都営新宿線の初代車両である10-000形の置き換え用とATC装置・列車無線更新を控えてJR東日本のE231系をベースに開発され2005年より営業運転を開始した10-300形1次車ですが、新宿線の全列車10両編成化に伴い8両編成のまま運用されていた8本64両は6次車で置き換えることになり順次廃車になる事が決定しました。定期運用から離脱した編成は京王電鉄の若葉台車両基地から解体の為に搬出されていますが、最古の編成でも17年という短期間で廃車にされることになってしまいました。増結用の中間車を新造して10両編成化した4編成40両は引き続き使用される見込みですが、同一形式内で編成により明暗を分けた形になります。
2010年度に輸送力増強の為、新製した中間車を組み込んで10両化された10-470F。8両との識別のため非常用貫通扉に10CARSのステッカーが貼られています。この仕様の編成は10-450〜10-480Fの僅か4編成という少数派です。この時点でもう少し10両編成運用が増加していて、増結が施工されていれば…と考えると何とも勿体無いですね。
8両で残存していた10-400F。この編成は2022年5月27日に若葉台へ送り込まれ同日中に廃車となりました。6月14日には主要な部品撤去と車体の切断が行われ解体場に向けて搬出されています。10-000形の経年が浅い中間車を活用すべく先頭車として新造された10-300R形は10年にも満たないまま廃車にされた事で話題になりましたが、完全新造の10-300形1次車も17年余りの短い車生を終える事になりました。
E231系との共通部材が各所に見受けられる車内設備。「シンプルかつモダン」をキーワードにグリーン系の配色で纏められています。なお、写真は10両編成のもので、ドア付近の警戒色化は増結する新造中間車に合わせて施行されました。
車内案内表示器はLED1行表示で、造作はE231系と同様ながらスクロール表示可能とし、全区間で次停車駅と乗り換え案内を実施する一方で自動放送装置に関しては京王線には対応せず都営新宿線内のみ使用になっています。10-300形3次車からは対応するようになったので、1次車10両4編成も続投するなら早期の改修を願いたいですね。
京王線に合わせた特殊な軌間(1372mm)に対応する走行機器が災いしたのか、譲渡先も無く8両全車が解体処分になってしまいますが、車齢もサービス面も現代の水準を満たしているので、やはり残念なことです。