1984年から2000年に掛けて小室〜印旛日本医大間を開通させた都市基盤整備公団が独立行政法人都市再生機構に移行し鉄道事業から撤退することを受け、事業を引き継ぐべく新たに京成電鉄の100%子会社として設立され2004年7月1日からスタートした千葉ニュータウン鉄道では、現在も運用中のC-Flyerの愛称を持つ9100形や、路線開業時に2000形として登場し1994年に形式を改めた緑と赤の帯が特徴的な9000形など、規模の割に個性が光る車両を導入していました。しかし京成3000形ベースの9200形導入で老朽化の進んでいた9000形1編成が廃車され、残るもう1編成も京成3700形のリース車で置き換えられることになり、2017年より3700形の3738編成が新たに9800形として運用を開始しました。
外観は千葉県の県花である菜の花と海を思わせる黄色と水色の帯に変更された以外、京成在籍時と余り変わりません。未だ9100形は健在であるものの、本系列の導入でますます独自色は薄れてしまいました。なお、車両の管理は北総鉄道が行なっている為、運用範囲は北総車と同一です。
ところで、公式ホームページすらなく保有路線自体も北総鉄道線と一体的に運営されている状況ですから恐らく鉄道に興味のある人間以外には全く認知されていない千葉ニュータウン鉄道の車両達ですが、ラインカラーが奇しくもウクライナの国旗に似ていたことで俄かに注目を集め、検索サジェストに「千葉ニュータウン鉄道 ウクライナ」との表示が見られるようになっています。もちろん全くの偶然で無関係ですが。
車内も京成3700形時代と変わりはなく、変化した点を挙げるならせいぜいドアステッカーの貼り付け位置や黄色い警戒テープの追加くらいです。
車内案内表示装置はLEDでしたが、こちらも京成時代に筐体はそのままで液晶画面化されました。当然ですが、京成・北総の両車と同様にドアチャイムは設けられていません。
京成電鉄の子会社になった今、リース車両と京成車の色違いの新造車を導入するのは自然の成り行きですが、かつての独自の個性を持つ車両が在籍していたことを知る世代としては、やはり寂しいものがありますね。