1991年より京成本線は成田空港ターミナル直下への乗り入れを開始しますが、同時にそれまで運用されていた非冷房で残存する初代3000・3050形と車両不足を補う為の京急からのリース車である1000形を置き換える新型車両として導入されたのがこの3700形でした。2代目スカイライナーAE100形と同様にVVVFインバーター制御を採用、地下鉄ではない関東私鉄の通勤電車では初めてLEDによる車内案内表示器を設置するなど画期的な設備を持ち共通設計車として北総開発鉄道(当時)には7300形が導入されるなど一時期の京成グループを代表する車両になり、普通列車用の6両編成を除き成田スカイアクセス線対応改造も施工され登場から30年を数える現在でも自社線内から都営浅草線〜京急線乗り入れまで広範囲に渡る運用に就いています。
エアポート快特(京成車は快速特急と表示)で京急本線を走行する3758編成。この編成は3次車に当たる車両で1995年度に京成西船〜勝田台間で競合する東葉高速鉄道開通を控えて時間短縮と増発を目的に増備されたグループです。集電装置は菱形の下枠交差式でしたが、現在は初期車も含めてシングルアーム化されました。
上写真と同仕様の3768編成。登場時は1・2次車とは座席のモケットが異なり、それまでの濃いピンク系からオレンジの柄入りに変更されました。現在は紫のバケット型座席で統一され、このような違いは解消されています。またこのグループの登場と前後して6両編成だった3600形に対しても8両への組み替え工事が施行されるようになりました。
車内設備は2012年より座席や床材の交換、バリアフリー対策で新設されたスタンションポールやドア周りの警戒色化など2代目3000形に近いイメージの車内に更新され、印象が変化しました。現在は更に袖仕切り大型化や窓をUVカットガラスに交換した編成も現れています。
ドア上に設置される車内案内表示器。当初はLED表示で、表示内容の改修が実施されましたが2017年頃より更なる情報量の向上を目指してLCDに換装されています。この工事は北総車にも及びました。
成田空港新ターミナルへの乗り入れ開始と同時に運転を開始し、平成時代の京成電鉄の代表車的存在となった3700形ですが、子会社(北総鉄道・千葉ニュータウン鉄道)へのリースが積極的に行われているのも特徴で、2000年度からの増備車の仕様が2代目3000形に一部反映されるなど京成グループ標準車両の魁とも言える面も併せ持ち、如何にエポックメーキングな車両であるかが窺えます。今後も長期に渡る活躍を期待したいですね。