ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

米国『カオスなクリスマス』事情

2012年12月27日 | 米国○○事情
一昨年去年と、二年続きで、うちがホストをやったクリスマス。
今年は母がまた、自分ちでやる、という気になったので、旦那の実家があるペンシルバニアに出かけた。

こちらのクリスマスは、日本の盆と正月が一気にやってくる、みたいな迫力がある。
まずは、大人にも子どもにもまんべんなく渡される贈り物を買うために、町の通りは車であふれ、モールなどはもう、平日週末を問わず、駐車すら困難な状況に陥る。
12月はじめの週末はまだ、買い物客の顔にも余裕が伺える。
それが翌週、また翌週と、だんだんとクリスマス当日に近づくにつれ、顔に焦りと疲れがにじみ出てくるようになる。
最後の3日間(残念ながら、この数日間に焦って買いに行くパターンを懲りずに繰り返している)などはもう、あちこちから深いため息が漏れるのを聞きながら、
こんな不毛なことをやってるのは自分だけやないんやという、妙な連帯感を抱きながら、贈る相手の顔や服装、それから好きなことなんかを、ウンウン唸って思い出す。

それでもうちの場合、まだうんとマシになった。
数年前に母が、親族すべての人にプレゼントを買うのはやめて、それぞれに一人だけ、贈る人を決めましょうと提案した。
そやし、わたしはたったひとり、クジ引きで当たった人にあげるプレゼントを買えばいい。
しかも金額の上限まで決まってるので、その額以上使わなくてもいい。
ただし、成人以下の子どもには、大人全員からのプレゼントがもらえる。
親は、成人してようがしてまいが、自分の子どもにはプレゼントを買う。

と、なかなかシンプルで簡単そうやのに、それでもまだあれこれと迷うし悩む。
普通、こんな決まりなんて無いから、10人以上、下手したら20人以上の人にプレゼントを用意せなあかん人はいったい、どないしてるんやろと思う。
そやからこその、あの最後の三日間の、もうなんでもええわ~的なやけくそ買いをしてる人が出現するんやろと思う。

さて、贈り物を買い終わると、今度はラッピング作業が待ってる。
ハンパやない量のラッピングペーパーを買い、それぞれの贈り物を自分で包み、送り先の人の名前と送り人である自分の名前を明記する。
お泊まり用の荷物と贈り物、それからクリスマスディナーの担当料理のための道具と材料を詰め込み、いざ出発!というその日の早朝に、突然息子が寝室に入ってきた。
仕事をギリギリまでやり、贈り物ショッピングでヘトヘトになり、ラッピングで夜中の2時まで起きてたわたしを、6時に起こすとはええ度胸しとるやん!

「あのですね、ちょ、ちょっと、困ったことが起こりました」
「……(聞きとうない気まんまんで沈黙)」
「ええと、カラオケに行ってたマンハッタンの路上で、車の窓が割られてしまいまして」
「はぁ~?!」
「いっつも冬に使てた窓用のシートどこでしょか?」
「ええっと……(必死に思い出そうとするも全く思い浮かばず)、あかん、全然思い出せん」
「サランラップでもええかな」
「あかんやろそれは。で、なに盗られたん?」
「幸い、盗られたんは空っぽのカバンだけで」
「怪我は?」
「大丈夫です」
「窓ってどこの?」
「後部座席の左側」
「うちの車で今、まともに走るのんはそれだけやって知ってるやんな。そやから、それを明日乗るって決まってたやんな」
「あ、はい」
「ごめん、わたし、2時に寝たとこで、クリスマスの労働のためにしっかり寝ときたいねん。悪いけど寝るわ」

実は、クリスマスイヴのお昼から大雪になるという予報が出てた。
うちの3台の車のうち、1台はタイヤがつるつるてん、もう1台はご老体のスポーツカー。頼りはその車だけやったのに……。
しかも、上の息子が、マンハッタンでやるイヴパーティに行きたいからと、別行動することになってて、さらにややっこしい事態に。

結局、下の息子は一睡もせず、警察と保険会社に連絡を取り続け、やっとのことで、窓の応急処置をしてくれる場所と、窓ガラスの入れ替えをしてくれる場所を聞き出した。
旦那が起きてきて息子と話し、そこにわたしも起きてきて3人で話し、結局その車は使わん事にして、ゴミ袋で窓をカバーして、バッテリーを外しとくことにした。
ところが、どうやってもバッテリーが外せへん。
非常時になる警報音で、近所の人に迷惑かけたらあかんからと思たんやけど、外れへんもんは仕方ない、時間も迫ってきたからそれもあきらめた。
つるつるてんタイヤの車に荷物を詰め込み、雪が降り始める前に出発。
イブのパーティが終った夜中に駆けつけようとしてた上の息子には、スポーツカーでは危険過ぎるので、クリスマス当日の朝、太陽で雪が溶けてから来るように言いつけた。

とまあ、そんなこんなの、我が家らしいドタバタ劇。
カリフォルニアから来た下の息子の新しいガールフレンドも、思いっきり巻き込まれてしもた。
まあ、こんな家ですねん。これからもこんなんですがよろしゅうに。

イヴは母が用意してくれたスープとピザ。
アリゾナ州から帰ってきた旦那の弟家族と、1年ぶりの再会。赤ちゃんやった甥も来年からは大学生?!ぎょえ~!
姉家族の赤ちゃんやった姪っこも8才?!そら年とるはずや。
予報通り、雪が降り始め、あっという間に積もってきた。
明日、上の息子は無事に着くやろか……。

クリスマス当日、朝から晴れて気温が上がり、上の息子も無事到着。
朝ご飯終了後、ツリーのある居間に集まり、プレゼントの贈呈式。


今年のわたしのシークレットサンタは、旦那弟。
彼は元大工をしていたほどのハンディマン。前にもろた大のお気に入りのスパチュラが、だいぶ古うなってきたので、それをもういっぺん作ってとお願いした。

プレゼントのお楽しみの後は、これまた恒例の、旦那父の映画を観に行こう会。
今年は『レ・ミゼラブル』。
泣いてまいりました、思いっきり。
この映画については、いろいろと意見が分かれるっちゅう話を聞いたことがある。
役者が歌うっちゅうことに抵抗がある人もいる。
そりゃまあ、プロの歌手が歌てるわけではないから、少々の無理はあっても、あの歌をあの演技と表情で歌えるのは、やっぱり役者ならではやと感動した。
普段、何回も歌てる歌やねんけど、映画の中のそれぞれのシーンで歌われてるのを聞いて、やっとその場面と歌がつながった。
わたしとしては超~お勧め。
ただし、泣きやすい人はティッシュを絶対持参してください。
こちらでは、感動したり、すごく良かったと思たりした映画には、上映後、盛大な拍手が起こる。
会場の中の大勢の人達が、鼻をすすりながら拍手をしてた。

家に戻ってからは、一心にクリスマスディナーの料理開始。
それはもう、レストランの厨房のよう。
ベジタリアン、大豆アレルギー、甲殻類アレルギーさんらのために、ターキーの丸焼き以外は野菜メニュー。

ターキーのカットは今回も下の息子。


ずらりと並ぶ力作たち。


旦那姉の義理の弟が作った穀物と豆と野菜のサラダ。


母からのリクエストで作ったほうれん草の練りゴマ和え。


旦那弟の奥さんが作ったクランベリーソース。


旦那姉が作ったマッシュポテト。


旦那母が作った赤キャベツと栗の和え物。


旦那姉の夫が作ったスイートポテトとりんごとナッツ。


母が焼いてくれたターキー。


あと、写真に撮り忘れた旦那作のスタッフィング、ごめんちゃい。

みんな、並ぶ並ぶ。


てんこ盛り。


指に負担がかからないよう、今回はバッハのフランス組曲からちょっぴり。そして母と連弾に挑戦!


とうとうのとうとう、リタイアした父の功労を讃え、作られた地ビール。


そして、今年、息子達は奮発して、こんなすてきな椅子をプレゼントしてくれた。
う~ん……ますますパソコンの前に座る時間が長引きそう……なんちて……。


旦那にはキンドル!ずっと欲しがってたから思いっきり幸せそう。

クリスマスはめちゃくちゃ疲れる。
けども、やっぱり、年に一番楽しみな日。
また来年も、皆が元気に集まれますように。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする