気功のクラスに行く前は、やっぱりなんとなく体がだるくて重くて(注・体重ちゃいまっせ)、行くか行くまいか、かなり迷った。
けれども、こういう時にこそ、気功はきっと良いはずだと決心して行った。
今日のメインは『太極拳の筒』。
説明を受けても今ひとつわかっていないけれど、イメージとしては、精神が一本の筒のような物になって、それが胴体の中で伸びたり縮んだりしている。
どんな動きをしていても、その筒は胴体の中心に存在していて、それが伸び縮みすることによって、エネルギーが天に開放されたり、地にしみ込んでいったり、またはその逆で、天地からのエネルギーを吸い取ったりする。
嗚呼、深い……。
今日もまた円、やりました。
おへその少し下の丹田の辺りに、短い鉛筆を突っ込んで(イメージです、あくまでも)、それで小さな円を描く。
両手は胸の辺りでパーの形に開いて、体の動きに合わせる。
気功版腹芸。
後ろに居るおっちゃんの目に、わたしの後ろ姿はどんなふうに見えてんのやろ……そんなこと思たらあかん!集中集中!
これは消化器官にとっても良い気功なんだそうな。
そして素晴らしい瞑想を終え、なかなかすっきりとした気分で家に戻ると……、
あっ!
家の鍵無いし……。
出がけにバタバタと急いでいて、しかも今日は少し暖かめだということで、いつも着ているコートを羽織らなかった。
急ぐとろくなことは無い。
さらに、そういう時に、いつもと違うことをしたら、もっとろくなことは無い。
わたしは家の鍵をいつも、コートの左ポケットに入れておく。
けれどもピラテスに行く時だけは、汗まみれのまま羽織れるように、かなりボロくなった方のコートを着るので、ピラテス前日の月曜日と水曜日の晩は、そのコートの左ポケットに、家の鍵を移し入れる。
合鍵は事情があって、とてもじゃないが取りに行けない所にあるので、この入れ替えはめちゃくちゃ大事なことなのだった。
なのに今日はウダウダと迷った挙げ句、ギリギリになって慌てて出かけたので、思いついて着替えた薄めのコートのポケットのことまで気が回らなかった。
しばらく考える。
予備の鍵を隠してある場所は、いつもなら簡単に行ける所だけど、今の雪だらけの状態では、とんでもなく遠い。
しばらくの間、目の前の景色を眺める。
ムクムクと、よぉ~し、やったろやないの!という気持ちが沸き上がってくる。
幸い、ショベルは玄関脇に置いてある。
いきなりの特攻雪かき開始!
まずはドライブウェイから。
まだ50㎝はあろうかという、堂々たる積もりっぷり。
しかも、積もった雪の上に雨やら霰やらが降ったのが、分厚いカサブタのように固まっていて、まずそれを割ってからでないとひとかきすらもできない。
靴もパンツも、気功のクラスに行くだけだったから、雪かきユニフォームからは程遠い。
なのに、すぐに汗が噴き出してきた。
自分ひとりが通れりゃええんやからと、最小幅の小径をせっせせっせと掘っていく。
いきなり、『北の国から』のテーマソングが頭の中に流れてきた。
♪あ~あ~、あああああ~ああ~♪さだまさしさんのあの声で。
「ほたるぅ~」田中邦衛さんの声がこだまする。
目指すはあのバーベキューグリル!あのフタさえ開けられたら!
とうとうのとうとう辿り着き、ようやった自分!と自画自讃しながらフタを開けた。
カラやし……。
そういや、もうあと2メートル向こうにある、ちっちゃい方のやったし……。
って……どこよそれ?どこにも見当たらへんし……埋もれてしもてるし……しかも、その辺りはどんどん深なってるし……。
あきらめようかと思った。こんなことまでして部屋に入らなくても、車に乗れるんだから、どこかに食べに行ってる間に旦那が帰ってくるかもしれない。
汗はまあ、ええやん、一回ぐらい、汗臭いままでレッスンに行っても。
するとまた、あの歌が聞こえてきた。「まうみぃ~、あきらめんじゃねえぞ~」と、五郎父ちゃんも、遠く向こうから叫んでるやないか!
うぉ~、やったろやんけ~!
ショベルをしっかと握りしめ、掘って掘って掘りまくり、雪山の救助隊のような鋭敏さで、埋もれたグリルを発見っ!
(右端の丸くて黒い穴のように見えるやつ)
偉過ぎや自分!ようやった自分!
震える手(感動と雪かき疲れ)でフタに手をかけ、手品師のおっちゃんのように、晴れやかに勢い良く開ける。
あれへんし!!
これって、骨折り損のくたびれ儲けっていうん?
これってこれって、これってなぁ~に?!
トボトボと小径を後戻りし、玄関ホールの日だまりに立ち、汗がひくのをしばらく待った。
携帯を確かめると、旦那からのメッセージがあって、もう少ししたら帰ってくることがわかった。
不思議と、いつものように、誰やねん!合鍵をあそこから出したまんま戻さんかったやつは!などという怒りが全くわいてこなかった。
それよりなにより、鍵を持たずに慌てて出た自分が悪かったんだし、雪かきはいい運動になったし、旦那はもう少ししたら戻ってきてくれる。
そんなふうに思えたのは、気功のおかげかしらん?
それとも、最近唱え出した、斎藤ひとりさんの『天国ことば』のおかげかしらん?
どちらにしてもまあ、よかったよかった。
でも、もうあのグリルに合鍵を戻すわけにはいかない。
だって、あの小径、いかにもそこに大事なブツがありまっせ~と教えてるようなもんだもんなあ……やれやれ。
汗はほれ、これでヒヤシンス
いやあ~、そんなナイスギャグ、わてら照れまんがな~(注・ヒヤシンスさんのつぶやき)
けれども、こういう時にこそ、気功はきっと良いはずだと決心して行った。
今日のメインは『太極拳の筒』。
説明を受けても今ひとつわかっていないけれど、イメージとしては、精神が一本の筒のような物になって、それが胴体の中で伸びたり縮んだりしている。
どんな動きをしていても、その筒は胴体の中心に存在していて、それが伸び縮みすることによって、エネルギーが天に開放されたり、地にしみ込んでいったり、またはその逆で、天地からのエネルギーを吸い取ったりする。
嗚呼、深い……。
今日もまた円、やりました。
おへその少し下の丹田の辺りに、短い鉛筆を突っ込んで(イメージです、あくまでも)、それで小さな円を描く。
両手は胸の辺りでパーの形に開いて、体の動きに合わせる。
気功版腹芸。
後ろに居るおっちゃんの目に、わたしの後ろ姿はどんなふうに見えてんのやろ……そんなこと思たらあかん!集中集中!
これは消化器官にとっても良い気功なんだそうな。
そして素晴らしい瞑想を終え、なかなかすっきりとした気分で家に戻ると……、
あっ!
家の鍵無いし……。
出がけにバタバタと急いでいて、しかも今日は少し暖かめだということで、いつも着ているコートを羽織らなかった。
急ぐとろくなことは無い。
さらに、そういう時に、いつもと違うことをしたら、もっとろくなことは無い。
わたしは家の鍵をいつも、コートの左ポケットに入れておく。
けれどもピラテスに行く時だけは、汗まみれのまま羽織れるように、かなりボロくなった方のコートを着るので、ピラテス前日の月曜日と水曜日の晩は、そのコートの左ポケットに、家の鍵を移し入れる。
合鍵は事情があって、とてもじゃないが取りに行けない所にあるので、この入れ替えはめちゃくちゃ大事なことなのだった。
なのに今日はウダウダと迷った挙げ句、ギリギリになって慌てて出かけたので、思いついて着替えた薄めのコートのポケットのことまで気が回らなかった。
しばらく考える。
予備の鍵を隠してある場所は、いつもなら簡単に行ける所だけど、今の雪だらけの状態では、とんでもなく遠い。
しばらくの間、目の前の景色を眺める。
ムクムクと、よぉ~し、やったろやないの!という気持ちが沸き上がってくる。
幸い、ショベルは玄関脇に置いてある。
いきなりの特攻雪かき開始!
まずはドライブウェイから。
まだ50㎝はあろうかという、堂々たる積もりっぷり。
しかも、積もった雪の上に雨やら霰やらが降ったのが、分厚いカサブタのように固まっていて、まずそれを割ってからでないとひとかきすらもできない。
靴もパンツも、気功のクラスに行くだけだったから、雪かきユニフォームからは程遠い。
なのに、すぐに汗が噴き出してきた。
自分ひとりが通れりゃええんやからと、最小幅の小径をせっせせっせと掘っていく。
いきなり、『北の国から』のテーマソングが頭の中に流れてきた。
♪あ~あ~、あああああ~ああ~♪さだまさしさんのあの声で。
「ほたるぅ~」田中邦衛さんの声がこだまする。
目指すはあのバーベキューグリル!あのフタさえ開けられたら!
とうとうのとうとう辿り着き、ようやった自分!と自画自讃しながらフタを開けた。
カラやし……。
そういや、もうあと2メートル向こうにある、ちっちゃい方のやったし……。
って……どこよそれ?どこにも見当たらへんし……埋もれてしもてるし……しかも、その辺りはどんどん深なってるし……。
あきらめようかと思った。こんなことまでして部屋に入らなくても、車に乗れるんだから、どこかに食べに行ってる間に旦那が帰ってくるかもしれない。
汗はまあ、ええやん、一回ぐらい、汗臭いままでレッスンに行っても。
するとまた、あの歌が聞こえてきた。「まうみぃ~、あきらめんじゃねえぞ~」と、五郎父ちゃんも、遠く向こうから叫んでるやないか!
うぉ~、やったろやんけ~!
ショベルをしっかと握りしめ、掘って掘って掘りまくり、雪山の救助隊のような鋭敏さで、埋もれたグリルを発見っ!
(右端の丸くて黒い穴のように見えるやつ)
偉過ぎや自分!ようやった自分!
震える手(感動と雪かき疲れ)でフタに手をかけ、手品師のおっちゃんのように、晴れやかに勢い良く開ける。
あれへんし!!
これって、骨折り損のくたびれ儲けっていうん?
これってこれって、これってなぁ~に?!
トボトボと小径を後戻りし、玄関ホールの日だまりに立ち、汗がひくのをしばらく待った。
携帯を確かめると、旦那からのメッセージがあって、もう少ししたら帰ってくることがわかった。
不思議と、いつものように、誰やねん!合鍵をあそこから出したまんま戻さんかったやつは!などという怒りが全くわいてこなかった。
それよりなにより、鍵を持たずに慌てて出た自分が悪かったんだし、雪かきはいい運動になったし、旦那はもう少ししたら戻ってきてくれる。
そんなふうに思えたのは、気功のおかげかしらん?
それとも、最近唱え出した、斎藤ひとりさんの『天国ことば』のおかげかしらん?
どちらにしてもまあ、よかったよかった。
でも、もうあのグリルに合鍵を戻すわけにはいかない。
だって、あの小径、いかにもそこに大事なブツがありまっせ~と教えてるようなもんだもんなあ……やれやれ。
汗はほれ、これでヒヤシンス
いやあ~、そんなナイスギャグ、わてら照れまんがな~(注・ヒヤシンスさんのつぶやき)