町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

初登場から30周年、今なお主力車の京成3700形

2021年06月11日 | 京成電鉄

1991年より京成本線は成田空港ターミナル直下への乗り入れを開始しますが、同時にそれまで運用されていた非冷房で残存する初代3000・3050形と車両不足を補う為の京急からのリース車である1000形を置き換える新型車両として導入されたのがこの3700形でした。2代目スカイライナーAE100形と同様にVVVFインバーター制御を採用、地下鉄ではない関東私鉄の通勤電車では初めてLEDによる車内案内表示器を設置するなど画期的な設備を持ち共通設計車として北総開発鉄道(当時)には7300形が導入されるなど一時期の京成グループを代表する車両になり、普通列車用の6両編成を除き成田スカイアクセス線対応改造も施工され登場から30年を数える現在でも自社線内から都営浅草線〜京急線乗り入れまで広範囲に渡る運用に就いています。

エアポート快特(京成車は快速特急と表示)で京急本線を走行する3758編成。この編成は3次車に当たる車両で1995年度に京成西船〜勝田台間で競合する東葉高速鉄道開通を控えて時間短縮と増発を目的に増備されたグループです。集電装置は菱形の下枠交差式でしたが、現在は初期車も含めてシングルアーム化されました。

上写真と同仕様の3768編成。登場時は12次車とは座席のモケットが異なり、それまでの濃いピンク系からオレンジの柄入りに変更されました。現在は紫のバケット型座席で統一され、このような違いは解消されています。またこのグループの登場と前後して6両編成だった3600形に対しても8両への組み替え工事が施行されるようになりました。

車内設備は2012年より座席や床材の交換、バリアフリー対策で新設されたスタンションポールやドア周りの警戒色化など2代目3000形に近いイメージの車内に更新され、印象が変化しました。現在は更に袖仕切り大型化や窓をUVカットガラスに交換した編成も現れています。

ドア上に設置される車内案内表示器。当初はLED表示で、表示内容の改修が実施されましたが2017年頃より更なる情報量の向上を目指してLCDに換装されています。この工事は北総車にも及びました。

成田空港新ターミナルへの乗り入れ開始と同時に運転を開始し、平成時代の京成電鉄の代表車的存在となった3700形ですが、子会社(北総鉄道・千葉ニュータウン鉄道)へのリースが積極的に行われているのも特徴で、2000年度からの増備車の仕様が2代目3000形に一部反映されるなど京成グループ標準車両の魁とも言える面も併せ持ち、如何にエポックメーキングな車両であるかが窺えます。今後も長期に渡る活躍を期待したいですね。

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21世紀に蘇った赤い貴公子・東京メトロ2000系

2021年06月07日 | 首都圏の地下鉄

丸ノ内線では長らく赤い電車として親しまれた300400500形の置き換え用に1988年〜1996年に掛けて02系を導入し、6両編成53本と方南町支線向けの3両編成6本の陣容が続いていました。2009年からは高周波分巻チョッパ制御で新製された初期車を対象にB修と呼ばれる大規模更新が実施され、永久磁石同期電動機を採用したVVVFインバーター制御化や室内更新により更なる長期間の活躍が見込まれましたが、丸ノ内線に導入予定のCBCT(無線式列車制御システム)02系が対応出来ない事を受け、2020東京オリンピックの決定もあり東京メトロの魅力を発信するべく新形式の2000系を登場させました。

銀座線向けに導入された1000系の技術を更に発展させ、フルラッピング車両として開通時に運転されていた初代車両300形の車体色であるグローイング・スカーレットを再現し、サインウェーブはホームドア設置が完了している為上部に配置し車端部を円型の窓とした特徴的な外観で新形式ながらレトロ感覚も併せ持つ車両に仕上がりました。本形式は従来の02VVVF車と比較しても大幅な消費電力の低減を図った為、「令和元年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」(対策技術先進導入部門)並びに「2019年度省エネ大賞経済産業大臣賞」(製品・ビジネスモデル部門・輸送分野)を受賞しています。

地上の四ツ谷駅で02(B修車)と並んだ2000系。初めて2000系が登場したのは2019年の事で、赤い貴公子の愛称でも名を馳せた300500形の引退から実に23年の歳月が経過していました。現代の技術で蘇った赤い電車を見て、斬新と受け取るか懐かしさを感じるかで世代が分かれそうですね。

車内設備は路線カラーでもある赤・黒のコントラストを付けたシックな空間をコンセプトに掲げました。化粧板・床面はピンク系で吊り手は300形の登場時に設置していたリコ式吊り手を模した特徴的な形状で、旧型車のモチーフが其処彼処に感じられます。車椅子・フリースペースは池袋側に設置され、通勤型電車では初の電源用コンセントも用意されるなど、サービスが大幅に向上しました。

車内案内表示は日比谷線向けの13000系と同様に17インチ液晶画面を3台設置し、左側は動画広告を表示しています。

今後2000系は2023年度末までに6両編成52本が出揃い、既存の02系は順次引退となりますが21世紀の東京に再び赤い地下鉄電車が蘇った事は、旧型車の最後の活躍を僅かながら知る世代としては実に感慨深いものがあります。今後は銀座線の1000系のような、より旧型車に近いデザインで日常的に運用される特別仕様車などの登場にも期待したいですね。

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神出鬼没の多目的試験電車・209系MUE-trainを追う

2021年06月05日 | JR東日本

京浜東北線から撤退した209系は後期車を中心にしたグループが千葉支社管内向けに転用されましたが、最初期に製造されたウラ2編成は在来線車両の技術開発を行う試験電車に改造されました。この編成は多目的試験車を意味するMUltipurpose Experimental Trainを略したMUE-Trainの愛称を与えられ、2008年に川越車両センターに配置、以降は首都圏近郊路線で試運転を実施しています。先月は東北本線大宮〜小金井間で試運転を立て続けに実施している姿が目撃された為、生憎の空模様ですが情報を頼りに撮影して来ました。

試験走行を終えて川越車両センターに戻るMUE-train。本来は7両編成でしたが、台車の性能向上試験を目的とした4号車は2010年で廃車され、その後は現在まで6両編成で試運転を継続しています。外観デザインは明るい未来、希望を表現した白で、ブロックパターンは凡ゆる分野の輝く技術が結集して新しい鉄道システムを構築するイメージを具現化した斬新な意匠になりました。

「車両の性能向上に関する開発」「次世代車両制御システムの開発」「営業用車両を用いた地上設備の状態監視用機器の開発」を行うとされ、E235系が搭載する次世代車両制御システム"INTEROS"も本編成で実用試験を行って来ました。試験終了後は動向が注目されましたが、現在でも何らかの実証実験の為、試運転は継続されています。

MUE-trainは試験電車という事もあり、何度か主制御装置を始めとした機器の換装を実施していますが、一番気になるVVVFインバーター制御装置は編成内のユニットでそれぞれ異なり、モヤ209208-3には三菱電機製を搭載しています。

モヤ209208-4には日立製作所製VVVFを搭載。同社製の制御装置を既に採用しているE2333000番台などとは磁励音が僅かに異なるので半導体素子が違うのかも知れません。

次世代車両の開発に向けて使用される多目的試験車への転用ということで、登場時は話題になったMUE-Trainですが、既に運用開始から13年、旅客車時代から数えると29年の歳月が経過し試験車としては異例の長命になり現役の209系としても数少ない川崎重工業で製造された編成で最古参になりました。現在はATCからATACSへと保安装置が更新された埼京線池袋〜大宮間には入線不可能となった他、車体も経年なよる傷みが目立つ事などから試運転終了も近付いている事を伺わせ、今後に注視したい車両です。

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2大国際空港を乗り換え無しで一直線!京成3100形(2代目)

2021年06月03日 | 京成電鉄

成田スカイアクセス線(京成成田空港線)のアクセス特急には30007次車に当たる50番台車が充当されて来ましたが、開通10周年を控えた2019年に訪日外国人の増加やバリアフリー強化を見据えて16年振りの新形式となる3100形を導入しました。「受け継ぐ伝統と新たな価値の創造」をコンセプトに掲げた京成グループの新たな標準車両として位置付けられており、新京成電鉄にも本形式と基本設計を共通化した80000形が登場しています。

成田スカイアクセス線の運用が中心になる為、京成本線系統との誤乗防止で初となるオレンジ系のカラーを採用し、側面には飛行機と成田山新勝寺、東京スカイツリー、浅草雷門、千葉県側から見た富士山遠景など沿線の名所のイラストをあしらいました。飛行機イラストは機首が14号車は成田空港側、48号車は羽田空港側を向いています。写真は夕方に運転される京急久里浜線直通の列車で、京成車が神奈川県まで遠征する数少ない運用となっています。

4社局相互直通30周年記念のヘッドマークを掲げエアポート快特として京急本線を走行するトップナンバー3151F。この編成のみ車体の裾に飾り帯があるのが特徴です。日中は成田空港〜羽田空港間の運用が基本ですが、朝夕は京成上野発着や上写真のような京急久里浜線直通、また非常に僅かながら夜間は普通列車運用も設定されています。

車内設備は30007次車が空をイメージした青系の車内から一転し、白の化粧板に桜の花柄が入ったオレンジのハイバック座席の組み合わせになりました。空港アクセス列車という特性からロングシートの一部が折り畳み式になっているのが最大の特徴で、8人掛け座席を3-2-3に仕切りで分割しており中心の2人分は跳ね上げて荷物置き場として使用できる様にしています。

車内案内表示器はオーソドックスな17インチ液晶画面ですが左右一体型ではなく向かって左が動画広告、右が路線図や行先などの情報提供用です。運用範囲が広大なので、東京メトロのような3画面でも良かったのではという気がしますね。

新たな京成グループ標準車両として登場し、今後も増備予定の3100形ですが将来的には本線仕様や北総鉄道向けの登場、または新京成電鉄は80000形の更なる増加や京成千葉線直通対応化などがあるか、この先が色々気になる車両です。

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京成グループ標準車体で設計の北総鉄道7500形・千葉ニュータウン鉄道9200形

2021年06月01日 | 京成グループの鉄道

北総鉄道では1979年の北初富〜小室間開通時にスキンステンレス構造の7000形電車を導入し運用して来ましたが、老朽化に伴う置き換えが検討される頃に親会社である京成電鉄ではグループの標準車両として位置付けられる3000形の運用を開始していました。北総鉄道でも新型車はこの3000形をベースにした車両を導入する事とし、カラーリング以外は同形式と共通化した7500形を導入しています。2005年に8両編成2本の16両、2006年に8両編成1本が製造され、合計24両の陣容になりました。

エアポート快特で京急本線に乗り入れた7500形。帯は北総ブルー・北総ライトブルーと称される濃淡2色で、線路を共用する成田スカイアクセス線の開業で空港アクセス路線としても機能する事から先頭車には飛行機のスリットが入るのが特徴です。

北総線と一体化している千葉ニュータウン鉄道でも初代車両9000形の置き換えの為に京成3000・北総7500形と共通設計の9200形を2013年に導入しました。外観は帯色がスカイブルーとイエローの組み合わせになり、車内案内表示器をLEDスクロールから15インチ液晶画面に変更しているのが相違点です。保有は千葉ニュータウン鉄道ですが、車両の管理・運用は北総鉄道が行っており9100形、京成3700形のリース車9800形の2形式と共通で運用されています。

車内設備は京成3000形と完全に共通で、座席や化粧板の配色も同一になりました。識別出来るポイントは戸当たり部にも貼られた黄色い警戒テープ(京成車は戸尻部分にのみ貼り付け)くらいしか見当たりません。

元々は小振りなLEDスクロール式の車内案内表示器を設置していましたが、2019年に17インチワイド液晶画面に換装されました。千葉ニュータウン鉄道9200形は新製時から15インチ液晶画面を搭載しており、数少ない相違点となっています。

これらの形式が大挙して導入されるまでは、少数派で実に個性的な車両が活躍することで注目の的でしたが、現在はすっかり整理され帯色以外の違いが見出せなくなってしまいました。時代の流れや効率化を考えると機器・車体の共通化は致し方ない措置ですが、少々味気なくなってしまいましたね。

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