国際刑事裁判所(ICC)と日本が、2008年に出した9条世界宣言を紹介させてもらいます。
↓以下、転載はじめ
【宣言】戦争を廃絶するための9条世界宣言
2008/5/8(木)
戦争を廃絶するための9条世界宣言
Global Article 9 Declaration to Abolish War
2008年5月4~6日 9条世界会議
日本国憲法9条は、戦争を放棄し、国際紛争解決の手段として、武力による威嚇や武力の行使をしないことを定めるとともに、軍隊や戦力の保持を禁止している。
このような9条は、単なる日本だけの法規ではない。
それは、国際平和メカニズムとして機能し、世界の平和を保つために、他の国々にも取り入れることができるものである。
9条世界会議は、戦争の廃絶をめざして、9条を、人類の共有財産として支持する国際運動をつくりあげ、武力によらない平和を、地球規模で呼びかける。
人類は、戦争のない世界に向けて、たえず努力してきた。
歴史の中で、土着の伝統や偉大な人物たち--とりわけ女性たちは、戦争に積極的に反対してきた--は、たえず人類を平和へと導こうとしてきた。
20世紀の近代戦争でもたらされた犠牲は、この流れをさらに前に進めた。
1928年のケロッグ・ブリアン不戦条約は、国策の手段としての戦争を、明確に放棄した。
1945年の国連憲章は、明確に定義された異常事態の場合を除いては、「武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならない」ことを加盟国に義務づけた。
日本によるアジア太平洋への侵略戦争と、広島・長崎への原爆投下の後に、1947年に施行された日本国憲法9条は、
武力の行使を認めるいかなる例外ももたない、という点において、世界平和のための国際規範の発展における、さらなる一歩前進である。
この日本の動きに続いて、コスタリカは1949年、軍隊や自衛隊をもたなくても、国家は平和的に存在できるという例を世界に示した。
9条の精神はまさに、すべての戦争が、非合法化されることを求めている。
そして、すべての人々が、恐怖や欠乏から解放され、平和のうちに生きる固有の権利を有することを、世界に投げかけている。
今日の世界における9条
しかし、今日の世界は、武力紛争、大規模な貧困、格差の拡大、武器の拡散、地球規模の気候変動に覆われている。
アメリカによる全面的な「テロとの戦い」 は、戦争をもたらし、国連の役割を台無しにし、地球規模の軍備競争を復活させ、世界中で拷問を助長し、人権をむしばんでいる。
さらに、紛争が民間人--とりわけ女性、子ども、高齢者たち--に、与える影響に対する関心が高まっているにもかかわらず、
戦争において、殺され傷つき避難を余儀なくされる民間人の割合は、空前の高さに達している。
このような絶望的な状況は、イラクにおける戦争と占領に、はっきりと示されている。
平和や民主主義が、武力によってもたらされないことは、もはや明らかである。
こうした世界的な流れのなかで、9条の原則を保持し、地球規模の平和と安定のための国際メカニズムとして強化することが、かつてないほどに重要になっている。
それにもかかわらず日本は、憲法9条の義務を果たしていない。
さらに、9条の存在自体が、いま脅かされている。
今日の日本の自衛隊は、世界最大規模の軍隊の一つであり、アメリカは、日本中に軍事基地をもっている。
日米軍事協力がますます強化されるなか、日本の現実は、憲法9条の精神からの乖離をいっそう深めている。
日本による、アメリカヘの全面的軍事支援を可能にさせるために、憲法を改定しようという動きは、日本国内、アジア近隣地域、そして国際社会で不安をかきたてている。
そればかりでなく、日本は、近隣諸国への戦争責任を果たしておらず、和解はいまだなされていない。
東北アジアには、不安定な冷戦構造がいまだに残されている。
9条と地球市民社会
歴史的には、国家のみが、国際関係の主体であると考えられてきた。
しかし、市民の運動が重要な役割を果たしてきたことも、また事実である。
1990年代より、地球規模の市民社会が、草の根レベルで国境をこえて団結し、人類の将来の決定に参加するようになってきた。
そして、平和、人権、民主主義、ジェンダーおよび人種の平等、環境保護、文化的多様性といった課題について、主要な役割を果たすようになってきた。
1997年の対人地雷禁止オタワ条約、
1999年の「ハーグ平和アピール」国際市民会議、
2002年の国際刑事裁判所の設立、
2003年のイラク戦争に対する、空前の世界的反戦運動といった例はいずれも、地球市民社会が、変声の主体としての力を明確に示したものであった。
さらに今、クラスター爆弾の禁止や、小型武器の管理を求める運動、核兵器の非合法化を求める運動、また、地球規模の平和と経済的・社会的正義を求める運動が広がっている。
いまこそ地球市民社会は、9条の条項とその精神に着目し、その主要な原則を強化し、地球規模の平和のために、そのメカニズムを生かしていこう。
9条の約束を実現する
9条の主要な原則を、国際レベルで実行するためには、大国から小国まですべての国々は、暴力紛争の発生を予防する責任を果たし、
いかなる状況下でも、武力による威嚇や武力の行使を、放棄しなければならない。
そして、安全保障というものを、人間の観点、またジェンダー・バランスの視点から、見直す必要がある。
貧困と不平等が、紛争の根源的要因となっていることは、古くより知られるところである。
現在のグローバリゼーションは、南北の格差をさらに深刻にしている。
こうしたなかで各国政府は、国連ミレニアム開発目標の達成を第一歩として、すべての人々にとっての持続的繁栄と、社会正義を築くために、資源を使わなければならない。
日本の9条は、国家の平和的存在を可能にし、人間の発展のための革新的な資金メカニズムを創ろうとする努力を、後押しするものである。
それは、軍備を規制し、世界の資源の軍事費への転用を最小化すると定めた、国連憲章26条を補完している。
9条の精神は、小型武器、地雷、クラスター兵器、核兵器、生物・化学兵器などを含む、あらゆる軍備の拡大および拡散や、軍事津業の活動を否定する。
それはさらに、安全保障政策における核兵器への依存を拒否し、核兵器の非合法化と廃絶を求めている。
潘基文国連事務総長が再確認したとおり、世界的に軍事費を削減し、限られた資源を持続可能な開発に振り向けることは、
地球規模で、人間の安全保障を促進し、軍事活動による環境への悪影響を軽減することにつながる。
持続可能な開発に関する世界サミット、および国連委員会は、各国政府および企業に対して、地球の気候、水、森林、生物多様性、食糧、エネルギー供給を保全するよう求めている。
同時に、気候変動は、紛争の発生、悪化、助長をもたらす危険があり、気候変動の過度の影響から、地球を守ることに投資することが重要である。
2005年7月、「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)」の世界提言は、
「日本国憲法9条は、アジア太平洋地域全体の、集団的安全保障の土台になってきた」と指摘した。
すなわち9条が、この地域の安定に重要な貢献をしており、包括的、かつ持続的な平和の構築のために、大きな潜在力をもっていることを認知したのである。
世界の他の地域においては、欧州連合、アフリカ連合、東南アジア諸国連合といった形で、平和のための地域メカニズムがつくられている。
東北アジアにおいては、9条が、地域の平和的統合の土台になりうる。
私たちは、平和で持続可能な世界をつくることができる。
しかしそれは、すべての国が、真の多国間主義に参加し、国連をはじめとする国際的誓約を、尊重してはじめて可能になる。
9条を実行し、他の国々もまた、9条をもつようになるためには、国際システムの改革が、同時並行的に必要である。
さらに市民社会は、暴力に対する平和的オルタナティブをつくり出し、地元、国内、地域、世界の各層におけるネットワークを通じて、平和を構築する力をもっている。
軍事主義を止め、将来の戦争を予防するために、市民社会の力を発揮していこうではないか。
これらの目標を達成するために、9条世界会議に参加した私たちは、以下の通り提言する。
私たちは、すべての政府に以下のことを求めます。
1. 国連憲章、ミレニアム開発目標、国際人権法、核不拡散条約をはじめとする軍縮条約など、すべての国際的誓約を実行すること。
2. あらゆる人権を促進し擁護しつつ、平和のうちに生きる固有の権利を認め、公式化すること。
平和のうちに生きる権利なしには、他の人権も実現しえない。
また、人権侵害に対する責任、および補償メカニズムを強化すること。
3. 平和的手段による紛争予防、平和構築、人間の安全保障のための取り組みを支持し、資金を投人すること。
4. 軍事費を削減し、それらの資金を、保健、教育、持続可能な社会開発に振り向けること。
5. 平和省を設置すること。
また、教育担当省庁が、平和教育をすべての教育段階において、体系化および必修化すること。
それには、学校のカリキュラム、教師の研修、教材資料の作成などが含まれる。
6. 平和をつくる主体として、女性が果たす重要な役割を認識するとともに、国連安保理決議1325を実行して、
あらゆる意思決定と政策策定の場に、女性の完全かつ積極的な参加を、相当数保証すること。
7. 良心的兵役拒否の権利を認めるとともに、軍隊による犯罪に対する責任、および司法システムを強化すること。
それには、侵略の罪を、国際刑事裁判所に訴追する可能性も含まれる。
8. 包括的で効果的な、武器貿易条約を成立させること。
また、大量破壊兵器から小型武器まで、あらゆる兵器の検証可能で、不可逆的な軍縮をすすめる第一歩として、非武装地帯を設置すること。
9. 1996年の国際司法裁判所の勧告的意見、および、2000年の核不拡散条約再検討会議最終文書における「明確な約束」にしたがって、
すべての核兵器を廃絶するための、誠実な交渉を即時に開始し、妥結すること。
10. 核兵器を早期、普遍的かつ検証可能な形で、廃絶するための段階的措置として、非核兵器地帯の設置をすすめること。
11. 地球規模の気候変動に対処することを誓約するとともに、戦争と軍事のもたらす環境への負の影響を転換すること。
持続可能な地球を守り、クリーンで安全なエネルギーのための技術を促進し共有するような、「国際持続可能エネルギー機関」の設立に向けて投資すること。
12. 平和と安全を維持するための多国間の民主的機関として、もっとも相応しい国連を、さらに民主的に改革するために、拒否権を廃止し、総会の役割を再活性化すること。
13. 日本の憲法9条やコスタリカ憲法12条のような、平和条項を憲法に盛り込むことなどを通じて、戦争および、国際紛争解決のための、武力による威嚇と武力の行使を放棄すること。
私たちは、日本政府が以下のことに取り組むことを奨励します。
1. 日本国憲法9条の精神を、世界に共有される遺産として尊重し、保護し、さらに活性化しつつ、国際平和メカニズムとしての潜在力を実行に移すこと。
2. 軍事化の道を歩まず、東北アジアにおける不安定な平和を、危機に陥れるような行動をとらないこと。
3. 世界各地における持続可能な開発のための、人間の安全保障に注力するとともに、ミレニアム開発目標の達成という、経済大国としての責任を果たすことによって、国際社会で主導的な役割を果たすこと。
私たち市民社会は、以下のことに取り組むことを誓約します。
1. 9条の主要な原則の維持・拡大を地球規模で促進していくことに、真剣に取り組み、平和の文化を普及していくこと。
2. 政治的、市民的、経済的、文化的なあらゆる人権の普遍性と不可分性を認め、あらゆる人権が実現するための必須条件として、平和のうちに生きる権利を、公式に認めるよう求めること。
3. 平和、人権、人道援助、軍縮、環境、持続可能な開発といった、異なるセクター間の協力を強めることで能力を高め、効果的なネットワークを築くこと。
地元、地域、世界レベルでの、市民社会の参加をより拡大するために、政府、国家機関、国際機関との、定期的な連絡チャンネルを設置すること。
4. 南アフリカの真実和解委員会の経験に学びつつ、過去から学び、紛争予防としての和解の取り組みをすすめること。
5. 人々が、調停、合意形成、非暴力的社会変革といった平和創造の技術を、すべてのレベルにおいて身につけることができるよう、公的および民間の、平和教育システムを支持すること。
6. 不公平を生み、環境を破壊し、紛争を助長するようなグローバル経済の力の集中に対抗して、平和、開発、環境に投資し、公正で非軍事的な経済をつくり出すこと。
7. 兵器の生産と貿易に反対して、これらを監視し、企業の社会的責任の責任規範のなかに、平和を位置づけるよう呼びかけること。
8. 以上の提言、および、
「21世紀の平和と正義のためのハーグ・アジェンダ」(1999年)、
GPPACの世界および地域提言(2005年)、
「バンクーバー平和ピール」(2006年)、
「暴力のない世界に向けたノーベル平和賞憲章」(2007年)などの、さまざまな平和文書に盛り込まれた提言を、実行に移すこと。
9. 9条世界会議の成果を発展させつつ、「戦争廃絶のためのグローバル9条キャンペーン」によるフォローアップ・メカニズムを創設すること。
↑以上、転載おわり
これは、今書かれたものではない。
4年も前の、2008年に出された。
けれどもわたしには、今現在の情勢において、戦争ごっこの大将になって、人を殺めさせたくてうずうずしているバカ者どもが、自分に投票してくれと大騒ぎしてる日本において、
この宣言をもういっぺん、じっくり読んでもらうことは、ものすごく大切なことやと信じてる。
↓以下、転載はじめ
【宣言】戦争を廃絶するための9条世界宣言
2008/5/8(木)
戦争を廃絶するための9条世界宣言
Global Article 9 Declaration to Abolish War
2008年5月4~6日 9条世界会議
日本国憲法9条は、戦争を放棄し、国際紛争解決の手段として、武力による威嚇や武力の行使をしないことを定めるとともに、軍隊や戦力の保持を禁止している。
このような9条は、単なる日本だけの法規ではない。
それは、国際平和メカニズムとして機能し、世界の平和を保つために、他の国々にも取り入れることができるものである。
9条世界会議は、戦争の廃絶をめざして、9条を、人類の共有財産として支持する国際運動をつくりあげ、武力によらない平和を、地球規模で呼びかける。
人類は、戦争のない世界に向けて、たえず努力してきた。
歴史の中で、土着の伝統や偉大な人物たち--とりわけ女性たちは、戦争に積極的に反対してきた--は、たえず人類を平和へと導こうとしてきた。
20世紀の近代戦争でもたらされた犠牲は、この流れをさらに前に進めた。
1928年のケロッグ・ブリアン不戦条約は、国策の手段としての戦争を、明確に放棄した。
1945年の国連憲章は、明確に定義された異常事態の場合を除いては、「武力による威嚇または武力の行使を慎まなければならない」ことを加盟国に義務づけた。
日本によるアジア太平洋への侵略戦争と、広島・長崎への原爆投下の後に、1947年に施行された日本国憲法9条は、
武力の行使を認めるいかなる例外ももたない、という点において、世界平和のための国際規範の発展における、さらなる一歩前進である。
この日本の動きに続いて、コスタリカは1949年、軍隊や自衛隊をもたなくても、国家は平和的に存在できるという例を世界に示した。
9条の精神はまさに、すべての戦争が、非合法化されることを求めている。
そして、すべての人々が、恐怖や欠乏から解放され、平和のうちに生きる固有の権利を有することを、世界に投げかけている。
今日の世界における9条
しかし、今日の世界は、武力紛争、大規模な貧困、格差の拡大、武器の拡散、地球規模の気候変動に覆われている。
アメリカによる全面的な「テロとの戦い」 は、戦争をもたらし、国連の役割を台無しにし、地球規模の軍備競争を復活させ、世界中で拷問を助長し、人権をむしばんでいる。
さらに、紛争が民間人--とりわけ女性、子ども、高齢者たち--に、与える影響に対する関心が高まっているにもかかわらず、
戦争において、殺され傷つき避難を余儀なくされる民間人の割合は、空前の高さに達している。
このような絶望的な状況は、イラクにおける戦争と占領に、はっきりと示されている。
平和や民主主義が、武力によってもたらされないことは、もはや明らかである。
こうした世界的な流れのなかで、9条の原則を保持し、地球規模の平和と安定のための国際メカニズムとして強化することが、かつてないほどに重要になっている。
それにもかかわらず日本は、憲法9条の義務を果たしていない。
さらに、9条の存在自体が、いま脅かされている。
今日の日本の自衛隊は、世界最大規模の軍隊の一つであり、アメリカは、日本中に軍事基地をもっている。
日米軍事協力がますます強化されるなか、日本の現実は、憲法9条の精神からの乖離をいっそう深めている。
日本による、アメリカヘの全面的軍事支援を可能にさせるために、憲法を改定しようという動きは、日本国内、アジア近隣地域、そして国際社会で不安をかきたてている。
そればかりでなく、日本は、近隣諸国への戦争責任を果たしておらず、和解はいまだなされていない。
東北アジアには、不安定な冷戦構造がいまだに残されている。
9条と地球市民社会
歴史的には、国家のみが、国際関係の主体であると考えられてきた。
しかし、市民の運動が重要な役割を果たしてきたことも、また事実である。
1990年代より、地球規模の市民社会が、草の根レベルで国境をこえて団結し、人類の将来の決定に参加するようになってきた。
そして、平和、人権、民主主義、ジェンダーおよび人種の平等、環境保護、文化的多様性といった課題について、主要な役割を果たすようになってきた。
1997年の対人地雷禁止オタワ条約、
1999年の「ハーグ平和アピール」国際市民会議、
2002年の国際刑事裁判所の設立、
2003年のイラク戦争に対する、空前の世界的反戦運動といった例はいずれも、地球市民社会が、変声の主体としての力を明確に示したものであった。
さらに今、クラスター爆弾の禁止や、小型武器の管理を求める運動、核兵器の非合法化を求める運動、また、地球規模の平和と経済的・社会的正義を求める運動が広がっている。
いまこそ地球市民社会は、9条の条項とその精神に着目し、その主要な原則を強化し、地球規模の平和のために、そのメカニズムを生かしていこう。
9条の約束を実現する
9条の主要な原則を、国際レベルで実行するためには、大国から小国まですべての国々は、暴力紛争の発生を予防する責任を果たし、
いかなる状況下でも、武力による威嚇や武力の行使を、放棄しなければならない。
そして、安全保障というものを、人間の観点、またジェンダー・バランスの視点から、見直す必要がある。
貧困と不平等が、紛争の根源的要因となっていることは、古くより知られるところである。
現在のグローバリゼーションは、南北の格差をさらに深刻にしている。
こうしたなかで各国政府は、国連ミレニアム開発目標の達成を第一歩として、すべての人々にとっての持続的繁栄と、社会正義を築くために、資源を使わなければならない。
日本の9条は、国家の平和的存在を可能にし、人間の発展のための革新的な資金メカニズムを創ろうとする努力を、後押しするものである。
それは、軍備を規制し、世界の資源の軍事費への転用を最小化すると定めた、国連憲章26条を補完している。
9条の精神は、小型武器、地雷、クラスター兵器、核兵器、生物・化学兵器などを含む、あらゆる軍備の拡大および拡散や、軍事津業の活動を否定する。
それはさらに、安全保障政策における核兵器への依存を拒否し、核兵器の非合法化と廃絶を求めている。
潘基文国連事務総長が再確認したとおり、世界的に軍事費を削減し、限られた資源を持続可能な開発に振り向けることは、
地球規模で、人間の安全保障を促進し、軍事活動による環境への悪影響を軽減することにつながる。
持続可能な開発に関する世界サミット、および国連委員会は、各国政府および企業に対して、地球の気候、水、森林、生物多様性、食糧、エネルギー供給を保全するよう求めている。
同時に、気候変動は、紛争の発生、悪化、助長をもたらす危険があり、気候変動の過度の影響から、地球を守ることに投資することが重要である。
2005年7月、「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)」の世界提言は、
「日本国憲法9条は、アジア太平洋地域全体の、集団的安全保障の土台になってきた」と指摘した。
すなわち9条が、この地域の安定に重要な貢献をしており、包括的、かつ持続的な平和の構築のために、大きな潜在力をもっていることを認知したのである。
世界の他の地域においては、欧州連合、アフリカ連合、東南アジア諸国連合といった形で、平和のための地域メカニズムがつくられている。
東北アジアにおいては、9条が、地域の平和的統合の土台になりうる。
私たちは、平和で持続可能な世界をつくることができる。
しかしそれは、すべての国が、真の多国間主義に参加し、国連をはじめとする国際的誓約を、尊重してはじめて可能になる。
9条を実行し、他の国々もまた、9条をもつようになるためには、国際システムの改革が、同時並行的に必要である。
さらに市民社会は、暴力に対する平和的オルタナティブをつくり出し、地元、国内、地域、世界の各層におけるネットワークを通じて、平和を構築する力をもっている。
軍事主義を止め、将来の戦争を予防するために、市民社会の力を発揮していこうではないか。
これらの目標を達成するために、9条世界会議に参加した私たちは、以下の通り提言する。
私たちは、すべての政府に以下のことを求めます。
1. 国連憲章、ミレニアム開発目標、国際人権法、核不拡散条約をはじめとする軍縮条約など、すべての国際的誓約を実行すること。
2. あらゆる人権を促進し擁護しつつ、平和のうちに生きる固有の権利を認め、公式化すること。
平和のうちに生きる権利なしには、他の人権も実現しえない。
また、人権侵害に対する責任、および補償メカニズムを強化すること。
3. 平和的手段による紛争予防、平和構築、人間の安全保障のための取り組みを支持し、資金を投人すること。
4. 軍事費を削減し、それらの資金を、保健、教育、持続可能な社会開発に振り向けること。
5. 平和省を設置すること。
また、教育担当省庁が、平和教育をすべての教育段階において、体系化および必修化すること。
それには、学校のカリキュラム、教師の研修、教材資料の作成などが含まれる。
6. 平和をつくる主体として、女性が果たす重要な役割を認識するとともに、国連安保理決議1325を実行して、
あらゆる意思決定と政策策定の場に、女性の完全かつ積極的な参加を、相当数保証すること。
7. 良心的兵役拒否の権利を認めるとともに、軍隊による犯罪に対する責任、および司法システムを強化すること。
それには、侵略の罪を、国際刑事裁判所に訴追する可能性も含まれる。
8. 包括的で効果的な、武器貿易条約を成立させること。
また、大量破壊兵器から小型武器まで、あらゆる兵器の検証可能で、不可逆的な軍縮をすすめる第一歩として、非武装地帯を設置すること。
9. 1996年の国際司法裁判所の勧告的意見、および、2000年の核不拡散条約再検討会議最終文書における「明確な約束」にしたがって、
すべての核兵器を廃絶するための、誠実な交渉を即時に開始し、妥結すること。
10. 核兵器を早期、普遍的かつ検証可能な形で、廃絶するための段階的措置として、非核兵器地帯の設置をすすめること。
11. 地球規模の気候変動に対処することを誓約するとともに、戦争と軍事のもたらす環境への負の影響を転換すること。
持続可能な地球を守り、クリーンで安全なエネルギーのための技術を促進し共有するような、「国際持続可能エネルギー機関」の設立に向けて投資すること。
12. 平和と安全を維持するための多国間の民主的機関として、もっとも相応しい国連を、さらに民主的に改革するために、拒否権を廃止し、総会の役割を再活性化すること。
13. 日本の憲法9条やコスタリカ憲法12条のような、平和条項を憲法に盛り込むことなどを通じて、戦争および、国際紛争解決のための、武力による威嚇と武力の行使を放棄すること。
私たちは、日本政府が以下のことに取り組むことを奨励します。
1. 日本国憲法9条の精神を、世界に共有される遺産として尊重し、保護し、さらに活性化しつつ、国際平和メカニズムとしての潜在力を実行に移すこと。
2. 軍事化の道を歩まず、東北アジアにおける不安定な平和を、危機に陥れるような行動をとらないこと。
3. 世界各地における持続可能な開発のための、人間の安全保障に注力するとともに、ミレニアム開発目標の達成という、経済大国としての責任を果たすことによって、国際社会で主導的な役割を果たすこと。
私たち市民社会は、以下のことに取り組むことを誓約します。
1. 9条の主要な原則の維持・拡大を地球規模で促進していくことに、真剣に取り組み、平和の文化を普及していくこと。
2. 政治的、市民的、経済的、文化的なあらゆる人権の普遍性と不可分性を認め、あらゆる人権が実現するための必須条件として、平和のうちに生きる権利を、公式に認めるよう求めること。
3. 平和、人権、人道援助、軍縮、環境、持続可能な開発といった、異なるセクター間の協力を強めることで能力を高め、効果的なネットワークを築くこと。
地元、地域、世界レベルでの、市民社会の参加をより拡大するために、政府、国家機関、国際機関との、定期的な連絡チャンネルを設置すること。
4. 南アフリカの真実和解委員会の経験に学びつつ、過去から学び、紛争予防としての和解の取り組みをすすめること。
5. 人々が、調停、合意形成、非暴力的社会変革といった平和創造の技術を、すべてのレベルにおいて身につけることができるよう、公的および民間の、平和教育システムを支持すること。
6. 不公平を生み、環境を破壊し、紛争を助長するようなグローバル経済の力の集中に対抗して、平和、開発、環境に投資し、公正で非軍事的な経済をつくり出すこと。
7. 兵器の生産と貿易に反対して、これらを監視し、企業の社会的責任の責任規範のなかに、平和を位置づけるよう呼びかけること。
8. 以上の提言、および、
「21世紀の平和と正義のためのハーグ・アジェンダ」(1999年)、
GPPACの世界および地域提言(2005年)、
「バンクーバー平和ピール」(2006年)、
「暴力のない世界に向けたノーベル平和賞憲章」(2007年)などの、さまざまな平和文書に盛り込まれた提言を、実行に移すこと。
9. 9条世界会議の成果を発展させつつ、「戦争廃絶のためのグローバル9条キャンペーン」によるフォローアップ・メカニズムを創設すること。
↑以上、転載おわり
これは、今書かれたものではない。
4年も前の、2008年に出された。
けれどもわたしには、今現在の情勢において、戦争ごっこの大将になって、人を殺めさせたくてうずうずしているバカ者どもが、自分に投票してくれと大騒ぎしてる日本において、
この宣言をもういっぺん、じっくり読んでもらうことは、ものすごく大切なことやと信じてる。