ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

痛いながらも夢を見ている

2011年02月04日 | 音楽とわたし
昨日の夜、眠ろうとする時から明け方まで、いや~な痛みが顔の右半分にはりついていて、なんともちゃんと眠れない夜になった。
目が覚めるたび、耳の後ろだの、右の後頭部だの、首の付け根だの、右下の奥歯だのが、ジクジク痛んでいる。
だから夢だってろくなのを見ない。
まあ、中にはおもしろいのもあったけど……。

そんなんで、散々な状態で起き、旦那にその話をすると、昼間に一度戻ってくるから、その時に鍼を打ったろう、ということになった。
鍼を打ってもらうと、しばらくはホワ~ンとするので、まずは今日の合わせの曲をガリガリと練習。
そして二階にある治療室を温め、マッサージテーブルの敷き毛布にも電源を入れる。

鍼はいつものごとく素晴らしかったのだけど、そして指は、鍼のおかげで、無理しているわりには痛みがひどくならないままでいてくれているのだけど、治療を受けた後、いきなり歯と歯のすぐ後ろの耳の中がガンガン痛み出した。
どっひゃ~

今日の生徒達は、ついこないだ始めたばかりの超初心者ちゃんばかりで、慣れた子達よりエネルギーが要る。
勢い余って、頭の位置(特に高さ)を素早く変えるとビンッ!と痛みが走る。たまりまへ~ん
あちこちに貼付けてあるマグネットを見て、生徒達は怪訝な顔をする。
「気にしない気にしない。ちょっと痛いから、それを取るおまじない」
なんて言うと、さらにもっと変な顔をする。
君達に東洋の医学を説明している暇は無いのだよ~。


仕事が終わってすぐに、マンハッタンからわざわざ合わせに来てくれたサラを駅まで迎えに行く。
彼女はマンハッタンの公立小学校5年生の先生。
インターン時代に、岡山の田舎で2年、英語の先生をしていた人。
すご~く美人で、元気で、健康で、バイオリンがめちゃうまい人。
去年のカーネギーホールコンサートで、ピアノトリオを演奏しているのを聞いて、もう絶対に彼女と組んでオーディションを受けたいと思い、コンサート当日の楽屋裏で「やろうやろう、ねえやろう!」と迫ったら、「いいよ」と快諾してくれた。
曲は例のフランクのソナタの四楽章。
タイソンと一緒にやりたかった夢の曲。
サラの演奏にかける情熱は、タイソンのそれとよく似ている。
だからきっと、音楽の相性はいいと思っていた。
今日合わせてみて、やっぱりその予想が当たっていて、とても嬉しかった。
頭も指も痛いままだったけれど、嬉しさがその痛みをぶっ飛ばしてくれた。
一緒に演奏するのに難しいリズムは無く、合わせ易い曲なんだけど、音が難しい。転調が激しくて、気がつかないうちに調が変わっていき、突然♭が6つだの、シャープが5つだのになり、頭がこんがらがってしまう。
弾いて弾いてとにかく弾いて慣れるしかないね。
お互いに苦笑いしながら、そう自分に言い聞かせた。
でもきっと良くなる。良くしてみせる。練習さえきちんとしたら大丈夫。
バイオリンとピアノが、同じメロディを微妙にずらしながら歌い上げていくこの曲は、本当に美しい。弾いていて胸がジーンとする。

Isaac Stern & Jean-Bernard Pommier - César Franck Violin Sonata in A major - 4th mvt.


2009 | Soyoung Yoon | Franck Violin Sonata | 4th Mvt | Queen Elisabeth Violin Competition


オーディションは来月の19日。受験者がもらえる演奏時間はほんの数分。全曲を演奏できないので、アピールするのに最適の箇所を二人で選んだ。
年々競争が激しくなるACMA。
またあの舞台の上で、フランクを演奏しているサラをわたしを強く強くイメージしながら、もっともっと練習してうまくなりたい!


かあちゃん、まあまあ、そういきがらんと。ゆっくりのんびりやりなはれ。


痛いとこ、こんなふうに舐めたら治るかもやで。




コメント (6)
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