明日は寒露。草木についた露が冷たく感じられるころです。
初候である10/8~10/12は「鴻雁来る(がんきたる)」。
渡り鳥である雁が、北の地から海を越えて渡ってくるころです。雁は昔は狩猟の
対象とされていた鳥ですが現在では禁猟となっています。「かんもどき」という
お料理がありますが、もともとは精進料理で、雁の肉に味を似せて作られている
ことに由来するという説があるようですよ
ヨーロッパでは古くから魔除けとして重宝されてきたナナカマドが、他の木々に
先だって紅葉し始めるのもこの時期
次候である10/13~10/17は「菊花開く(きっかひらく)」。
9月9日の重陽の節句(菊の節句)に遅れる事1ヶ月あまり、旧暦の9月9日に近い
この時期は、菊の花が咲き始めるころです。殺菌効果のある菊はもともとは薬草
として中国から日本に伝わりました。
園芸ブームの起きた江戸時代には、植木職人によって様々な品種改良が行われ、
「菊合わせ」という菊の新花の品評会もたびたび行われていたそうです
また、このころには秋の味覚の代表格である栗が出回ります。焼き栗に蒸し栗、
栗ごはんに栗おこわ、栗きんとんに栗かのこ、栗の甘露煮に栗の渋皮煮などなど
甘くて美味しい栗料理がたくさん味わえます
末候である10/18~10/22は「蟋蟀戸に在り(きりぎりすとにあり)」。
きりぎりすが戸口で鳴くころです。蟋蟀(こおろぎ)と書いてきりぎりすと詠む
のはなぜだろうと思ったら、万葉集の時代には「蟋蟀」とは秋に鳴く虫の総称と
して使われていたようです
秋は色々な虫の鳴き声が聞こえますが、この時期に野山へ出かけて虫の音に耳を
済ませて楽しむことを「虫聞き」といいます。江戸時代の庶民たちは春の花見、
秋の月見や菊見、冬の月見と同様に、この虫聞きを楽しんだそうです
「虫時雨」という言葉がありますが、たくさんの虫たちが一斉に鳴く声がまるで
ざぁっと降る時雨の雨音のようという意味で、まさにその通りですよね