内表示は日比谷線向けの13000系と同様に17インチ液晶画面を3台設置し、左側は動画広告を表示しています。
今後2000系は2023年度末までに6両編成52本が出揃い、既存の02系は順次引退となりますが21世紀の東京に再び赤い地下鉄電車が蘇った事は、旧型車の最後の活躍を僅かながら知る世代としては実に感慨深いものがあります。今後は銀座線の1000系のような、より旧型車に近いデザインで日常的に運用される特別仕様車などの登場にも期待したいですね。