JR西日本では、分割民営化後初めての新型車両として221系を登場させ、新快速に大量投入し大幅なサービス改善を実施しました。一方でJR京都線・神戸線の各駅停車とJR宝塚線(福知山線)、JR学研都市線(片町線)では相変わらず国鉄から引き継いだ103系が主力を占めており、周辺の私鉄に比べサービス面で格差が生じていました。これらの置き換えと共に、1989年より着工された片福連絡線(現在のJR東西線)に対応可能な通勤型電車として1991年より登場したのが207系です。同年4月30日から学研都市線(片町線)片町〜松井山手間で量産先行車の7両編成が運用を開始し、以降は量産体制に移り走行機器や車内に改良を加えながら約12年間に渡り増備され総勢484両が登場、2005年度に0番台4両と1000番台3両が尼崎脱線事故により廃車、2022年には量産先行車が老朽化により更新を受けずに廃車されましたが、初めて製造された1991年から30年以上経過した現在でも京阪神都市圏輸送の第一線で活躍を続けています。
量産先行車の使用実績を基に1991年度内から増備が始まった0番台。7両固定編成を4両+3両の組成に変更し、JR学研都市線の分割併合にも対応できるようにした最初の編成でした。車両番号は量産先行車が-1から付与されているため、続きの-2からとなっています。0・1000番台は登場から20年以上経過した2014年から体質改善工事が施行されるようになり、Z22編成が最初の編成として同年11月17日より営業運転に復帰しています。
H編成は当初3両編成でしたが、電動車をユニット方式から1両単位に改める設計変更を行った1000番台が登場した後、JR東西線開通直前に組み込み4両化し電動車の車番を-500(元0番台)・-1500(1000番台)とし、異なる半導体素子を用いた制御装置を搭載する車両が混結される特徴ある編成になりました。この写真でも1500番台(女性専用車に指定されている前から3両目)は屋根上の冷房装置が異なっています。
体質改善工事はZ編成と並行して1000番台にも及び、2016年初頭にS22編成が施行されました。機器更新も実施されており、Z・H編成と組んだ7両で使用されています。1000番台T・S編成については特徴的な部分が多く、また改めて別に記事にしたいと思います。
体質改善工事施行後の車内。化粧板や床材、座席は全て新品に更新され、大型化された袖仕切りや増設されたオレンジの手すりが目立ち、大幅に印象を変えました。天井の照明も蛍光灯からLED化されカバーが撤去されています。車内案内表示はLEDスクロール表示のまま存置されましたが、号車表示が追加されました。
本年で早くも33年目に入る207系0番台ですが、Z編成は体質改善工事を終えたもののH編成はまだ全編成に及んでいないことから、完了までは相当時間が掛かると思われ、これからも長期間主力車両としての運用が続きそうな予感です。