町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

いよいよ残り1編成・歌う京急新1000形

2020年01月26日 | 京浜急行電鉄

京急では会社創立100周年を前に2扉クロスシートの快特用2100形を1998年に登場させましたが、初の試みとしてVVVFインバータ制御装置に国内メーカーではなくドイツのSIMENS社の製品を採用しました。この制御装置はGTOサイリスタを素子に用いており磁励音が音階調になっている非常に珍しいもので、1995年登場のJR東日本E501系の主変換装置で初採用され、日本では2例目でした。そして2002年には700形や初代1000形の置き換え用として2100形の実績を基に2代目1000形が登場、SIMENS製のVVVF制御装置を引き続き搭載し、3例目となる音階を奏でる形式になりました。この新1000形と2100形は、独特な磁励音から「歌う電車」と称されマスコミにも取り上げられたことから、京急=歌う電車のイメージを全国に浸透させました。しかし、SIMENS製VVVFも素子がIGBT化され3次車からは音階は聞かれなくなり、大幅に設計変更されたステンレス車グループからは国内の三菱電機・東洋電機製造の制御装置が採用されました。

歌う電車として名を馳せた1・2次車も、経年劣化と共にGTOサイリスタの製造終了や補修用部品の調達に難がある海外製品ということで、車体更新工事を待たずVVVFインバータ制御装置は国内メーカー製のIGBTを用いた新型に置き換えられることになり、現在では上写真の1033編成のみが最後の歌う電車として活躍しています。

機器更新を受けた編成の例(1413編成)。1033編成と同時期に落成した4両編成ですが、制御装置は既に置き換えられ東芝製IGBTになりました。2007年から採用の三菱・東洋製とも異なる磁励音のため、区別は容易です。

リゾート列車よろしく面積が広い固定窓が特徴の2次車車内。1次車では窓中央部にピラーがありましたが2次車から廃止され、一部機器にマイナーチェンジが加わった5次車までこの内装が引き継がれています。

全ドア上にはLED表示を設置、かつては2100形もこの形態でした。新1000形では開閉時に鳴動するドアチャイムや戸閉力弱め機構を新造時から標準装備しています。

この歌う電車は、メディア露出も多く、特にテレビ朝日の人気番組タモリ倶楽部などでも頻繁に取り上げられ、特に品川駅では接近メロディにもなっている、くるりの楽曲「赤い電車」の歌詞のモチーフになるなど名実共に京急の象徴的存在でしたが、今や消滅間近とは、一つの時代の終わりを実感させられます。今後は昭和の釣り掛け駆動車のように、GTOサイリスタのVVVF音も懐かしい時代の記憶として語られるようになるんでしょうね・・・。




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