ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

空飛ぶ絨毯

2011年02月23日 | ひとりごと
気功師ミリアムに、小指の治療をしてもらった。
彼女の家は、うちから車で10分ぐらいの所にある。
彼女の家に向かう通りに入るといつも、まるで森の中に入り込んだような気持ちになる。
そこらへん一帯の家は、大きな公園とゴルフ場にぐるりと囲まれていて、緑が無い冬の間でも、木々にしっかりと守られている。

彼女の家の三階の、屋根裏部屋に、トリートメント部屋がある。


ミリアムの後ろの窓からは、広々とした裏庭が見える。
大きな木がたくさんあって、治療を受けている間、何種類もの鳥のさえずりが聞こえてくる。


初めてここに来た日、この椅子に座り、自分の人生に起こった様々な出来事を話した。 



マッサージ台の上に仰向けになり、目を閉じて、彼女の言葉を聞く。
「丹田のところに息を入れ、吐き出す時に、痛みを息に溶かしてみて」
「吸い込む息の中にエネルギーを感じてみて」
「エネルギーを感じたら、息を吐き出す時に、体全体を開放してみて」
「皮膚が溶けて無くなり、皮膚に包まれていたあなたが外に向かって開放されます」

そう言いながら、彼女が両方の手のひらをわたしの丹田とみぞおちの辺りに軽く乗せた時、その強烈な感覚がわたしをびっくりさせた。

浮いてるやん……わたし……。

体全体が真っ平らな、柔らかい浮遊態になり、群青色の、けれどもどこかに薄らと光が感じられる空間に、静かに、静止したまま浮かんでいる。
驚いたけれど、恐いとは思わなかった。
なんとも言えないいい気持ちになり、うとうとと眠くなった。
それからの数分間のことは覚えていない。
多分実際に眠っていたのだと思う。
ミリアムに起こされて、台の上に腰掛けたのだけど、頭はすごくボォッとしていた。

次回の治療までに、変形してしまっている小指の関節の部分を、なにか慈しむような感情を込めながら、丸く優しくマッサージするようにと言われた。

円を描く。
円の中に居る。
円を思う。
それが、太極拳と気功の、一番大事な考えどころなのだとミリアムは言う。

「わたし、エネルギーは人よりも賢いと思うの。わたしよりも人の体の状態を的確に感じることができるし、わたしが見つけるより先に、人の体の問題を察知して、そこにまっしぐらに向かうもの。
なので、エネルギーにとっては、人の知識や思いは本当は必要ではなく、感じとってもらうことが一番なのだと思う」


屋根裏部屋から下に降りる途中の、階段の踊り場の壁にかかっている数枚の写真の中の一枚を、ミリアムが指差した。
それだけが白黒の写真で、小さな子供達が二十人ほど、こちらを向いて笑っていた。
その前列に座る、ひときわ小柄な女の子を指差して、「これがわたし」とミリアムが言った。
「これはイスラエルの学校?」
「ううん、ここがわたしの育った、子供達だけが暮らす家よ」
子供達だけが暮らす家?あなたは孤児だったの?なんて聞けなくて黙っていると、
「わたしは、少し普通では無い世界で育ったの」とミリアムが微笑んだ。


治療の後、彼女と一緒にランチを食べに行った。
さっきの彼女の話の続きを聞きたかったからだ。

彼女を乗せてまずは近所のマレーシア料理店へ。
なぜだか理由無しの休業。
次はわたしのイチオシのタイ料理店へ。
ここもなぜだか意味不明の休業。

「今日はランチを食べるなっていう意味かしらね」とミリアム。
「こうなったら意地でもどっかで食ってやる!」とわたし。
で、絶対に休みのはずが無い、町一番の人気ダイナー、レイモンズに行った。
注文するのを決め、ウェイターさんに伝え、さあインタビュー開始。

「わたしが育ったのは、600人ばかりが一緒に暮らすコミュニティだったの」

ミリアムの祖父母がヨーロッパからイスラエルに戻った頃、他からも大勢の人達が入植してきた。
彼らは一様に、無一文で、何も所有する物が無かった。
皆はだから、力を合わせて、建物を作り、作物を作り、生活に必要な物を少しずつ揃えていった。
まず、できるだけ大きな建物を作り、そこに小さな子供と赤ん坊を住まわせた。
大人はその周りの土地にテントを張り、そこで暮らし続けた。
時とともに、そこには店屋ができ、病院ができ、工場や農場も整い、学校などの施設も建てられていった。
けれども、ミリアムの親の時代になってもまだ、そのテント生活は続いていて、彼女が5才ぐらいの時まで、彼女の両親もテントで暮らしていたのだそうだ。
そのコミュニティの中では、いつも誰かが誰かの世話をしていた。
洗濯も食事も掃除も、いつも誰かがやってくれていたので、自分のために洗濯をしたり料理をしたり掃除をした覚えが無いのだそうだ。
赤ん坊の頃からずっと、子供達は子供達だけの共同生活を送り、児童達は放課後の4時から7時までの間だけ、両親のテントか家に行って一緒に過ごし、また子供の家に寝に戻ってくる。
週末の土曜日だけは、家族と一日中一緒にいられる。
そういう時間を使って家族旅行もしたし、年に何回かは年中行事で家族が揃ったし、またはコミュニティ全体の大勢でどこかに出かけたりもする。
なので、家族の絆が多分、普通の形で育った人よりも強いと思う、と彼女は言った。

けれど、自分の収入も労働も、なにもかもがコミュニティのため、という暮らしは、やはりとても特殊で、息苦しく、特に他の世界のことを知った後の彼女には、いろんなことが重苦しくなって、彼女が17才の時に、そこから逃げ出したのだそうだ。

イスラエルの人は、そもそも自分の祖国というものが存在しない。
浮き雲のような、心もとない存在感。そしてさらに辛いことに、いろんな観点から嫌われている事実。
ミリアムの心の中にも、そのことに対する哀しみが深く刻まれている。
彼女は心がとても穏やかで美しい。
その人を、その人としてだけ見ることができる世の中にならないものだろうか。

土地に線を引くことが、どうでもよくなる日がくればいいのに。
地球に住むわたし達は、みな同じ、美しい人なのに。
みんな、今日のわたしみたいに、魔法の絨毯になって、線を引こうにも引けない、地面から少し離れた所でプカプカ浮いていればいいのに。


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あこがれのオモロ写真

2011年02月23日 | 友達とわたし
どどぉ~ん!


こないだの、うちで行われた、世にも怪しい、そして艶かしい鍼パーチィ。
その模様を写した写真を、わたしもブログに載っけたのだけど、
やっぱこの方の写真は最高っすわ~!はとこちゃん!

彼女のブログに初めて遊びに行った時、この猫面と台詞に一目惚れ!
ええわ~このセンス!ええわ~このオヤジっぷり!

この、股間カメラを惜し気無くアップに見せるオトコ前がはとこちゃん。かなりラリってはる様子。

そしてSちゃん。このお飾りは彼女の指定だそうで、別にいじめではない、とのこと。ほんまかいな?


旦那は真剣に脈とりしてます。

そしてこれ。人の旦那をこきつかう、堂々たるイケズ女王っぷり!


ほんでもって極めつけは……。


ちょっとマジなんもひとつ。旦那が鍼を打ち込む瞬間でござい。



鍼を打つ前に、まずはそれぞれの体調に合った足のツボにマグネットを貼ろうとした旦那。
「えぇ~!足のむだ毛ちゃんと剃ってこんかったし~!」
「足、臭いかも……」

おいおい、自称乙女(乙女はそんなこと言わん!)さん達よ、安心しておくれ。仕事上、彼は信じられへんほどのカオスもいっぱい体験してるからさ。


いつかわたしもこんなふうに、写真で遊べるようになりたいな~。
と思い、さっそくはとこ師匠に弟子入りをお願いしてみたら……、

恐竜脳にどこまで覚えられるか、そこがちと心配ではあるが、しゃあない、教えたろか。と、渋々オッケーが出ました。
いつの日か、オモロいのん、載せまっせ~!



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