どうも。ご無沙汰してます。
いきなり変なタイトルですんません。帰省を延ばしたら、ホントに寒波が来て、今日の内に移動しておけばよかった、とやっぱり後悔(こうなることは予測済みだったが・・・)
逃げ遅れた鼠一匹、沈没船の中、っていう気分です。
「人間ってさぁ、どっかで最後まで「自分は死ぬはず無い」って思ってるよね。」
どっかからのんびりとした不吉な声(「めぞん一刻」の朱美さんの声で・・・)が聞こえる・・・(爆)
明日安全運転で郷里まで帰れますように。
さて、「日本語 語感の辞典」は11月末に出版されたばかりですが実に面白い辞典です。著者:中村明、出版社/発売元:岩波書店。
辞典を買ったのなんて何年ぶりだろう(爆)
最近ニュースや書物、音楽などでもやたら頑固親父のように「言葉遣いがなっとら~ん!」とか感じることが多く、精神衛生上悪いので、白黒はっきりつけたくて購入した次第。もちろん、言葉は時とともに変わりゆくものだとはわかっているし、若者言葉も一定の?理解と受容はできるのだが、既成の言葉遣いが場違いな使われ方をしているように感じると、違和感で気持ち悪くなるのである。(所詮門外漢なので、自分の間違った思い込みなのかもしれないし、そういうのは恥ずかしいのだが。)
最近血圧が上がったのは以下の2例。
事例1:「(「トイレの神様」は、おばあさんとの)些細な日常の中から生まれました。」(某TV番組のナレーション)
「些細な日常」という表現(否定的)と「トイレの神様」を誉めてる文章全体(好意的)のアンバランスさが気持ち悪かった。
「些細」って、悪い意味じゃないのか。
おいらだったら「ありふれた日常の中から生まれました」とか言うけどなぁ。「ありふれた」なら、「些細」ほど否定的なニュアンスはないし。それとも、ここ数年の間に、急に「些細」の使い方は変わったのか?
事例22:「くだらない景色にも涙する それを幸せという」(超有名な某曲・・・曲も歌ってる人も大好きなんですけどね・・・)
「くだらない景色」と表現する場合、話し手は目の前の景色を全否定している。「くだらない」は価値ゼロなわけだ。どんなに平凡な景色でも、平凡だという理由で全否定される筋合いはないと思うのだが、この主人公はなぜ、景色を積極的に否定したいと思うのか。
穏当な表現なら、これも「ありふれた景色」となるところだろうか。
そこで、普段おおざっぱなくせに時に些細なこと(笑)が気になるおいらは、こんなことにこだわるのはくだらない(笑)と思いつつも「教えて、『語感の辞典』様」となったのです。
事例1について:(以下、「日本語 語感の辞典」より引用)
---------------------------------------------------
「些細(ささい)」 細かくて価値が無く、取るに足らない意・・・(中略)・・・<ほんの―なこと><―なことにこだわる><―なことから喧嘩になる> 取り上げるに値しない点は「瑣末(さまつ)」と同じだが、この語は、細か過ぎるところに重点を置き、その点で「瑣末」とニュアンスが違う。
--------------------------------------------------
「ありふれた」 どこにでもよくあるの意で、会話やさほど硬くない文章に使われる日常の和語。<―話><―結末><ごく―事件> 評価よりも、珍しくない点に中心がある。
--------------------------------------------------
おいらの結論:
やはり「ありふれた日常の中から」にしてほしかったなぁ。。。「些細な日常」じゃ「取り上げるに値しないほど細かすぎる日常」で、誉めてるんだかけなしてるんだかわかんないよ。(わざと逆説的な表現を衒っている文章でもないのに。)
事例2について:(以下、「日本語 語感の辞典」より引用)
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「くだらない」 価値のきわめて低い意で、会話や軽い文章に使われる日常の和語。<―話><―ものを買いあさる>・・・(中略)・・・「つまらない」よりさらに露骨に低い評価として使う。「―人間」は最低の評価となるが、「つまらない人間」は交際する上で面白みがないというだけで、必ずしもその人間の価値が低いとまでは言及していない。
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「ありふれた」 どこにでもよくあるの意で、会話やさほど硬くない文章に使われる日常の和語。<―話><―結末><ごく―事件> 評価よりも、珍しくない点に中心がある。
--------------------------------------------------
「景色」 自然の眺めをさし、くだけた会話からさほど硬くない文章まで幅広く使われる日常生活の基本的な和語。
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おいらの結論:
「ありふれた景色」なら曲中で字振りもオッケーなのに、何で、あえて「くだらない景色」にしたんだろう。
通常は使わないような言葉を組み合わせることで、聴いている者に「あれ?」と思わせようとしたんだろうか。
でも、この場合は、言葉の新鮮さよりも、この曲の主人公が「こんな景色は価値ゼロだけど、それでも涙が出る」と思ってるということで、主人公の価値観に違和感を感じ、感情移入できなくなってしまうのです。(おいらだけかな。だとしたらすごく寂しいが。)
彼女の歌詞に時々表れるスリリングな言葉選びは好きなんだけど、これだけは、どうしても受け入れられなかったなぁ。。。残念。
(今の20代は「くだらない」を肯定的な意味で使うのかな、、、だとしたら、中年以上と話する時は気をつけて。場合によっては印象下げるから(汗))
以上。なんか、腹真っ黒な中年の戯言?
いえいえ、ナイーブ(笑)な一般市民の語感のなせるわざ、と思ってください。
(※「ナイーブ」の意味、本来は「甘ちゃん」「何も知らんやつ」です(苦笑)。わかってても、日本語として半分受け入れられてるから、「テンション」とか他の語と同じで「どうしようもないから、使うしかない」んだけどね。あ、そういや、以前、黒田氏がそんなことをラジオかCDで言ってたなぁ。)
ことばって難しい。きっとおいらも、おいらの発する言葉で、誰かの気持ちを苛立たせたり、困惑させたりしているんだろう。
不完全でも、できるだけ、ことばを大切に使いたいと思う、師走の夜更けなのでした。
追伸:SFだけど「銀河英雄伝説」でヤン・ウェンリーが、弟子のユリアン・ミンツに諭す場面が好きだ。
「ことばでは伝わらないものが、確かにある。だけど、それはことばを使いつくした人だけが言えることだ」
「ことばを大事に使いなさい、ユリアン。そうすれば、ただ沈黙しているより、多くのことをより正確に伝えられるのだからね……」
田中芳樹(著者)ってすごいな。今でも思い出す名場面を残してくれたその筆力に改めて敬服します。
いきなり変なタイトルですんません。帰省を延ばしたら、ホントに寒波が来て、今日の内に移動しておけばよかった、とやっぱり後悔(こうなることは予測済みだったが・・・)
逃げ遅れた鼠一匹、沈没船の中、っていう気分です。
「人間ってさぁ、どっかで最後まで「自分は死ぬはず無い」って思ってるよね。」
どっかからのんびりとした不吉な声(「めぞん一刻」の朱美さんの声で・・・)が聞こえる・・・(爆)
明日安全運転で郷里まで帰れますように。
さて、「日本語 語感の辞典」は11月末に出版されたばかりですが実に面白い辞典です。著者:中村明、出版社/発売元:岩波書店。
辞典を買ったのなんて何年ぶりだろう(爆)
最近ニュースや書物、音楽などでもやたら頑固親父のように「言葉遣いがなっとら~ん!」とか感じることが多く、精神衛生上悪いので、白黒はっきりつけたくて購入した次第。もちろん、言葉は時とともに変わりゆくものだとはわかっているし、若者言葉も一定の?理解と受容はできるのだが、既成の言葉遣いが場違いな使われ方をしているように感じると、違和感で気持ち悪くなるのである。(所詮門外漢なので、自分の間違った思い込みなのかもしれないし、そういうのは恥ずかしいのだが。)
最近血圧が上がったのは以下の2例。
事例1:「(「トイレの神様」は、おばあさんとの)些細な日常の中から生まれました。」(某TV番組のナレーション)
「些細な日常」という表現(否定的)と「トイレの神様」を誉めてる文章全体(好意的)のアンバランスさが気持ち悪かった。
「些細」って、悪い意味じゃないのか。
おいらだったら「ありふれた日常の中から生まれました」とか言うけどなぁ。「ありふれた」なら、「些細」ほど否定的なニュアンスはないし。それとも、ここ数年の間に、急に「些細」の使い方は変わったのか?
事例22:「くだらない景色にも涙する それを幸せという」(超有名な某曲・・・曲も歌ってる人も大好きなんですけどね・・・)
「くだらない景色」と表現する場合、話し手は目の前の景色を全否定している。「くだらない」は価値ゼロなわけだ。どんなに平凡な景色でも、平凡だという理由で全否定される筋合いはないと思うのだが、この主人公はなぜ、景色を積極的に否定したいと思うのか。
穏当な表現なら、これも「ありふれた景色」となるところだろうか。
そこで、普段おおざっぱなくせに時に些細なこと(笑)が気になるおいらは、こんなことにこだわるのはくだらない(笑)と思いつつも「教えて、『語感の辞典』様」となったのです。
事例1について:(以下、「日本語 語感の辞典」より引用)
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「些細(ささい)」 細かくて価値が無く、取るに足らない意・・・(中略)・・・<ほんの―なこと><―なことにこだわる><―なことから喧嘩になる> 取り上げるに値しない点は「瑣末(さまつ)」と同じだが、この語は、細か過ぎるところに重点を置き、その点で「瑣末」とニュアンスが違う。
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「ありふれた」 どこにでもよくあるの意で、会話やさほど硬くない文章に使われる日常の和語。<―話><―結末><ごく―事件> 評価よりも、珍しくない点に中心がある。
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おいらの結論:
やはり「ありふれた日常の中から」にしてほしかったなぁ。。。「些細な日常」じゃ「取り上げるに値しないほど細かすぎる日常」で、誉めてるんだかけなしてるんだかわかんないよ。(わざと逆説的な表現を衒っている文章でもないのに。)
事例2について:(以下、「日本語 語感の辞典」より引用)
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「くだらない」 価値のきわめて低い意で、会話や軽い文章に使われる日常の和語。<―話><―ものを買いあさる>・・・(中略)・・・「つまらない」よりさらに露骨に低い評価として使う。「―人間」は最低の評価となるが、「つまらない人間」は交際する上で面白みがないというだけで、必ずしもその人間の価値が低いとまでは言及していない。
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「ありふれた」 どこにでもよくあるの意で、会話やさほど硬くない文章に使われる日常の和語。<―話><―結末><ごく―事件> 評価よりも、珍しくない点に中心がある。
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「景色」 自然の眺めをさし、くだけた会話からさほど硬くない文章まで幅広く使われる日常生活の基本的な和語。
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おいらの結論:
「ありふれた景色」なら曲中で字振りもオッケーなのに、何で、あえて「くだらない景色」にしたんだろう。
通常は使わないような言葉を組み合わせることで、聴いている者に「あれ?」と思わせようとしたんだろうか。
でも、この場合は、言葉の新鮮さよりも、この曲の主人公が「こんな景色は価値ゼロだけど、それでも涙が出る」と思ってるということで、主人公の価値観に違和感を感じ、感情移入できなくなってしまうのです。(おいらだけかな。だとしたらすごく寂しいが。)
彼女の歌詞に時々表れるスリリングな言葉選びは好きなんだけど、これだけは、どうしても受け入れられなかったなぁ。。。残念。
(今の20代は「くだらない」を肯定的な意味で使うのかな、、、だとしたら、中年以上と話する時は気をつけて。場合によっては印象下げるから(汗))
以上。なんか、腹真っ黒な中年の戯言?
いえいえ、ナイーブ(笑)な一般市民の語感のなせるわざ、と思ってください。
(※「ナイーブ」の意味、本来は「甘ちゃん」「何も知らんやつ」です(苦笑)。わかってても、日本語として半分受け入れられてるから、「テンション」とか他の語と同じで「どうしようもないから、使うしかない」んだけどね。あ、そういや、以前、黒田氏がそんなことをラジオかCDで言ってたなぁ。)
ことばって難しい。きっとおいらも、おいらの発する言葉で、誰かの気持ちを苛立たせたり、困惑させたりしているんだろう。
不完全でも、できるだけ、ことばを大切に使いたいと思う、師走の夜更けなのでした。
追伸:SFだけど「銀河英雄伝説」でヤン・ウェンリーが、弟子のユリアン・ミンツに諭す場面が好きだ。
「ことばでは伝わらないものが、確かにある。だけど、それはことばを使いつくした人だけが言えることだ」
「ことばを大事に使いなさい、ユリアン。そうすれば、ただ沈黙しているより、多くのことをより正確に伝えられるのだからね……」
田中芳樹(著者)ってすごいな。今でも思い出す名場面を残してくれたその筆力に改めて敬服します。